長谷川眞理子著、岩波新書刊
科学に関する様々な事柄を取り上げたエッセイです。一流の行動生物学者としての視点から、その学問分野の特性やご自身の資質に由来すると思しき独自の視点で、社会一般の事柄や学者仲間まで多岐に亘り語っています。ごく平易でその論がすんなりと納得できます。知的で偏りのない真っ直ぐなお人柄を感じる文章でした。
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2006年公開のアメリカとフランスの合作映画です。主演のトミー・リー・ジョーンズが監督しており、競演のバリー・ペッパーともども素晴らしい。前半は状況説明のため、アクシデントの発生までをフラッシュバックで構成し、中盤以降、淡々と物語が進んでいます。脚本が良いと思いますが、先の二人の演技がこの映画を支えています。また、何となく流されていて、それでいて焦燥感を秘めた女達の乾いた描写も際立っていると思いま . . . 本文を読む
夏目幸明著、PHP研究所刊
昔々、仕事でマスコミの取材を受けびっくりしました。取材前にストーリーが出来ており、その内容に沿って映像を撮えい、インタビューはだまし討ちのような手法でした。ビデオカメラが回り、予告が無かった質問に私がどぎまぎしていると、私を囲んでいたディレクター達が、にやついていた時に気付くべきでしたが・・・。それ以来、マスコミが報道する内容を吟味して受け取る習慣が身に付きました。
本 . . . 本文を読む
2008年に発表された短編アニメ映画です。独特のタッチの絵で、てっきりフランスのアニメかと思っていたら、日本人が製作したものでした。アカデミー短編アニメ賞を受賞したとのことですが、12分程度の中に、追憶や感情、人生の起伏などが凝縮されており、深いメッセージ性を感じました。優れた作品です。
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久門易(くもんやすし)著、日本カメラ社刊
ソフトの解説書は大まかに2種類あって、1つ目はソフトのコマンドメニュー別の機能説明のもの、2つ目は実際の加工の方法からソフトの使用方法を解説するもので、本書は後者に属します。普通、前者はリファレンスとして手元に置いて必要に応じ参照することが多いと思います。まぁ一気に読んでもなかなか頭には入りませんから。後者は、ある程度ソフトをいじって、そのソフトの設計思想 . . . 本文を読む
2002年公開のアメリカとオランダの合作映画です。国際的に活動する投資銀行で保安担当として働く主人公が、恋人を殺された挙げ句に陰謀に巻き込まれて窮地に立ちます。周囲にはインターポールや正体不明の人物がうごめき、状況は次第に厳しさを増して行き、やがて・・・。
何となく背後の絵図が分かりつつも、なかなか全体像が想像付かないうちに終盤に突入します。登場する俳優達は、見たことのない人達ばかりですが、主人公 . . . 本文を読む
青木謙知著、ソフトバンク クリエイティブ刊
一時政治問題として取り上げられたオスプレイの開発の経緯、性能、安全性、運用形態、それ以前の同類の開発機体の紹介などを、網羅的にコンパクトにまとめたものです。分かり易く解説していますが、出典が多くの公文書であるようで、記述がやや堅い感じです。性能が分かり易く優れた機体ではないので、胸躍らせて読む対象ではないかもしれませんが、画期的な機体で、戦術に大きな影響 . . . 本文を読む
2006年公開のメキシコ、スペイン、アメリカの合作映画です。子ども向けのファンタジーものとお思い込んでいたら違いました。舞台は第2次世界大戦末期のスペインの山岳地。独裁政権に抵抗するレジスタンスがそこでゲリラ戦を戦っています。そこに、夫を亡くして、独裁政権の軍人と再婚した母親とその娘がやって来ます。母親が身ごもっており、夫である軍人が呼び寄せたのでした。
出産間際できわどい体調の母親と多感な少女が . . . 本文を読む
まぁ、死ぬまでに終えれば良いかなぁ、という感じです。
今取り組んでいるのは「Cathedrals and Castles Building in the Middle Ages」という書籍で、1995年に出版されたもの。元々はフランス語の書籍のようです。今回は、今までと異なり電子辞書を使っていません。というのも、下記のURLで検索すれば、非常に豊富な辞書の検索結果が得られるからです。本書は、結構特 . . . 本文を読む
2013年公開のアメリカ映画です。中年の道路標示の作業員と、その恋人の弟である若者が主人公です。年齢や考え方、生き方が全く違う二人が、人里離れた山の中の道路で地味な作業をしています。中年男の作業員は、理知的で内省的。もう片方の若者はテキトーです。気が合うはずもない二人は、やむを得ない成り行きで行動を共にしますが・・・。
登場人物の少ない本作では、この二人の会話がほとんどです。先の読めない脚本で、単 . . . 本文を読む
水戸市の常陽史料館で開催中の展覧会です。チラシでは作品の特徴が分からないと思います。アクリル板の裏に色を重ね塗りし筆はほとんど使わないとのこと。そのため、非常に細かい部分まで筆記した道具らしいものの痕跡が見られます。細い棒や様々な道具で描くとのことです。また、一枚のアクリル板に描くだけでなく、部分的に二重になっていたり、オブジェのように切り出して上から糸で吊したりと、表現方法が多岐に亘ります。鮮や . . . 本文を読む
2014年公開のアメリカ映画です。実在のグループをモデルにしたミュージカルの映画化とのことです。作品中、私がごく幼い頃に聴いた曲が出てきて驚き懐かしく感じました。時代を再現したハリウッドの力は凄いと思います。自動車、家具、調度品、ファッション、そして画面の質感など。脚本は長いストーリーを整理しているのではないかと思います。出演者も素晴らしく、人の世故の善悪を超えた感情の有り様を描いています。イース . . . 本文を読む
穂村浩著、筑摩書房刊
著者のことを全く知らずにタイトルに惹かれ手に取りました。久し振りに愉快で感動できる本に出会いました。日常目にする言葉の中で、ふと違和感を感じたりする事がありますが、著者は、そうした言葉を取り上げ、その言葉が発せられる背景や受け手の感情の動きなどを、精密に愉快に腑分けしています。歌人、詩人、批評家、翻訳家の肩書きをお持ちとのことですが、今後の著作が楽しみです。
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2014年公開のアメリカ映画です。元CIAエージェントとその教え子が主役です。年老いたとはいえ、一流のエージェントであった主人公は、元同僚から、主人公の恋人の救出の依頼を受け動き出しますが・・・。
5代目のジェームズ・ボンドを演じたピアース・ブロスナンが私の拙い予想と異なり良い感じでした。冷静で頭脳明晰な役柄を見事に演じています。その教え子を演じたルーク・ブレイシーが骨太な感じで、これも良かった。 . . . 本文を読む
武部健一著、中公新書刊
著者は昭和元年に生まれ京都大学を卒業後、建設省に入省後道路整備に従事し、日本道路公団で高速道路の建設に尽力されたとのことです。高速道路の建設に伴い、古代の道路遺跡とぶつかることがあり、そこから独自に研究を進められたとのことです。
本書では、ローマ帝国と中国の秦代
の道路から説き起こし、次に日本の律令時代に中国の道の整備に範を取り、統治の装置として大規模な道路網を整備したこと . . . 本文を読む