R・P・ファインマン著、岩波書店刊アメリカの物理学者で、原子爆弾の開発にも関わり、後にノーベル賞を受賞したリチャード・P・ファインマンの著作です。
少年時代に知り合った女性と結婚し、病を得た妻が亡くなるまでの顛末を、アメリカの小説風の文章で語る「人がどう思おうとかまわない」が初めに掲載されています。ファインマンさんの淡々とした文章と尋常でない理性的な生き方に少しずつ馴染みながら読み進めて行くと・ . . . 本文を読む
マーク・グリーニー著、早川書房刊グレイマン・シリーズ12作目の作品です。最新刊で、ウクライナ戦争を背景にした世界的な陰謀を暴く「鍵」を巡る死闘の物語です。一作ごとにレベルを上げた作品を書き続けるのは大変なことと思いますが、著者は今作でも、その難題をクリアーしています。また、主人公のコートランド・ジェントリーとヒロイン(?)のゾーヤ・ザハロフの軌跡が交わります。読み終えて、もう次回作が待ち遠しくて堪 . . . 本文を読む
坂村健著、角川新書刊「デジタルトランスフォーメーション」の略語であるDXに関する著作です。
「DXとは何か」に関する本質的な議論を分かり易く展開しています。その前提となる「オープン化」の不可欠性を論じた後、日本人に根強く残る保守的な傾向を回避するために必要な「程度の問題」について解説しています。
日本の歴史を振り返ると、島国故に内向きになり勝ちで、明治維新と敗戦による不可避で劇的な転換期になる . . . 本文を読む
月村了衛著、朝日新聞出版高橋洋一さんをモデルとしたと思しき主人公が、左遷された部署から大蔵省(現「財務省」)に返り咲いた頃、ノーパンスキヤキ騒動の中で、大蔵省の保守本流の目を欺いて反撃する話です。ヤクザや政治家を交えた様々な人を交えユーモアたっぷりに描いていて、途中で何度も笑ってしまいました。
残念ながら、主人公と離婚した元妻が十分に描き切れてない様に思います。とは言いながら面白かった。---- . . . 本文を読む
ウォルター・アイザックソン著、文藝春秋刊ハワイで生まれた少女、ジェニファー・ダウドナが、ジェームズ・ワトソンの著作「二重らせん」を読んで生物学への興味を深め、後にRNAの研究者になり、2020年にノーベル化学賞を受賞します。本書は、彼女の来し方を軸とした医学、取り分け遺伝子研究に焦点を当て、現代の研究の最前線の動きを追っています。ダウドナだけでなく、関係する多くの人々が登場しますが、著者は、その一 . . . 本文を読む
坂村健著、角川新書刊先に読んだ「デジタル化する新興国 先進国を越えるか、監視社会の到来か」の参考図書に含まれていた著作で、TRONプロジェクトで名高い坂村さんの著作なので、興味を持ち手に取りました。
著者は、IoTの一般的な解説ではなく、TRONプロジェクトを率いてきた著者の視点と立場から執筆したそうです。とはいっても、IoTの概念や、具体的な応用形態などが沢山紹介されています。また、128bi . . . 本文を読む
伊藤亜聖著、中公新書刊本書は、コロナ禍が始まった初期に執筆が完了し、2020年10月に出版されたようです。その時点での、新興国でのデジタル化の状況を多面的に概観し分析しています。
その現象を、世界的なデジタル化の中で位置付けると共に、地域毎に異なる社会・経済・政治の各分野への影響を分析し、課題と解決の方向性を示しています。最後は、デジタル化が著しく遅れている日本の進めべき方向と、現実的で具体的な . . . 本文を読む
安田茂美&松井文恵著、世界文化社刊随分前にホキ美術館を知り訪れましたが、圧倒的な写実絵画の迫力に参ってしまいました。
本書は、『西欧の巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチ、フェルメール、シャルダンから現代までつながっている写実絵画の系譜。私たちを惹き付ける「写実絵画の魅力」とは何なのでしょうか。2010年誕生した世界初の写実専門美術館「ホキ美術館」の秀逸にして膨大なプライベートコレクション。その中心とな . . . 本文を読む
小倉ヒラク著、文藝春秋刊かつて、雲南省南部から険しい山々の渓谷沿いをチベットまでお茶を運んでいた茶馬古道に沿い、逆向きにチベットから茶の産地までを旅しながら、茶と発酵文化を探ります。更に、カトマンズ、インドへと、日本の麹づくりの起源を求めて旅が続きます。
発酵に関する専門知識と、かつてバックパッカーとして蓄積した経験、お人柄がで、現地の人々と親しくなり、様々な発酵による食品加工の技術を解き明かし . . . 本文を読む
風樹茂著、五月書房刊ネットで調べると、アマゾンとは「ブラジルを中心に7か国にまたがる熱帯雨林」のことだそうです。著者は20代後半に、大成建設が請け負った鉄道復旧工事の際に、通訳兼庶務担当として雇用され、ボリビアの現地で働いたそうです。東京外国語大学でスペイン語を専攻したことから、言語力を買われて採用されたとのこと。
本書のタイトルを見て、プロジェクトX的な内容を期待して読み始めたら全く異なる内容 . . . 本文を読む
金栄勲著、集英社新書刊韓国人の大学教授が、外国人からよく聞かれる問いを色々取り上げて、様々な面から答える本です。期待してきた程明快ではなく、掘り下げが足りないと感じる内容でした。しかし全体として、韓国の歴史と文化の変化と、それが生活に及ぼす様々な影響が感じられます。ちょっと中途半端で、文体が硬いのが残念でした。----------○金栄勲----------評価は3です。※壁紙専用の別ブログを公開 . . . 本文を読む
アラン・グリーンスパン著、ペンギングループ刊世に名高いグリーンスパンに関心があり、古本で本書を見掛けて手に取りました。邦訳のタイトルは「波乱の時代」です。
冒頭の青年期までの自伝の内容を読むと、育った時代や雰囲気が良く伝わってきました。また、グリーンスパンの多才ぶりにも驚かされました。数学の才能があり、それが、後に政府関係組織で活躍する際にも役だったようです。何とも魅力に溢れる人で、急激に変化す . . . 本文を読む
ブラッド・ストーン著、日経BP刊同じ著者の「ジェフ・ベゾス 果てなき野望」を読んだ後、続編が刊行されたことを知り、本書を手に取りました。前書の取り扱った時以来、アマゾンに大きな変化が生じたので、その経緯を追っています。アマゾンが生み出した革新と社会経済への影響を客観的に見ており、前著と合わせて読むと、ジェフ・ベゾフの考え方と生き方、そしてアマゾンの功罪を見ることが出来ます。長所と思います。---- . . . 本文を読む
クリス・アンダーソン著、ハヤカワノンフィクション文庫刊「ロングテール」という言葉を聞いたのは大分前です。かなり抽象的な説明でしたが、なるほどなぁ、と印象に残りました。原書は、アメリカで2006年に出版され、大きな反響を呼んだようです。本書の副題は、「「売れない商品」を宝の山に変える新戦略」というもので、様々な商品を例に挙げながら、インターネットの普及によって、従来の販売方法が通用しない理由を挙げて . . . 本文を読む
セバスチャン・マラビー著、日本経済新聞出版刊今日のアメリカを見ると、日本より規制が少なく、法律で禁止されていないことは倫理的に問題なければ、実行しても良いという印象を受けます。一方で、日本で、何か新しいことを始めようとする際に、念の為所管すると思しき官公庁に相談すると、非常に面倒なことになったということを、何冊かの本で読んだことがあります。また、世界の軍事組織の関係法令は禁止条項を列挙してる(ネガ . . . 本文を読む