終了時期にバラツキはあったけど、今年の春ドラマが終わった。
バラツキはドラマの出来不出来にも顕著で、当初6本の視聴ではあったが、あまりに酷い2本はリタイアせざるを得なかった。その代わり2本は今年を代表する様な傑作であったから良いとしましょう。
「大豆田とわ子と三人の元夫」
大本命の名に恥じない傑作ドラマとして記憶に残る作品になった。坂元裕二作品の中でも、名作「カルテット」を上回る出来だと思う。松たか子・松田龍平・岡田将生・角田晃広の四人中心に繰り広げられる、ややこしい男女会話劇を堪能できた。元夫三人だけじゃなくて、とわ子に絡んでくる人々どれもが味わい深く、それでいて結構スリリングな関係性が大人のドラマとして成功した所以だろう。個人的にはとわ子の親友であったかごめの死の経緯に不可解な疑問が残っているが、それもグレーな感情描写の一環だと思えば受け入れられる。
昨今の凡庸なドラマや映画が観客の想像力を塗りつぶす程のわかり易さばかりを押し付けてくるけど、本当に優れたドラマというのは見えない感情を喚起させることのできる作品なんだと実感した。
「コントが始まる」
このドラマも優れた群像劇として、2021年において特筆されるべき作品だろう。お笑い芸人を目指す三人の若者の青春の終わりを抑えた温度で描き、やはり大人が観ても思い入れのできる余韻の残る傑作となった。
往年の傑作「俺たちの旅」同様、男三人が攣りみながら成長したり挫折したりを繰り返す王道の青春群像なのだが、三人の視点だけで語られるのではなく、彼等を応援するファミレスのウェイトレスやその妹、高校時代からの付き合ってる一流会社で働く優秀な彼女たちの想いも染み入る様に伝わってくる。キャラクターの描き分けが上手いこともあるが、若手役者六人が実力通りの演技を観せてくれた。菅田将暉・有村架純・神木隆之介・芳根京子・中野太賀・古川琴音どの役者も上手いが、本来主役を張れる木村文乃・中村倫也を脇に添えたことでドラマに重さを加えてくれた。
「ゆるキャン△2」
先行したアニメで描かれた伊豆キャンプに達しなかったのは、ドラマ三期若しくは映画化スペシャルドラマ化を企んだのか?キャンプの楽しさを存分に観せてくれたけど、終わってしまうことの寂寥感みたいなものが描ききれなかったのは残念だった。昨今のキャンプブームを映し出すガールズコンテンツとしては十分合格点だ。
「ドラゴン桜2」
日曜劇場じゃなかったら本来の面白さを出せただろうにと、これも残念な結果となった。我々が観たかったのは学校乗っ取りの闇部分とかじゃなく、東大に合格するために努力する子供達とサポートする大人達の知恵ある計略を衒いなく真っ直ぐ突き進む姿だ。将来ある若手役者の魅力も出し切れていたか心許ない。これを機に南沙良がメジャーになれるといいなとは思う。それにしても最終話、長澤まさみと新垣結衣のハグとは大盤振舞いなサービスに驚き。
「恋はDeepに」
石原さとみと綾野剛の無駄遣い。中途リタイア。
「ネメシス」
広瀬すずの無駄遣い。中途リタイア。
「おちょやん」
王道の古典的朝ドラ。杉咲花の芸達者を世間に知らしめた作品。
「おかえりモネ」
王道の現代劇朝ドラ。好きな若手女優3人が期待通り素晴らしい。清原果耶・蒔田彩珠・恒松祐里、将来が楽しみ。