この頃の歌手は本当に歌が上手い。どうしてなんだろう、と思う程に。ハモネプなど聞いていて、油断すると涙してしまいます。最近、その思いが深まったのは、伊藤由奈でした。今YouTubeで、彼女の「GATE」という曲を聴いていますが、人生の深みをまだ知り得ないはずの若い女性が、どうしてこんなにも表現力が豊かなのでしょうか。たとえば、ダイアナ・ロスなど、シュープリームス時代の曲は、ポップスの範疇でしかありま . . . 本文を読む
森田誠吾、新潮文庫刊。
丁度、大吟醸の日本酒と同じように心の中に浸み通ってきました。すべての人々が、喜びや悲しさを心に抱きながら毎日を過ごしていることを、自分のことよりも他の人のことを気にかけている人がいることを、まっすぐに生きている人がいることを、深く感じさせていただきました。作者の後書きからは、十全にうかがい知ることはできませんが、余白の多い人生を送ってこられたのだろうと推察しました。
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手嶌葵さんの「テルーの唄」は驚異でした。「ゲド戦記」公開前の様々な情報の中で手島さんの際だった歌唱力を聞いていましたが、映画の中の気高いほどの歌声は何とも素晴らしいものでした。人の声の美しさ力強さは不思議です。
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URL => http://www.youtube.com/watch?v=RUSjLyZp . . . 本文を読む
伊集院静著、横浜カセット文庫発行。
「皐月」とは、「明るくかわいた陰暦の5月」の意で、「こうげつ」とも読むそうです。
年がいってから授かった男の子と父親が、山に笹竹を取りに行きますが、父が崖から危うく落ちそうになる。息子は必死に助けようとしますが・・・。
海の仕事に就いて順調でしたが、事情で陸に上がり、親子水入らずで暮らしていたのですが、山で遭遇した突然の事故。人がその真価を問われる時は、予告なし . . . 本文を読む
「チェンジリング」に引き続いてのクリント・イーストウッド監督の作品です。しかも、この度は主演です。「チェンジリング」の時もそうですが、登場人物にリアリティがあります。小説でも、リアリティが大きな要素です。とりわけ、本作の主人公は癖のある老人役です。今この瞬間にも、主人公がかんしゃくを起こしそうな時に発するうなり声が思い出されます。目を見開いて歯を食いしばって身内からわき起こる怒りを抑えている。その . . . 本文を読む
伊集院静著、横浜カセット文庫発行。
自分が何によって生きているのか、惑うときがあります。思春期と初老期に、そして、挫折などによって今までの来し方を振り返り立ちすくむ時に。
そうした時に、まさしく生き方を問われるのではないでしょうか。「これで良かったはず」の生き方を見直さなければならない事態にこそ困難が待ち受けています。
本作品は、友人が抱いた夢を、死なせてしまった後に引き継ぐことを決心し、長い年月 . . . 本文を読む
トマス・H・クック著、文春文庫刊。
少年が、父親が校長を務める田舎町の学校で体験した一冬の出来事。その美しい人がバスから降り立ち、少年の人生に深い陰を落とすことになります。読み通せば、どうということもない筋書きですが、物語の核心に向かって少しずつ螺旋軌道を降りて行くかのごとき筆の運びが優れています。そして作中の男性を深く描いています。(女性は類型的過ぎますが・・・。まぁ、そのことで本作品の価値が減 . . . 本文を読む
佐野眞一著、文藝春秋刊。
10年以上前、仕事で東京農業大学の教授にお目にかかりました。その先生の恩師が宮本常一氏でした。その後も、折に触れ宮本氏の名前を散見し、宮本氏への関心が高まりました。そんなおり、佐野眞一さんの「旅する巨人─宮本常一と渋沢敬三」が大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した、とのことから、本書を読みました。
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橋爪大三郎著、PHP新書刊
政治学の入門書、2冊目です。今回の著作は、社会学者である著者が、社会を構成するパーツとして政治を解説しているように思います。大変参考になりましたが、特に以下の諸点は興味深く読みました。
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URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/橋爪 . . . 本文を読む
エドワード・ウインパー著
1865年7月13日に、マッターホルン登頂に初めて成功するまでを、本人が記録した山岳書です。実に144年ほど前の作品です。幾分工夫した道具が登場するものの、基本的には、山岳用の特殊な装備はなかったようです。実に原始的です。そんな装備で、7回目の挑戦の末、成功するのでした。作中の挿絵も著者自身のものだそうです。
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牧野正彦著、平凡社新書183刊。
最近政治に関心が出てきました。元々は、政治が嫌いです。いわゆる政治家がうさんくさく、今の時代にあっては決して尊敬されない存在だと思います。何となく「必要悪」なのだろうと感じていました。仕事をしていても、(最近気付いたのですが)極めて「政治的な人」と感じる人があります。それは、判断する際に、(私には)余分なことと感じること、例えば実力者の意向などを必要以上に忖度する . . . 本文を読む
椎名誠著、小学館刊。
怪しいおとっつぁん4人が、これまた怪しいミャンマー人のガイドに従って、ミャンマーのあちこちを旅します。とにかくお寺と坊さんが多い!食べ物は、昆虫やら何やら怪しいものが沢山出てきます。温くて甘いビールしかない。しかも食べ物はヒジョーに脂っこい。なので、日本人が慣れている、熱いものは熱く、冷たいものは「冷たい」という贅沢はないようです。そして何より、暑い!読んでいるだけでも、相当 . . . 本文を読む
ナンシー関編・著、角川文庫刊。
これは絶対面白い。笑える。憂さが晴れます。こんな種類の笑いは初めてです。こんなに笑ったのは10年振りくらいか。笑いにもいくつかの種類がありますが、本書の笑いは上質です。
本書は、お題を読者に提供し、記憶を頼りに寄せられた作品(イラスト?)に、著者が短いコメントを付ける、という内容です。存命中、私はナンシーさんを知りませんでしたが、このような才能をお持ちの方がいたのは . . . 本文を読む
安西篤子著、横浜カセット文庫発行。
安西さんの作風が少しずつ理解できるようになったので、楽しんで聞けるようになってきました。安西さんの作品は、状況を設定し、最後に、ある「想い」や「不可思議さ」を説明(描写)しているように思います。この小説は、夫婦という不思議な関係をテーマにした作品です。一家を仕切っているきつい姑と気の弱い舅が、実は・・・、という筋の運びです。終始、嫁である比呂の立場から、「夫婦の . . . 本文を読む
伊集院静著、横浜カセット文庫発行。
瑞々しい文章でした。伊集院さんの作品を初めて聞きましたが、男の子にとっての母親像と成長した後に知る、女としての母親像が見事に描かれていました。多分多くの男達は、母親が自分のために生きてくれたのだと思い込んでいるのではないか。そんなことはない、と分かっていても、何となく思い込んでいる節があります。母親と息子の関係はヒジョーにビミョーであると思います。
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