2013年は名古屋へ単身赴任したこともあり、年間20本の邦画鑑賞を目標にしていましたが、結果半分くらいになってしまいました。特に三月から五月までの過渡期は落ち着いて映画を観ているほど余裕が無くて、見逃した作品も多くDVD鑑賞でお茶を濁させていただいた作品もございます。
①そして父になる
好きな監督の好きな題材でしたので、観る前から期待しておりましたし期待通りすばらしい作品になっておりました。わたくしも小学2年生の息子がいますから、身につまされる内容でもありました。それにつけても、是枝監督の子供に対する演出は賞賛するしかありません。二組の夫婦もステレオタイプな描かれ方でしたが、説得力があり好感の持てる家族として印象に残りました。キネ旬6位でした。
②舟を編む(DVD)
三浦しをんの原作は映画化されると評価高いですね。
本屋大賞の原作を手堅く映像化したなというのが印象です。「川の底から・・・」のように奇を衒ったつくりではなく、日本映画のお手本のような丁寧な作り方はこれからの期待につながります。良い映画を沢山撮って欲しい監督です。
主役も脇役もでしゃばらず、気持ちの良いアンサンブルでした。キネ旬も2位でした。
③風立ちぬ
宮崎監督の遺作となるのでしょうか?
そこ此処に死の影が忍び寄る雰囲気は今までの宮崎作品には無かったことですし、初めて大人の女性(SEX)をとり上げたことも驚きでした。空・風・少女・飛行機、自分の好きな題材を好きなだけ描き、万人に幸福感を与えられたことは作家冥利につきますね。本当に幸せな作家だと思います。キネ旬は7位にしています。
④モラトリアムたま子
これまたキネ旬常連の山下監督作品。小品すぎてランクインしないだろうと思っていましたが、9位になってました。
80分にも満たない中編なので、スルッと終わってしまいます。山下作品に慣れていない人には何のことやら分からないだろうなぁと心配になるほどです。前田敦子を観に来たお兄ちゃんには厳しかっただろうと察します。
何も起きない終わらない映画でほっこり出来るのも乙な楽しみじゃないですか。
⑤少年H
原作がしっかりしている作品は、よっぽど脚本家がでしゃばらない限り上手くいくことが多いのですが、この作品も例に漏れず安心して二時間を過ごすことのできる佳作に仕上りました。
水谷夫婦が物語の中でも夫婦を演じましたが、本当に息の合った感じが伝わってきて気持ちよかったです。欲を言えばこのような映画がオリジナルで作られる映画界であることが一番大切なことです。キネ旬番外。
⑥清須会議
三谷作品の常識を覆すような真面目さで見せてくれる映画でした。前半部分は何時笑わせてくれるのだろう?と期待しながら観ていたのですが、終わってみればきっちりした本格時代劇になってました。いつものように贅沢な役者使いです。役者も三谷に使われるのを楽しんで演じています。怖い監督ばかりが優秀な演出家ではないんですね。
キネ旬は今回もランクインさせませんでした。そんなに頑なにならなくても良いと思うのですが。
⑦さよなら渓谷
2013年に観た映画の中では一番重たい映画でした。
日本人が男と女を描くと、どうしても重くならざるを得ないのでしょうか?この重さが若い人たちには暗いと勘違いされて、暗い=詰らないとなってしまうんでしょうね。人と人が年月と愛憎を深めてゆけば、人知れない渓谷にひっそり佇む深淵の如く得体の知れない不気味さを内包するのかもしれません。キネ旬8位。
⑧はじまりの道(DVD)
くれよんしんちゃんの原監督がいよいよ実写を撮りました。忙しさにかまけて劇場鑑賞できず、DVDで失礼いたしました。尺といい物語のキレといい無駄を省いていて気持ち良いつくりです。多分に初実写版ともなればもっとフィルムを回しかったと思うのですが、最小限に抑えています。ここまで抑えていながら蛇足と感じてしまったのが、木下恵介監督に対する思慕の強さゆえの作品オンパレードでした。ランクインしそうな作品ですが、キネ旬番外です。
⑨かぐや姫の物語
これまた遺作となる可能性大な高畑監督作品。どうしても宮崎監督と比較されてしまうし、万人受けするのは明らかに宮崎作品ですからこの作品のために費やした8年の歳月は精神的重圧を察するには余りあります。日本人なら誰でも知っている物語を、今、正面から取り上げた理由は何なのかわたくしには思いもよりません。技術的な高さも素人には意味がありません。それでも、挑む思いの強さ。キネ旬は敬意を込めて4位でした。
⑩言の葉の庭
新海誠作品、得意の中篇。都会の谷間に広がる公園に降りしきる雨の美しさ。年上の女性との密やかな逢瀬。いつも喪失感を漂わせる色の配置がこの作品でもベースにあります。「秒速・・・」の感激までは得られませんでしたが、ジブリや細田アニメだけが日本映画界の至宝でないことを思い知らせてくれます。これからも丁寧な映画作りをしていただければ寡作でも我慢いたしましょう。キネ旬には認められませんでした。
今年も出来る限り沢山の映画と出会えるよう努力いたします。
①そして父になる
好きな監督の好きな題材でしたので、観る前から期待しておりましたし期待通りすばらしい作品になっておりました。わたくしも小学2年生の息子がいますから、身につまされる内容でもありました。それにつけても、是枝監督の子供に対する演出は賞賛するしかありません。二組の夫婦もステレオタイプな描かれ方でしたが、説得力があり好感の持てる家族として印象に残りました。キネ旬6位でした。
②舟を編む(DVD)
三浦しをんの原作は映画化されると評価高いですね。
本屋大賞の原作を手堅く映像化したなというのが印象です。「川の底から・・・」のように奇を衒ったつくりではなく、日本映画のお手本のような丁寧な作り方はこれからの期待につながります。良い映画を沢山撮って欲しい監督です。
主役も脇役もでしゃばらず、気持ちの良いアンサンブルでした。キネ旬も2位でした。
③風立ちぬ
宮崎監督の遺作となるのでしょうか?
そこ此処に死の影が忍び寄る雰囲気は今までの宮崎作品には無かったことですし、初めて大人の女性(SEX)をとり上げたことも驚きでした。空・風・少女・飛行機、自分の好きな題材を好きなだけ描き、万人に幸福感を与えられたことは作家冥利につきますね。本当に幸せな作家だと思います。キネ旬は7位にしています。
④モラトリアムたま子
これまたキネ旬常連の山下監督作品。小品すぎてランクインしないだろうと思っていましたが、9位になってました。
80分にも満たない中編なので、スルッと終わってしまいます。山下作品に慣れていない人には何のことやら分からないだろうなぁと心配になるほどです。前田敦子を観に来たお兄ちゃんには厳しかっただろうと察します。
何も起きない終わらない映画でほっこり出来るのも乙な楽しみじゃないですか。
⑤少年H
原作がしっかりしている作品は、よっぽど脚本家がでしゃばらない限り上手くいくことが多いのですが、この作品も例に漏れず安心して二時間を過ごすことのできる佳作に仕上りました。
水谷夫婦が物語の中でも夫婦を演じましたが、本当に息の合った感じが伝わってきて気持ちよかったです。欲を言えばこのような映画がオリジナルで作られる映画界であることが一番大切なことです。キネ旬番外。
⑥清須会議
三谷作品の常識を覆すような真面目さで見せてくれる映画でした。前半部分は何時笑わせてくれるのだろう?と期待しながら観ていたのですが、終わってみればきっちりした本格時代劇になってました。いつものように贅沢な役者使いです。役者も三谷に使われるのを楽しんで演じています。怖い監督ばかりが優秀な演出家ではないんですね。
キネ旬は今回もランクインさせませんでした。そんなに頑なにならなくても良いと思うのですが。
⑦さよなら渓谷
2013年に観た映画の中では一番重たい映画でした。
日本人が男と女を描くと、どうしても重くならざるを得ないのでしょうか?この重さが若い人たちには暗いと勘違いされて、暗い=詰らないとなってしまうんでしょうね。人と人が年月と愛憎を深めてゆけば、人知れない渓谷にひっそり佇む深淵の如く得体の知れない不気味さを内包するのかもしれません。キネ旬8位。
⑧はじまりの道(DVD)
くれよんしんちゃんの原監督がいよいよ実写を撮りました。忙しさにかまけて劇場鑑賞できず、DVDで失礼いたしました。尺といい物語のキレといい無駄を省いていて気持ち良いつくりです。多分に初実写版ともなればもっとフィルムを回しかったと思うのですが、最小限に抑えています。ここまで抑えていながら蛇足と感じてしまったのが、木下恵介監督に対する思慕の強さゆえの作品オンパレードでした。ランクインしそうな作品ですが、キネ旬番外です。
⑨かぐや姫の物語
これまた遺作となる可能性大な高畑監督作品。どうしても宮崎監督と比較されてしまうし、万人受けするのは明らかに宮崎作品ですからこの作品のために費やした8年の歳月は精神的重圧を察するには余りあります。日本人なら誰でも知っている物語を、今、正面から取り上げた理由は何なのかわたくしには思いもよりません。技術的な高さも素人には意味がありません。それでも、挑む思いの強さ。キネ旬は敬意を込めて4位でした。
⑩言の葉の庭
新海誠作品、得意の中篇。都会の谷間に広がる公園に降りしきる雨の美しさ。年上の女性との密やかな逢瀬。いつも喪失感を漂わせる色の配置がこの作品でもベースにあります。「秒速・・・」の感激までは得られませんでしたが、ジブリや細田アニメだけが日本映画界の至宝でないことを思い知らせてくれます。これからも丁寧な映画作りをしていただければ寡作でも我慢いたしましょう。キネ旬には認められませんでした。
今年も出来る限り沢山の映画と出会えるよう努力いたします。