映画と渓流釣り

物忘れしないための処方箋

それが好きだと言うこと 2月の頃

2016-02-23 12:24:07 | 旧作映画、TVドラマ
 40年前、町に一館だけあった映画館で観た映画の半券をノートに貼り付け、短い感想を書きました。テレビで観たマックイーンがカッコよかったとか、ヘプバーンの王女様は可愛かったなんていう微笑ましいものです。高校生になると電車に乗って、前橋や高崎までロードショウを観に行くようになると、監督や脚本家によって面白さに差が出る事を知りました。

  こんな風に感想を書き込み、見知らぬ誰かに読んでもらう日が来る事なぞ、夢にも思いませんでしたね。今はもう、モニターでの鑑賞を足しても年間50本位しか観てないけど、この40年で多分3,000本近くの映画に出会ったと思います。マニアの方からすれば足下にも及ばないだろうけれど、わたくしの財産ではあります。知り合う人によく尋ねられるのが、「好きな映画何ですか?」とか「何が一番面白かったですか?」という質問。これはとても困ります。好きなもの有りすぎて選べないし、面白いってそもそもどういう事なのか難しい。

 そんな時決まって紹介する映画が、2月の頃「旅芸人の記録」。

岩波ホールの硬い椅子に四時間   若かった自分が試された頃

 初見、特にインターミッションが入るまでは苦痛でした。だって何がなんだか分からないんですもの。仕様が無く禁断のパンフレット覗き見をしてみると、おぼろげながら物語が見えてきました。’39年から’52年までのギリシャ現代史が理解できていないと面白さの1/10も享受できないので、2回目に観るまでには結構勉強して行きましたよ。数千年の歴史を有する国の神話や悲劇の物語なども素養としてもっていた方が、より一層映画の力が伝わるだろうなぁと思ったものです。
 わたくしが感激したのは、テオ・アンゲロプロスの作劇でした。四時間近い大作なのに殆んどのシーンをワンカットで収める力業と計算されつくした技術力に感服。(8mmフィルムで学生映画ごっこしていたので、かなり影響されました)時間軸をワンカットの中で飛び越えてしまう自由な発想に目眩がしちゃいました。

 今でも聞かれれば(映画として最高の傑作だと思います)と答えるこの映画。
多感なあの頃に出会わなければこれほどの思い込みは無かったでしょう。思春期に漱石の「心」を読むのと同じ感覚なのですと言えば、分かっていただける人は沢山いるかしら。

  


見逃した旧作三連発、そして+1

2016-02-14 09:05:38 | 旧作映画、TVドラマ
この飛び石連休、横浜に帰って映画三昧の日々です。
と言っても去年公開されたのに見逃していた作品ばかりですけれど。
横浜のニュータウン(今や死語なのか)にあるイオンシネマが、アンコール上映をやってくれたおかげでわたくしのような根性無しの映画好きには嬉しい番組編成です。
もう二番館はおろか名画座さえ死滅してしまった映画館環境の中、トーホーシネマズの午前10時の名作上映会と共に貴重で勇気あるチャレンジだと評価して欲しいな。(後述するけどお客さんは異常にすくなかった)

            「マッドマックス 怒りのデス・ロード」 
            
メル・ギブソンが砂漠を走り回って、オーストラリア製の生きの良い映画がある事を知ったのはかなり前のこと。わたくしは普通の男の子が好きなアクション映画が苦手で、なんかハリウッドの模倣映画のようでまったく気にも止めなかった。この映画も観た人が皆こぞって褒めなければ気にしなかっただろうし、まさかのキネ旬洋画一位に選出されなければ観ようとは思わなかったはずです。
いつもの通り奥様がベタ褒めしますから、またもや仲良く夫婦50割引(これまた席は離れ離れですけれども)。映画館の設備の差が感想の差になるだろうと思いました。イオンシネマは一番大きなスクリーンで観せてくれたので、最初から最後までずっとハイテンションのまま楽しめました。作り物と分かっていても、スタントマンの人たちは大丈夫だったのか心配になるほどの壊れ方でした。走行中ギターをかき鳴らしていた人の狂気がこの映画を際立たせておりました。
観客はわたくしども夫婦入れても十人に満たない寂しさでした。


              「あ ん」
             
おばあちゃんが上手にあんこをつくる話しだと思っていました。確かに美味しいあんこを作って皆に喜んでもらうのはそうなんですけれど、流石河瀬直美監督それだけの薄っぺらな映画などつくりませんでした。わたくし良い意味で騙されました。イーストウッドの「ミリオンダラーベイビー」を観た時に似た感動です。
ハンセン病、隔離された人生の悲しみ、モノを作りヒトに喜んでもらう嬉しさ、わたくしの心の何処かにある差別(毛嫌い)。う~ん。どんなに美味しいどら焼きだとしても、ハンセン病は今や怖い病気じゃない事を知っているのに、わたくしはあの店であのおばあちゃんが作ったあんこを食べられるかしら。と、思うのです。正直な気持ちなのです。郷里の隣町にも隔離病棟がありましたので、子ども心に植えつけられた偏見があるのかもしれません。店長さんも女子中学生も偉いな。いい歳こいたわたくしは恥ずかしいな。でも、どうしたらいいのか分からないし、手を差し伸べられる勇気もありません。かなりショックな作品でした。「萌の朱雀」や「殯の森」のようなわかり辛い感覚映画じゃなくて、素直に感激いたしました。お客さんはわたくし入れて四人。


             「恋人たち」
             
「ぐるりのこと」は今でも未見だけれど、ずっと観たいと思っている作品です。実は橋口監督作品一本も観てません。だから去年キネ旬邦画No1の本作品はとても期待していました。
三組(人)の恋人たちとそのぐるりの事が描かれています。通り魔に妻を殺害され生きる意味を見失いそうな男が一人。平凡な主婦がパート先の弁当工場に出入りする男を介して覗き見る自分の知らない世界と日常のギャップ。若き弁護士がゲイである事と、秘めた親友への恋慕の狭間で生きる事の難しさに悩む姿。どこかにあるのだろうけれど、わたくしのぐるりには見当たらないので感情移入する事はありませんでした。通り魔に妻を殺された男の上司が元過激派で左腕を失った過去も、そんな人会ったこと無いな。説得力あって人としては凄いけれど。あと、妻のお姉さんの不安定な饒舌さも会ったこと無いけれど凄かった。
わたくしには遠い世界のお話しとしか感じられず、物語を堪能することは出来ませんでした。
観てる人、とうとう三人。
せっかく良作をアンコール上映してくれたのに、観る側のわたくしたちがこの程度の体たらくではいつまでたっても本当の良い物は日の目を見ませんね。残念です。


           「ソロモンの偽証 前篇・後篇」
             
最近放送されたCSを録画して観ましたので、映画館での鑑賞ではありません。
良く言われているように、前篇の事件はとても上手に出来ています。主演の女の子は出自を存じ上げませんが、おでこが可愛らしい控えめな和風美人ですね。声が低いのもキンキン声やアニメ声の子が多い昨今かえってオリジナリティーがあり存在感を感じさせます。後篇の裁判がもっと完結にまとめられていれば、わざわざ二部作にしなくとも三時間半の大作って言うことでもっと評価は高かっただろうと思います。
題名に宮部みゆきの名前が入っていたのは何か訳があるのでしょうか?ちょっと違和感がありました。
成島監督お上手です。





We Love Sushi Return

2016-02-06 19:41:54 | お料理
光の春が来て、またまた行って参りました。

みんな大好きお鮨食べ放題です。

今回は、R子さんの国家試験合格祝いとの名目でした。

秋に行った、大将お任せ無制限一本勝負のお店を予約しようとしたのですが、

なんと、大将病気で入院治療のため廃業との事。

巡り合わせではありますが、もう一度あの緊張感の中お鮨を頂きたかったな。



(写真は自作の🍣 鯵、鰤、鮪腹身、烏賊、聞いた事ない白身の魚)


(自作🍣こちらは中トロと鮪のヅケも)

そんなこんなで名古屋の中心、栄にある老舗のお店に突入です。

システムはオーソドックス。

自分の食べたいネタを2時間以内いくらでも食べ放題。

ただし、雲丹は一人二貫まで。お残し一貫につき220円也の罰金あり。

最初に雲丹を含む六貫程のお仕着せと、酒肴になりそうな先付で始まりました。

盛られたお鮨が無くなるとオーダー票に正の字書き入れて注文出します。

いつもの事ですが始まりの20分位は、凄まじいスピードで消化されていきます。

鮨ネタは30種位ありますが、ボリュームのある手巻と軍艦が3分の2を占めてます。

必然的に握りの10種の中から選ぶようになりますので、選択の幅はそう広くはありません。

かなり安価な金額のため、まあ致し方ないでしょう。

敬愛するM子姉上は、コメ食い女の意地で30貫を食べきり満足そうでした。

肉には強いが鮨には弱いT川氏も、最後の手巻に苦しみましたがお残しありません。

プリプリ海老が一番美味しかったかな。

みんなで食べると何故だか楽しいね。

またいつか行きませう。元気だからこそ、心置きなく食べられるのですもの。