快気分析

何か快適な気分になれるような記事にしたいです。

仕組みとアプローチ -  「深発地震の発生が特に減少していない」と言う見方の落とし穴

2017-06-12 07:24:33 | 地震 津波
 6月4日の記事、サブタイトル「プレートの動きが鈍ったわけではないのは、深発地震の発生が特に減少していない事から明らか、そして地殻のストレスは・・・」で深発地震の発生について書いたのですが、その後どうも違和感が残っていたのでもう少し考え直しました。
 深発地震の国内の分布は6月4日の記事では次の引用をしました。

引用開始(一部抜粋)

http://www.hinet.bosai.go.jp/hypomap/?ft=1&LANG=ja

引用終了

 Hi-netで見る限り、深発地震が特に減少しているようには見えなかったのですが、これは良く考えると筆者が錯覚していた面が有りました。
 それが何かと言うと、Hi-netではM4とM5とかのように、マグニチュードが1違っていてもそのエネルギー相応に○印の面積が約31.8倍にはなっていないのです。
 なのにM3~M4とかの小さな地震が多数あるだけ見て、単純に「深発地震の発生が特に減少していない事から明らか」と見てしまいました。
 実際にはM3~M4とかの小さな地震が多数ある程度では、地震のエネルギーの面ではM6とかが僅かしかない程度と見ても良い、と言う考え方もあるわけです。
 一方、プレートや地殻の動きにはスロースリップもあるわけですから、必ずしも地震のマグニチュードのエネルギーだけが動きの勢いを示すわけでは無いのですが、それでも大体の傾向としては「深発地震のエネルギーは減少傾向」と言う事は言えるのではないでしょうか。
 EMSCでM6.5以上かつ深さ100km以上について去年1月からについて見てみると、

引用開始(一部抜粋)

2017-05-09 13:52:12.2 14.60 S 167.41 E 186 6.8 VANUATU
2017-02-24 17:28:44.3 23.36 S 178.81 W 410 6.9 SOUTH OF FIJI ISLANDS
2017-02-21 14:09:04.2 19.29 S 63.93 W 597 6.5 CHUQUISACA, BOLIVIA
2017-01-22 04:30:23.8 6.20 S 155.10 E 150 7.9 BOUGAINVILLE REGION, P.N.G.
2017-01-10 06:13:47.9 4.48 N 122.59 E 630 7.3 CELEBES SEA
2016-12-21 00:17:17.4 7.56 S 127.90 E 177 6.7 KEPULAUAN BARAT DAYA, INDONESIA
2016-11-20 20:57:43.8 31.61 S 68.78 W 116 6.5 SAN JUAN, ARGENTINA
2016-10-19 00:26:02.5 4.92 S 108.24 E 645 6.6 JAVA SEA
2016-09-24 21:28:40.9 19.82 S 178.25 W 587 6.7 FIJI REGION
2016-08-31 03:11:36.3 3.69 S 152.78 E 513 6.7 NEW IRELAND REGION, P.N.G.
2016-07-29 21:18:30.2 18.58 N 145.51 E 267 7.7 PAGAN REG., N. MARIANA ISLANDS
2016-05-28 05:38:49.7 21.98 S 178.19 W 399 6.9 FIJI REGION
2016-05-27 04:08:41.9 20.77 S 178.68 W 545 6.5 FIJI REGION
2016-04-13 13:55:17.7 23.14 N 94.93 E 137 6.9 MYANMAR
2016-04-10 10:28:58.9 36.51 N 71.26 E 221 6.6 HINDU KUSH REGION, AFGHANISTAN
2016-01-30 03:25:09.8 54.03 N 158.54 E 159 7.2 KAMCHATKA PENINSULA, RUSSIA
2016-01-24 10:30:30.1 59.66 N 153.45 W 128 7.1 SOUTHERN ALASKA

引用終了

 これもまたマグニチュードが1違うとエネルギーが相当違う事を観点では単に回数だけでは判断できないのかも知れませんが、去年1年間に比べて回数は減っているものの、

2017-01-22 04:30:23.8 6.20 S 155.10 E 150 7.9 BOUGAINVILLE REGION, P.N.G.
2017-01-10 06:13:47.9 4.48 N 122.59 E 630 7.3 CELEBES SEA

が有ります。
 つまり回数は減っているものの大規模化している点、そして去年はM7以上が、

2016-07-29 21:18:30.2 18.58 N 145.51 E 267 7.7 PAGAN REG., N. MARIANA ISLANDS
2016-01-30 03:25:09.8 54.03 N 158.54 E 159 7.2 KAMCHATKA PENINSULA, RUSSIA
2016-01-24 10:30:30.1 59.66 N 153.45 W 128 7.1 SOUTHERN ALASKA

と言うように環太平洋の北半球15度以北であったのに比べ、今年は環太平洋の赤道近辺に集中している、と言う点でしょうか。
 この傾向が今後も続くかどうかはわからず、また続いたとしてもそれが浅い震源の地震にどう影響するのか、というのもまたわかりません。
 現時点までに限れば、「今年は環太平洋の赤道近辺に集中していた為にそれ以外のエリアでやや静穏化が続いていた」と言う状況だったのかも知れないとも考えられますが、真相はどうなのでしょう。