澤地久枝著、岩波現代文庫刊「西山事件」として知られる外務省の機密漏洩事件の経過を辿ったノンフィクションです。著者は、「こうあるべきだ」と信じるとおりにならなかったことに噛みつき、わめき散らしているので、共感しにくい作品でした。
世間の複雑さを認めない作者は、「真実とか正義が、いつもキラキラと純粋な結晶のように存在し、また、ことの軽重を十分にはかって、「確信犯」として行動する人々だけが事態を動かし . . . 本文を読む
テレビドラマのシリーズ第2作目の作品で、2014年6月22日から5回に亘り放送されました。
第1作目で、陰謀の全容と首謀者が明らかにされ、MOZUの正体も明かされました、しかし、亡くなった主人公の妻が、一人だけ任務から生還した謎が残っています。
本シリーズは、その理由を主人公が追い求め、突き止める作品です。日本の作品としては、珍しい部類に属するハードボイルドタッチで、十分に堪能できました。本作 . . . 本文を読む
谷口ジロー著、小学館文庫刊1987年から連載され、後に加筆された作品だそうで、知らずに読んでしまっていた「神の犬 ブランカII」の前作です。
遺伝子操作によって肉体を強化されたブランカが、飼い主の博士と共にR共和国に拉致され、軍用犬として訓練されていましたが、ニューヨークに居る博士の孫に逢うべく実験施設を脱走し、厳寒期のベーリング海を越えますが、R共和国の兵士達や密猟者に付け狙われます。驚異的な . . . 本文を読む
2022年制作のアメリカ映画です。旅客機のハイジャックが発生し、犯人はテロリストの釈放を要求します。その事件にCIAが立ち向かいますが、困難な状況に加え情報漏洩と思しき事態が発生し、最終的には犯人と乗員乗客全員が死亡してしまいます。
8年後、CIAは当時の担当職員の一人が、組織内に居たと思われる犯人を見つけ出すことを命じられ、調査を開始しますが・・・。
何とも辛くシリアスな展開で、「思ってたん . . . 本文を読む
浅田次郎著、講談社文庫刊2017年に出版された浅田さんの作品です。浅田さんの作品を久しぶりに読みましたが、浅田さんらしい、泣かせの筆致を堪能しました。中江有里が解説で指摘していますが、1994年に出版された、同じく浅田さんの「地下鉄に乗って」と同様、地下鉄が作品で大きな位置を占めています。話の展開の唐突さと意外さへの戸惑いが、読み終えてみれば了解できるものの、いささか懲りすぎているようにも感じまし . . . 本文を読む
初めて、小遣いで買ったシングルレコードがプロコロ・ハルムの青い影だと記憶しています。ラジオで聞いて良いなぁと思い、小遣いを貯めてやっと買った思い出の曲でした。毎日聞いているマイベストの洋楽部門の曲の一曲ですが、何度聞いても飽きません。
思い掛けず、YouTubeで見つけたものが、下記リンクの一つ目です。半世紀以上前の歌声と変わらず驚きました。当時は歌詞の意味を気にせず聞いていましたが、下記リンク . . . 本文を読む
1990-1991年に連載された作品です。全17話の短いエピソードで構成されています。
主人公夫婦が、一戸建ての貸家に転居したら、軒下から、以前の住居人が飼っていた犬が出現。二人には子供がいない様子で、その人懐こい犬を飼うことにしました。
夫はサラリーマンで、妻は専業主婦のようです。休みの日には、夫が周囲を散歩しながら、町の様子や目に入る様々な景色を楽しみながら、まったりと楽しんでいる様子。
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水戸市の常陽資料館で開催された展覧会です。余り期待していませんでしたが、実見して驚きました。よくあるちぎり絵のような作品がある一方で、細密画と見まごう作品が何点もありました。下記リンク3つ目を見ると分かると思います。すごい精進で、あっぱれな世界を切り開かれたのではないでしょうか。------------------------------------------------------------ . . . 本文を読む
横田増生著、小学館刊アマゾンの配送センターで短期間働き、ピッキング労働者の実態をレポートしています。著者は2010年にも「潜入ルポ アマゾン・ドット・コム」を上梓しているので、今回は、短期間での取材と思われます。併せて、日本に固有の人材派遣会社の役割も分析しています。また、宅配業者の配送業務に同乗し、その厳しい労働の実態をレポートしています。更に、世界的な企業に成長したアマゾンの現状を見る為、ヨー . . . 本文を読む
2014年制作のフランス映画です。フランスの田舎で牧畜を営む家庭で育った主人公は、両親と弟が全員聴覚障がい者であること以外は、普通の家庭の女の子です。ふとしたことからコーラスの授業を選択したところ、音楽教師に抜きん出た才能を見出され、パリの音楽学校への進学を勧められます。教師の個人教授を受けながら、学び始めますが、家族は耳が聞こえないので、音楽への道を進むことに反対されてしまいます。
主人公は、 . . . 本文を読む
武田尚子著、中公新書刊チョコレートの原材料であるカカオ、その輸送、ヨーロッパへの伝播の過程、加工と利用方法、近代的な生産手法の確立と製造技術の進展、社会的役割の変遷などを概観して、チョコレートが果たしてきた、その時々の役割と意義を考察しています。
個々の事象を、その背後の事情との関係で述べていて、広がりのある内容でした。奴隷貿易、三角貿易、重商主義から自由貿易主義への移行、ココアの希少性の度合い . . . 本文を読む
逢坂剛の同名小説を原作として製作され、2014年に放送されたテレビドラマです。少々こけおどしと思える展開もありますが、公安ものの緊迫感を見事に表現した作品です。NHKで放送した外事警察と並んで見ごたえのある作品でした。--------------------------------------○MOZU Season1~百舌の叫ぶ夜~-------------------------------- . . . 本文を読む
松田賢弥著、講談社+α文庫刊「人は見た目が9割」という本を読んだことがあります。タイトルが強烈で、内容は全く覚えていませんが、見た目は大事なことは確かだと思います。菅さんは見た目が良いとは言い難いと思いますが、そのために、総理大臣になってから随分損をしたと思います。
しかし、私の上司であった人々で、見かけ通りの人は一人もいませんでした。頭がもの凄く切れるが、小柄で容貌が並より大分劣る . . . 本文を読む
2018年公開のアメリカの映画です。犯罪者専用の会員制医療サービス付きのホテルを舞台とした作品です。主演のジョディ・フォスターが本作の魅力を支えています。その役を凡庸な役者が演じては、B級映画になってしまいそうな感じがします。--------------------------------------------------------○ホテル・アルテミス ○ジョディ・フォスター&n . . . 本文を読む
川上弘美原作、谷口ジロー作が、双葉社刊川上弘美さん原作の作品をコミック化した作品です。原作を読んでいませんが、巻末の川上さんと谷口さんの対談を見る限り、原作になるべく忠実に描いたようです。恋愛小説とされていますが、そうだとすると、恋愛の一つの形を描いている一方で、人と人との精神の交流が可能である幸運を描いた作品なのではないかと思います。作中の「センセン」に似た同級生がいますが、大概は、面倒くさいの . . . 本文を読む