読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

東慶寺花だより

2020年04月30日 21時30分41秒 | ■読む
井上ひさし著、文春文庫刊本書を原作とする映画「駆込み女と駆出し男」を見て、久方振りの丁寧な作りの映画に感動し、本書を手に取りました。駆け込み寺である東慶寺とその御用宿を舞台として本作は、舞台廻し役の語り手が、様々な境涯の女達が駆け込んだ行き立てを、毎回異なった手法で解き明かし、その結末を述べている。舞台設定が同じ短編連作集と云った趣。想像とは異なり、映画は本作品の舞台設定と、登場人物、そして、幾つ . . . 本文を読む
コメント

クリティカル・ブロンド

2020年04月29日 20時21分01秒 | ■見る
2018年製作のアメリカ映画です。秘密諜報員の夫が危険な任務に赴き、人事不省になってしまうが、任務目的を達成したようだ。目覚めることはないとの判断で夫の記憶を強制的に取得しようとするが、訓練によって得た能力により肝腎の記憶がロックされてしまっている。妻は夫の意識にある方法で呼びかけるが、呼び覚ますべきキーワードが分からない。万策尽き、追い詰められた妻は、夫を訓練した人物に教えを請うが・・・。結構難 . . . 本文を読む
コメント

アウトロー

2020年04月27日 17時56分25秒 | ■読む
リー・チャイルド著、講談社文庫刊トム・クルーズ主演で映画化された作品です。「ジャック・リーチャー」シリーズの翻訳された物の中では5作目で、原書では9作目に当たります。最近読んだ1作目の「キリング・フロアー」は1997年の作品で、本作は2005年の作品なので、携帯電話が登場します。リーチャーの切れ味鋭い推理と、先が読めそうで読めないプロットが見事でした。読み進めているうちに、クールで格好良い主人公が . . . 本文を読む
コメント

芸能山城組

2020年04月26日 21時49分13秒 | ■聴く
例によってユーチューブを見ていると、風変わりな演奏に出会った。どこかで聞いた記憶がある。リンクを辿っているうちに思い出した。「芸能山城組」。20代に購入したレコードアルバムが芸能山城組の「地の響~東ヨーロッパを歌う」だったように思う。当時はインターネットなど無かったので、芸能山城組という存在も知らなかった、当時、珍しくて面白そうなアルバムを吟味して購入していた中の1つだった。シュガーベイブのアルバ . . . 本文を読む
コメント

栗林忠道 硫黄島の死闘を指揮した名将

2020年04月24日 20時01分58秒 | ■読む
柘植久慶著、PHP文庫刊栗林さんのことを、クリント・イーストウッドの映画「硫黄島からの手紙」で知り、その実像を知りたいと願ってましたが、たまたま本書を目にして、早速読みました。本書では、栗林さんという人物を最低限押さえた上で、硫黄島防衛の命を受け着任してから最期を遂げるまでの行動を、アメリカ軍の動向を交えて、淡々と述べています。しかし、行間から日米の軍人たちの心理状態が読み取れます。そして、それま . . . 本文を読む
コメント

アヴリルと奇妙な世界

2020年04月23日 21時30分22秒 | ■見る
2015年製作のフランス・ベルギー・カナダ合作のアニメ映画です。物語の舞台は、近代の技術革新が起こらない、石炭と木材だけを燃料としている架空の世界(「パラレルワールド」?)です。その世界のパリではナポレオンの末裔が統治しており、森林を巡って他国と戦争を続けている。戦争に勝つために科学者に協力を強要している。主人公のアヴリルの両親と祖父は科学者で、兵士を不死身にする薬を開発しているが・・・・。奇想天 . . . 本文を読む
コメント

快楽の効用 嗜好品をめぐるあれこれ

2020年04月22日 19時52分28秒 | ■読む
雑賀恵子著、ちくま新書刊本書は、人が好んで摂取するタバコ、食物などを取り上げ、それらにまつわる様々なトピックを紹介し、効用が疑われ、場合によっては害悪にもなるにもかかわらず、人々が惹き付けられてしまう理由の一端を明らかにしようとしている。と思ったら、途中からかなり趣が変わります。特に砂糖から最後の肥満までの流れはは、意表を突きながら、「嗜好品の功罪」とはそもそも何かという視点から、社会システムと個 . . . 本文を読む
コメント

ムタフカズ

2020年04月21日 19時38分31秒 | ■見る
2018年公開の日本とフランスの合作アニメ映画です。酷い環境のスラムで育った主人公のアンジェリーノは、顔のまん丸い黒人(と思われる)。友達のヴィンスと済んでいるが、この男の頭は骸骨で、頭の上に人魂のようなが炎がいつも燃えている。ある時、黒服の男達に襲われて逃げたが、更に正体不明の部隊に襲撃されて、突然アンジェリーノが凄い能力を発揮する。ようやく逃げて、友人のウィリーに隠れ家を提供してもらう。このウ . . . 本文を読む
コメント

影の中の影

2020年04月20日 20時28分20秒 | ■読む
月村了衛著、新潮文庫刊本作を小説新潮連載時に「カーガー」と題した作品で読みましたが、書籍化の際「影の中の影」と改題されて販売されていました。月村さんは書籍化する際に、加筆修正すると聞いていたので、滅多に無い「二度読み」をしました。連載と違って、一気に読むと臨場感が増し、主人公や登場人物への共感が深くなりました。月村さんの代表作「機龍警察」とは異なり、アクション満載で、しかも説得力があるので、「二度 . . . 本文を読む
コメント

翔んで埼玉

2020年04月19日 19時39分09秒 | ■見る
同名の漫画作品を原作とする日本の映画です。埼玉県を笑い倒しつつ、東京の奢りを批判する姿勢に、茨城県人として同感しながら、作中「イバラギケン」と発音したことに自尊心を傷付けられて、エンドロールまで懲りに凝った作品を堪能しました。二階堂ふみさん、GACKTさん、伊勢谷友介さん初め出演陣が真面目に楽しみつつ演じていることにも好感を持ちました。今までの日本映画のウェットさから断絶した乾いたユーモアは、イギ . . . 本文を読む
コメント

ヘッドフォン KOSS KTXPro1

2020年04月17日 19時21分37秒 | その他
KOSS社の「PortaPro」を購入してしばらく経つが、当初、良く分からなかった音質の特徴がだんだん染み込んできた。非常に合理的かつチープな構造で、数百円のおもちゃのような製品だが、コストを抑え、装着しやすい構造は合理主義の権化のような製品だ。音は、低音のしまりが緩く、解像度が低い。今時のヘッドフォンとは比べようもないぼんやりした音だった。しかし、何度か聞いているうちに、この音に慣れてくると違和 . . . 本文を読む
コメント

イヤホン Sennheiser MX375

2020年04月16日 18時47分11秒 | その他
インナーイヤータイプのイヤホンが少なくなった。カナル型に何とも馴染めない私にとっては困ったことだ。ネットでレビューを見ると、同様の感想を持つ人達が散見される。しかも、最近はブルートュースばやりで、益々インナーイヤータイプの形見が狭くなっている。今使っているのは、オーディオテクニカ製のの「ATH-EC707」と「ATH-CM707」、クリエイティブ社製の「Aurvana Air EP-AVNAIR」 . . . 本文を読む
コメント

蒼い記憶

2020年04月15日 19時56分50秒 | ■読む
高橋克彦著、文春文庫刊印象深かった高橋さんの「緋い記憶」につられ、同じ「記憶」シリーズの本書を手に取りました。本書も短編集で12編が含まれています。軽いミステリー調の作品もありますが、ホラーそのものの作品が印象深かった。他者の正体に気付いて恐怖に駆られるパターンがありがちですが、本書では自分の忌まわしい正体が解き明かされる作品もあります。私はホラーを好みませんが、「記憶シリーズ」は、高橋さんの出身 . . . 本文を読む
コメント

ヘッドフォン JVC HA-S160

2020年04月13日 20時57分30秒 | その他
ヘッドフォンとイヤホンが大分たまってしまった。購入する際は、ヘッドフォンは10,000-20,000円のもの、イヤホンは10,000円程度までのもので評価が高い物を選んで購入していた。それぞれに個性があって、楽しみながら、順繰りに使っている。しかし夏は暑いので、普通のヘッドフォンはとても使えない。耳を覆わない製品の登場だ。だからイヤホンが中心となるが、例外は「KOSS」社の「「Porta Pro」 . . . 本文を読む
コメント

流れる星は生きている

2020年04月12日 20時57分23秒 | ■読む
藤原てい著、中公文庫刊太平洋戦争の敗戦の際、満州に居た著者は夫と別れ別れになり、五歳、二歳の男の子と、0歳児の女の子を連れて帰国する。頼るべき夫が居ない著者は、三人の子どもを一人で面倒見ながら、独り身であっても苛酷な帰国への途に就いたのであった。名高い作品なので、いつか読みたいと思いながら40年が過ぎてしまった。しかし、著者の我が子に対する愛情と無事国へ連れ帰らなければならないという必死さは、現在 . . . 本文を読む
コメント