映画と渓流釣り

物忘れしないための処方箋

太平洋に奇跡は訪れず

2011-02-27 08:46:48 | 新作映画
 先週がショッキングではあるけれどかなり見応えのある作品であったから、昨日観た「太平洋の奇跡」にはガッカリしてしまいました。監督の平山氏には「しゃべれども しゃべれども」「必死剣 鳥刺し」の好調さを期待していたのですが、矢張りと言うか必然であったかと言うべきなのか分かりませんけれど、悪い周期に当たったみたいです。今までも信じられない駄作を撮っているのは周知の事実であり、それを見越せなかったわたくしが悪い。・・・とほほです。

 史実とか実話とかに縛られる必要があるのでしょうか?フォックスと尊厳をこめて恐れられていたと言うわりに、大場大尉の狡猾さがまるで伝わりませんでした。伝わらないというより、描かれていないのです。地理地勢を味方に戦う知性的な指揮官をたっぷり楽しませてくれるのかと思うじゃありませんか。そこに、悲惨な結末は知っているけれど、溜飲を下げられる大和魂が存在するのだと思いますが、如何でしょう。
 
 とことん逃げ惑って、バンザイクリフに身を投じる悲劇を描くでもなし、何とも中途半端な出来でありました。
 日本テレビお願いですから映画制作から手を引いてください。日本映画の質が悪くなるばかりです。
 


冷たい熱帯魚

2011-02-20 01:04:09 | 新作映画
 「愛のむきだし」のインパクトがかなり強くて、あの作品を超えるのは難しいだろうと思っていたのですが、どぎつさではあっさり超えてしまいました。最初からガンガン引き込んでゆく演出の上手さは本物です。人の行動の流れはあまり筋道が明瞭に描かれておりません。突飛な印象を感じさせてしまうのは実際あった事件をベースにしていながらも、その計り知れない闇に到達できなかった事による脚本の甘さなのかと思われます。でも、本当の成り行きや人の心の振幅などと言うものは案外そのようなものなのかも知れません。
 すごいパワーを持った作品です。半端な監督には出来ない力技であります。脱帽いたしました。しかし、あそこまでやらなければいけなかったのでしょうか?あそこまで見せた割には主人公の狂気を感じることが出来ませんでした。主人公は狂っていたのではないのかもしれませんが。18禁にしなければならないほどヘビーな血に塗れた浴槽は、描写する必要があったのかどうかわたくしには疑問でした。

 でんでんと黒沢あすかの映画でした。