映画と渓流釣り

物忘れしないための処方箋

眠れぬふたりの恋「君は放課後インソムニア」

2023-06-27 06:23:00 | 新作映画
原作は未読だけど、今放送されているアニメは毎週キュンキュンしながら観ている
それ故に映画化されてこのタイミングで上映されると聞いてすごく楽しみにしていた
多分原作も完結していないのだろうし、放送されているアニメも結末を迎えているわけじゃないから映画作品のまとまりとしてはこれでいいのだと思う

終盤までの粗筋はアニメ通りだから新しい感動は無いけど、二人だけで星空の撮影旅行に出かけてから迎える大団円にいちいち涙ぐんでしまった
特に縄文時代の遺跡場所で告る場面はオジサンにはたまらない。おかわりもう一杯






スレスレ難病ものに着地させなかったのもポイント高い
原作はどうなっているんだろう。何だか二人を応援する側からすると悲しい未来にはならないで欲しいな

森七菜が完全にヒロインになり切っている。元々憑依型の女優だから等身大の女子高生を瑞々しく演じている。実はあまり彼女の事好きじゃないので作品を選んで観ることはないのだけれど、いさきちゃんは森七菜なくしては実現化できなかったと思わせる

所謂キラキラ系の青春ドラマじゃないから原作やアニメ好きな人以外には訴求できないかもしれないが、不眠(眠れない理由が切ないんだよ)を主題にした青春物語って今までなかったと思う

ネタバレになっちゃうけど、アニメで一番好きな5話の挿話が映画になっていなかったのは残念。学校行事でキャンプに行った浜辺で朝を迎えるんだけど、寄り添って眠る二人が可愛くて仕方なかった。あのシーンがラストに用意されていれば文句なく幸せな気持ちになっちゃうな







変わりゆく渓

2023-06-20 06:16:00 | 釣り
2日目は最上流地区で遊ぶため、西桂と富士吉田の境にある穴口堤が見下ろせる空地にテントを張る
忘れていたがこの時期肌を露出させると群がってくるあの厄介物ブヨの大群に襲われた。両足首回りが夥しい刺されあとで2日経った今も熱をもっている。アイツにはそこそこ耐性があると思っていたが、これだけやられると流石にヤバイ

上流域も適度の増水で魚は活性している。昨日も釣り人が入渓したようだが、ルアーかフライの人だったみたいで疑いなく黒川虫に喰らいつく。小指サイズの幼魚も含めると半日で50尾位の釣果にはなるけど、大きな魚は6m竿04糸では殆ど獲ることはできず、千切れた糸を結び直す時間が瀬音に流れてゆく



杉の大木が淵を埋めてしまい思う様に仕掛けを流せない
これも魚の保護だと思えばまあいいか


この淵も大物が潜む実績あるポイント
しつこく流しても今日は八寸止まり





分かりづらいけど、浅瀬まで引き寄せた美形の虹鱒
パワーがあるので広い淵を縦横無尽に暴れまわった





木々の間から富士吉田のゴミ焼却炉(煙突)が現れる
ここから先、桂川は幾筋にも分流してゆく


このコースの終着である滝に近付いてその変わり様に目を疑った
滝が見えない!






何と、手前の右岸側の斜面が崩落して木々が川を塞いでしまっている
土砂で埋まった場所は必ず釣れる好ポイントだったのになぁ
滝下の大場所にも暫くは行けそうもない
それでもこれは自然が起こした変化。昨日見た人の無作為による破壊とはまるで違う
来年にはまた違った楽しみを与えてくれるだろう


隊長見てますか?
長年通っている川が少しずつ表情を変えていきます
人も歳をとり老いていくのは仕方ありません

わたくしはもう少しだけこの川の流れに添いたいと思います







梅雨の中休み いい感じに増水

2023-06-19 15:08:00 | 釣り
6月初めの大雨が石を洗い川はいい感じに増水している

土曜日は先週の仕事疲れが抜けずダラダラとプライムビデオに浸ってしまったので、心機一転明け方から竿を振ろうと桂川最下流部の崖を下る。このコースもあと10年いけるかな?途中のスラブを越えるのも大岩の高巻きもキツくなってきた。滅多に釣り人が入らないから密かに楽しめる取って置きの場所だけど、寄る年波には敵わない。寂しいけど

水位が高いので投餌するだけで気持ちいい。流れに仕掛けが馴染むと小気味良いアタリが目印に表れる。尺越えの大物は掛からないけどこの時季の魚はグラマラスでパワフルだから、深い淵や早瀬でヒットすると手強い
先日観たCSの本流釣り番組で釣師が言ってたけど、「一本竿で釣る楽しみは魚と互角に勝負できる」そのココロは限られた竿の長さと同程度の糸で勝負するしかないからだと。しっかりフックすればルアーもフライも勝負は不公平。一本竿の様に右往左往させられた挙句糸切れなんて事はない

今日は大物仕様で長竿06の太糸
それなのに水量がある流心で40cmオーバーが掛かると切られてしまう
悔しいけどライバルの奮闘を讃えよう







巨岩帯を抜けるとこんな増水時に楽しめる段々瀬から平瀬のポイント
の、筈が





去年から工事しているのは知っていたが、こんなに酷いとは
川筋は原形を留めず直線的な水路になってる。魅力的だった渓相は見る影もない
山梨県知事、誰だか知らないけど人口非常宣言出す前に、もっと魅力的な故郷づくりを考えろよ
こんな破壊を平然と行う土木行政も酷いが、検証しない都留漁協も無責任だ

あと何度大水が出ても、10年は魚がつかない死んだ流れになってしまった









「掘る女」に寄せて

2023-06-14 18:55:00 | 旧作映画、TVドラマ

ドキュメンタリー映画はモニター鑑賞も含めて、年に2〜3本しか観ない
それなのにわざわざ横浜市歴史博物館まで足を運んだのは、松本貴子監督作品だからだ
前作「氷の花火」は世界的なファッションモデル山口小夜子を題材に、彼女の秘められた素顔をあからさまにする事で傑作となった。処女作である「わたし大好き」も当時知る人ぞ知る前衛芸術家の草間彌生を正面に見据えた力作だ

さて、前作から7年のインターバルで紡ぎ出された作品は、随分と予想を覆す題材だった
癖の強いアート系女性を主題にした過去作とは180度ソッポを向いていて、土臭い(泥臭い)女性たちの執念が描かれている。何故この世界を描いたのかは、上映後に行われたトークショウで明らかになるのだが、なんとキッカケは渦巻き好きが高じてのめり込んだとのこと(縄文土器には渦巻き模様が多用されてるらしい)
何のこっちゃ?
奇人にはそれなりの理屈があるのだろう

中心的に紹介されるのは4人の女性
現役最後の仕事として、何年間も山の中で石器の材料になった掘削場所を掘る人
バイパス道路工事の側道に過去の痕跡を追い、地元のオバちゃんが提供してくれるお八つをニコニコ頬張る人
就職を控え後輩の面倒をみながらも地べたに這いつくばって土器を掘り、地元自治体の考古学学芸員の道を選ぶもの
そして、当たり屋と言われるらしいが、希少埋蔵物を掘り当てるごく普通の主婦作業員
皆さん飄々としていながらも、執拗までの情熱で掘り続ける

人はやっぱり分からない
こんなにも夢中になって過去を掘りかえす女性たちがいるんだ






今回の作品も稀有でありながら普遍的に生きる女性像を際立たせた演出に拍手したい
唯一残念に思ったのは、焦点が数人に分散された事で個々人のユニークさの深掘りに欠けてしまったことだ
フェリーニが傑作「ローマ」で描いたエピソード(ローマの地下で発掘した壁画が2000年後の空気に触れた途端色褪せてゆく)の様な劇的で異次元の視覚体験を望むことは高すぎるハードルだろうか?


最後に
言い忘れていたが、松本貴子監督とは学生時代映画研究会で一緒に映画製作をした仲間
酒飲みながらこの次はどうするの?と、問えば
まだ彼女の脳味噌の中で渦を巻いている最中だと・・・
渦巻き好きな監督らしい