映画と渓流釣り

物忘れしないための処方箋

純和式世界観 海街四姉妹

2015-06-30 11:52:41 | 新作映画
本当に暫く振りの映画鑑賞。
今年一番期待していた「海街diary」を観て参りました。
監督は今一番信用できる是枝監督。女優は、綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、そして広瀬すず。なんとも贅沢な共演。考えられる最良の組み合わせです。

日本の美しさ、ここに


鎌倉 四姉妹 梅酒 縁側 

高台にある古い日本家屋はそのまま小津映画の舞台になりそうです。
鎌倉は江ノ電に乗って何度も訪れた町ですが、映画のような四姉妹が住んでいそうなリアリティがあるのは事実です。
実際、北鎌倉方面には住み心地は兎も角、古い日本家屋が多いような気がしますし、それが独特の風情になってもおります。
日本が世界に誇る和の美しさがふんだんに登場するのは嬉しいですね。

でもでも、
是枝作品としてなら凡庸としか評価できません。
四姉妹をつくり込むと、どうしてもリアリズムから離れたものになって行くのは理解できます。それが物語ですから、そこにドップリ浸かれれば楽しめるわけですね。普通の映画はその様に作られていますので正解なんでしょうけど、是枝作品の妙味はドキュメンタリーのようなリアリズムなのです。それ故に、小津映画のような画になってしまうと魅力的な映像にはならないのです。

四姉妹はキャラクターがわかりやすく描かれていて、さすが一流監督のお仕事でした。
その他、脇をしめる役者達が贅沢でした。これも世界的監督作品に出演したいがためのなせる業でしょう。
しかしながら、ここにも不満が残ってしまうのです。四姉妹の大叔母を樹木希林に演じさせるのはgood。でも、あんなに人の良いばあちゃんじゃ勿体無い。もっと「歩いても歩いても」の時のような嫌らしさがないと。母親の大竹しのぶも同様勿体無い。「誰も知らない」でyouが演じたみたいに無責任な軽さが欲しかった。長女綾瀬はるかの不倫相手として堤真一が使われていますが、これまたミスとしか思えません。良い人なのか嫌な男なのか描かれ方も不明瞭。次女長澤まさみの上司役、加瀬亮もこれから次女とどうなるのか良く分からんですね。リリーフランキーと風吹ジュンも持ち味が出し切れていません。三女夏帆のお勤め先の店長は山に登りたいのか三女と一緒に居たいのか?う~ん。よく分からない。
唯一、四女広瀬すずのボーイフレンド前田くんが「奇跡」の時から大きくなって、あのまま好感の持てる少年を好演してました。

吉田秋生の原作を読んでいないので何とも言えませんが、前述の登場人物はどの人も味わい深いキャラなんだと思います。映画でも切り捨てられない人々だったんでしょう。だけど、それでも原作と同じじゃなくて良いのではないですか?原作のファンには申し訳ないけど、わたくしは是枝diaryが観たかったのです。

批判ばかりになりましたが、四姉妹は本当に素敵でした。
綾瀬はるかは典型的な長女を上手に演じてました。堤真一との不倫関係や、母娘の確執と情愛もわかりやすく体現できているのは流石です。四女すずを母性と父性を併せ持った包容力でかかえこむ姿に菩薩を感じもいたしました。
次女を演じた長澤まさみも次女らしい奔放さで、憎めない可愛らしさです。この四人で歩くシーンが多いのですが、彼女のプロポーションは抜群ですね。喪服を着るシーンも多いので一層目立ちます。金融機関の窓口で働いているのにダメンズ好きな酒呑み女を楽しそうに演ってます。
四姉妹で一番難しかったのが、三女役の夏帆だと思います。次女からは変わり者扱いされてましたが、四人の中ではバランスのとれた気配りの人だと思います。家族には遠慮ない厳しい物言いをする長女と気ままな次女を取り持つのは彼女しかいないし、四女に気軽に寄り添えるのも彼女です。この手の役がホント難しい。
最後になりましけど、この作品が成り立っているのは四女役を等身大で演じ切った広瀬すずの存在でした。監督も彼女を如何に活き活きと映しとるかに重点を置いていました。桜のトンネルを自転車で駆け抜けるシーンの神々しさを観てください。この娘のためにしっかり生きて行こうと、三人の姉達でなくとも思ってしまいます。

重ね重ねも残念な結果になってしまった作品でした。
原作は完結していないらしいので、映画も続編化してもらい今度こそは良いものにして欲しいな。


おじさんブラブラ旅情

2015-06-22 17:05:25 | お遊び
 先日の土曜日、岐阜市にそびえる金華山へ出かけた。
よせば良いのに一番キツイ馬の背コースに挑戦したため、もう少しで遭難するところだった。(大げさですか?)
山登りは常にそうなんだろうけど、頂上に立った時の達成感や開放感が素敵だ。
東京タワーより標高低い山でも、一歩一歩続く道程と解決するために必要な自分との戦いは同じだ。

       頂上にはお城

    その昔、信長もこの風景のひとつだったとか


       古き良き街並み

   地方都市はどこもそうだけど、人に出遭わない

ロープウェイで楽々下山し、岐阜の街をそぞろ歩いた。
ちょっとした小路には時間が止まった場所がある。
時間も順路も決めないブラブラ散歩。
昨今テレビでもてはやされているコンテンツだけれど、
自分でやってみると、なるほど楽しい。
僕ら世代には懐かしい(柳ヶ瀬ブルース)の柳ヶ瀬商店街でお酒をしこたま呑み、
街外れの銭湯で世の塵洗い流し、気が付けばもう夕方がやってくる。


隊長リハビリ中

2015-06-19 16:12:46 | 釣り
 先日、横浜に帰った際、隊長のお見舞いに行ってきた。
ちょうど、歩行リハビリの最中であったため見学したのだが、
思っていた以上に元気で、リハビリも上手くいっている模様。
一安心。
 
 来週郷里の福岡で2ヶ月ばかり仕上げのリハビリをして、
秋には東京に帰ってくる予定だという。
計画通りにいけば、来春はゆる~い川なら立てるかな?


それが好きだということ 6月の頃

2015-06-09 17:12:37 | 旧作映画、TVドラマ
  6月の頃 「ミッドナイトエクスプレス」

大学生になって都会に出てきたわたくしは、何が何でも沢山の映画を観ようと決心してました。
学校のサークルには70年安保を引き摺ったような先輩もおりましたが、一番びっくりしたのは途轍もない量の映画鑑賞をしている人がこの世に存在した事です。

ある日、その中の一人に「タクシー・ドライバー」の鑑賞を薦められて行った名画座で出会ってしまったのが、6月のお話し「ミッドナイトエクスプレス」でした。
監督のアラン・パーカーは「小さな恋のメロディ」の生みの親だし、プロデューサーのデビッド・パットナムも同様。そして脚本はその後に「プラトーン」で一世を風靡したオリバー・ストーン。そりゃ面白くない訳ないですね。
所謂脱獄ものなので、傑作映画の王道なんですが、暗い画面がひたすら続く後に訪れる光溢れる開放感がやっぱり気持ち良い。「ショーシャンクの空に」にも通じる快感です。

今のように配信で好きな時に好きなコンテンツを自由に選択できるなんて夢にも思えなかった時代。
DVDどころか家庭用ビデオさえなかったあの頃。わたくしたちはぴあを片手に名画座のハシゴをしたものです。渋谷や池袋は名画座だらけでした。300円で3本の名画(傑作)を観る事もできたのです。今の若者は自由なスタイルで矮小なモニターを覗く方が落ち着くんでしょうね。でもね、映画は大きな画面で観てもらう事を念頭につくっているし、映像も音楽も役者の会話でさえ浴びるように観なければ本当の感動は味わえないんだと思う。
わたくしたちはその意味でも、幸せな映画世代ではあります。