高麗橋桜花 徒然日記ー料理人はどこまでできるのか ー

「高麗橋桜花」店主・「大阪食文化研究所」主宰森田龍彦のブログです。どうぞご贔屓にお願い申し上ます。

大門酒造さんと山野酒造さんとコルビシェフの出版記念パーティー

2006-02-27 | お酒について

 この日は大阪府の交野市にある大門酒造さんと山野酒造さんを訪問。

060226_1332_1  まずは大門酒造さんを見学させて頂きました。大門酒造さんではまず当主の方から酒半便りというオリジナルの小冊子とビデオを見ながら、分かりやすく酒作りの説明をして頂きました。ちなみに酒半とは大門酒造さんの屋号のようなもので、この酒半便りは特に充実した内容ですね。一応の説明の後、実際に酒蔵を見学に。今まで見た酒蔵さんの中では、一番近代的な設備が整っていて、多くの工程でコンピューターなどが人の手助けをしていました。でも、ただ機械的かというとそれだけではなくて、酒を絞る作業がやぶた式(機械のよるもの)・槽式(水圧を利用したもので、強くしぼり過ぎない)・木綿袋を使って絞るものと、しっかりと手間のかかる作業も伝えているのです。また、多くの酒を造るからこそ、しっかりとした技術やサポート体制がつくられるのですね。

 この大門酒造さんは日本のみならず、欧米にも進出されていましてかなり先進的な酒蔵さんといえるのではないでしょうか。それはHPをみて頂ければよくわかっていただけると思いますし、それが出来るのもしっかりした酒造りが出来ているからなのでしょう。そんな大門酒造の目指す酒作りと酒蔵の特徴をお伺いしましたー柔らかで きれいなお酒。うまさ=芳醇旨口。 特徴ー麹=ファジーなものを出来るだけコンピューターなどを使って良い状態を作りたい。蔵全体の底上げが大門酒造の特徴です、と答えてくださいました。

 その後、徒歩で20分程歩いて山野酒造さんへ。

060226_1618  山野酒造さんの蔵見学では、20代前半のグループの方達と一緒に見学。友人とこのように見学するイベントって、凄く素敵だなーと思いました。それを、快く引き受ける山野さんの寛容さにも関心。大変かもしれませんが、蔵見学辞めないでくださいね。

 大門酒造さんの近代的な設備に対して、山野酒造さんは昔ながらの酒蔵さんというイメージ。南部杜氏(岩手県)を迎えて、生駒山系の伏流水(中硬水)と良質の山田錦(ほぼ有機)と地元交野市産(画像がそうです)の米を使っての酒造りです。

 まずは、山野さんから酒造りの説明。もしかしたら私に配慮してくれたのか、かなり詳しく説明してくださりました。山田錦のみ特定産地(ランクつけ)があることや、ワインとの醗酵過程の違い、酸と日本酒度数のバランスのことなどなど。とても勉強になりました。余談ですが、思わず自ら杜氏さんにならないのですかと尋ねたところ、私が杜氏になれば電話も出れなくなりますし、見学の無くなりますよ、というお答えが。愚問でしたね。それだけ、杜氏さんの役割は重要で、その方の力量が大きく酒造りに影響しているのですね。

 実際の蔵見学では、いろいろな種類のタンクの中を拝見させていただきました。精米度合いにより色が違い(多く削られたものほど白に近くなる。)、また醗酵の盛んなタンクからは大量の炭酸(二酸化炭素)が発生していて、顔を入れすぎると咳き込みます。(なので、このようなタンクに落ちると溺れるのではなく、窒息死してしまうそうです。)

 試飲の時もかなり多くの種類のお酒をご馳走になりました。同じ原料で酒母の違うお酒も飲ませて頂きましたが、全然個性が違っていて面白かったです。まと、山廃仕込のお酒(酒母造りに長い期間が必要になる)のお酒も個性的でした。おまけに飲ませて頂いた日本酒に梅を漬けっ放しの梅酒も美味でしたよ。

 山野酒造さんの目標は、○○らしい、らしさのお酒造り。しっかり、個性や違いのあるお酒を目標にしておられます。また、いつも心がけていることは、当たり前を忠実に。技術はどこも持っている。(手を入れても失敗のある酒造り)毎回同じことの繰り返し、やるべきことを忠実にしっかり行うこと。

  両酒蔵さん、とても対照的な酒蔵さんでした。どちらが良いとか、正解とかではなくて、このような個性的な酒蔵さんが独自のこだわりを持って酒造りをしていることが楽しいですよね。帰宅後、早速両酒蔵さんのお酒を交互に飲み比べ。かなり面白いし、楽しいですよ。そんな大阪のこだわりの地酒、飲んでみたくなりませんか??

 夕方からは、以前にもこのブログで書かせて頂いたホテルニューオオタニのメインダイニング「サクラ」の料理長、ドミニク・コルビシェフの出版記念パーティーに招待され、参加しました。

 本のタイトルは、「フランス料理13章」。13種類の食材の調理を通して、フランス料理の技法やエッセンスを紹介した内容となっています。

060226_2022  流石に一流シェフのコルビさんだけに、来賓のお客様は200名以上。周りはそれこそセレブな方ばかり。運良く、隣が北新地の川添さんだったので、ほっと一安心。凄く素敵な方で、人・料理人としてのスタイルは私の憧れのなのです。そんな川添さんに創業についていろいろとお話をさせて頂きながらの食事。また、ワインと料理の楽しみ方についていろいろとご享受頂きました。もちろん、今までにもフランス料理は食べたこともありますし、フランス料理店で働いてます。ですが、恥ずかしながらここまで食を楽しみことを意識したことがありませんでした。

 060226_2043  一皿の中で、まずメインの食材をそのまま食べる、ソースをつけて食べる、いろいろな付け合わせと食べる、パンを一緒に食べる、パンの後にワインをソース代わりに少量含んで食べる、そのワインの種類を変えて食べる。一皿の料理でもかなり多くの楽しみ方ができますよね。それを自分の好みでそれぞれ組み合わせて食べてたら、2時間なんてすく過ぎてしまいます。また、たくさんのワインを飲むことも良いですが、1本のワインでたくさんの飲み方を試して、楽しむことが出来たらワインをもっと楽しむことが出来るようになるよ、とアドバイスしてもらえました。コルビシェフのお料理もとても美味しかったですが、川添さんのお話もとても感動的でした。これからますますフランス料理を楽しく食べることが出来そうです。あまり写りガ良くないのですが、鴨と柿と組み合わせと、チョコムースのデセールです。

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