お正月映画は暮れに観尽くしてしまったから、新春公開の作品から選んだのは城定監督が脚本も書いた地味な作品
「アルプススタンドのはしの方」「愛なのに」と、このところ絶好調な監督だから何かしら楽しませてくれるんじゃないかと若干の期待。1月6日公開初日の初回、今年も一番通うことになるだろうホームグラウンドTOHOシネマズららぽーと横浜の小さな小屋に入ると誰もいない。もう開映時間なのに前から二列目の真ん中にはわたくしだけがポツンと座っている。もしかして小屋を間違えたかと一旦確認に出てみるが間違い無いようだ
この映画も2週間で打ち切りだな
お話は図書館に勤めるメンヘラ系元カノが、ダンサーを目指しているリア充系今カノと共謀して彼氏が所有している自分たちの写真を破棄するまでを描く。その過程で水と油のような二人の女子が名前で呼び合い友達のようになってゆく
元カノを演じるのは松本穂香。おっとりした地味な顔立ちがピッタリなんだけど、ショートカット丸めがねがauのCMキャラと被ってしまいなんだか造作を失敗した感がある
今カノは前年「窓辺にて」で物語のキーパーソンとなった学生小説家を演じ存在感を示した玉城ティナ。あの役とはまるきり違う役者のような雰囲気で、この女優化けるかもしれないと思わせる
2時間に満たない小品でコンパクトにまとまってはいるから、他人にオススメはしないけどまあそれなりにって言うとこかな。軸はあるけど枝葉が無い(弱い)。リベンジポルノに対するアンチテーゼなんていう主題が全面に出るわけじゃ無いし、女子二人の友情物語にしては足りないし、全てがそれなりの半端さなのだ
彼氏の家に住むボケ始めたおばあちゃんとの接点もボンヤリしているから勿体無い。もっと上手い設定できただろうに
思わせぶりな小物として写真集が使われるけど、絶版になっていて結構大きな図書館にも所蔵されていない筈なのに二冊も使われているのも解せない。その写真集に挟まっていた今カノの寝顔の意味するところがまた不可解だ
写真家の彼氏が言ってた、仕事で撮る写真じゃなく本当に美しいものを撮りたかった一枚だとしたら
そうであるなら、彼氏は本気で今カノが好きなんだろうし元カノがその写真を見た時に涙した意味がわかるけど、消去して欲しいと言われたのにプリントまでしていたのは単なるポルノグラフィティーだとも取れる
その辺の説得力が無いため曖昧な印象で終わってしまった
結局、本編上映開始から数分後に年配の男性が一人入場してきたので、小屋を出るときは二人になっていた