映画と渓流釣り

物忘れしないための処方箋

2020 コロナに負けない映画BEST10

2020-12-31 04:43:00 | 映画ベストテン

今年は三月下旬から五月いっぱい映画館で作品を観ることが叶わなかったにもかかわらず、結構充実した一年だったように思う。公開延期の作品も沢山あったようだけど、いつの日かスクリーンで出会えるなら我慢できるし。心配なのは今年制作予定の作品に様々な負荷がかかっただろうということ。作品の量もそうだけど質の部分でも危惧している。来年以降どのように影響があらわれるか知れないけど、一日も早くこの状況が収束するよう願うばかりだ。
一年の落とし前として、好きだった作品の星取表を作ってみた。基本的に作品を貶すことはしないけど、星四つ並べられた作品はべた褒めできなくとも何処かに面白いところがあって、観て良かったなと思いながら映画館を後にできた作品。2020年ベストテンとしても残しておこうと思う。


①パラサイト★★★★★
まさかアカデミー作品賞を受賞するとは思わなかったけど、受賞にふさわしい傑作であることに異存ない。貧富の差を視覚的に描き、ポン・ジュノ監督独特な笑いで包んだシニカル目線がとても分かりやすくて、寓話的な東洋人のお話なのに西洋の人にまで理解させることができたのが成功の理由だろう。次回作以降も家族にこだわった作品を観せて欲しい。

②朝が来る★★★★★
河瀨直美監督の到達点じゃないかな。カンヌのコンペが中止になってしまい、分かりやすい評価は下されなかったけど、できればこの作品で一等賞をとって欲しかった。監督の持ち味であるドキュメンタリー風の作風がリアルさを加え、2020年一番好きな邦画となった。ラストクレジットでの少年の呟きに涙は止まらない。蒔田彩珠を発見できたことも忘れないでおこう。

③Last Letter★★★★★
岩井俊二監督のナイーブな優しさが詰まった佳作だ。初期の傑作「Love Letter」を観ていなくとも充分感動的だけど、知っていれば女性の立ち直りの潔さと男性の過去を引き吊る女々しさの対比が鮮明で一層興味深く感じるだろう。随所に岩井俊二らしさは散りばめられているけど、広瀬すずと森七菜が夏のワンピース姿で散歩するシーンは見惚れてしまう美しさだった。

④罪の声★★★★★
あの分厚い小説をこんなにまでシンプルに映画化できたことに驚いている。当代、脚色させたら野木亜紀子の右に出る脚本家はいないんじゃないかな。単なる犯罪ドラマで終わりにしなかったことが、この映画を風格ある骨太映画にした要因だ。わたくし世代には忘れ難い劇場型犯罪であるグリコ森永事件を、今この世に蘇らせた原作と小説では描けなかった映像の機微に賛辞を贈りたい。

⑤のぼる小寺さん★★★★☆
一生懸命に壁を登る小寺さんに触発された四人の少年少女が、とりあえず自分の好きなものに一歩踏み出してゆく姿が神々しい。もう随分前に過ぎ去ってしまった景色だけど、還暦間近になっても彼らが進もうとしている熱さはしっかり伝わってきた。コロナ禍の影響で部活も大会も発表の場をも奪われた2020年の少年少女達にエール代わりに観てもらいたい青春賛歌だ。

⑥アルプススタンドのはしの方★★★★☆
高校演劇が原作と知って、小品ながら興味があり鑑賞した。昔から演劇の映画化作品には傑作が多いけど、こんな題材で感動できる作品に仕上げることもできるのだと感心したものだ。やはりコロナの影響で甲子園も中止になっちゃったけど、頑張っている人には自然と応援する人が付いてきて、ちゃんと絆が生まれることが描かれていて清々しい作品となった。

⑦初恋★★★★☆
三池崇史監督作品なのであまり過度な期待はしていなかった。意外にもバイオレンス一辺倒のドタバタ映画じゃなかったから大いに楽しめた。タイトルも最後の最後にそういう題名だったのね。と、ちょっと微笑ましく思ったものだ。何よりも演者たちが思い切り誇張した振り幅で楽しそうに演じているのが気持ち良い。ベッキーの狂気じみた頑張りは特筆したい。

⑧浅田家!★★★★☆
今回も優しい家族の映画だった。一つの家族だけのお話じゃなく、いくつかのエピソードが描かれていたため感動のポイントが散漫になってしまったのは残念なところ。後半部分、東日本震災現場でのボランティアはそれだけで一本の映画になると思うので、詰め込み過ぎてしまったようにも感じた。それにしても世の中には浅田家の様に変わった家族もいるものだ。

⑨星屑の町★★★★☆
能年玲奈(のん)が演技しているのを久しぶりに観た気がする。やっぱり彼女は映像の中で輝く女性だと再認識した次第。古い舞台作品が原作らしい。映画の背景も東北の片田舎だったし、玲奈ちゃんの方言もあまちゃんそのままだったから新作映画を観ているのに何となく懐かしい感じがした。拾い物の作品として思い入れのある映画となった。

⑩MOTHER★★★★☆
そんなにぶち抜けるほどの衝撃がある作り方じゃないけど、長澤まさみの毒親と健気に母親を慕う奥平大兼演じる息子のヒリヒリする繋がりに圧倒された。今の世の中、平気で我が子を虐待死させる鬼畜親が後を絶たないが、どうせ子育てするつもりもないのなら放置してくれた方がよっぽど子供のためじゃないかと思ってしまう。「朝が来る」とは対極にある世界だ。

以降次点
鬼滅の刃 無限列車編★★★★☆
私をくいとめて★★★★☆
TENET★★★★☆
1917★★★★☆
ヲタクに恋は難しい★★★★
糸★★★★
弱虫ペダル★★★★
思い、思われ、ふり、ふられ★★★★
ステップ★★★★
きみの瞳が問いかけている★★★★
コンフィデンシャルマンJPプリンセス編★★★★
ミッドウェイ★★★★
星の子★★★★

個人的なお気に入り
監督 河瀨直美「朝が来る」
脚本 野木亜紀子「罪の声」
女優 長澤まさみ「MOTHER」
   蒔田彩珠「朝が来る」
男優 星野源「罪の声」
   菅田将暉「浅田家!」

2020年 特筆すべきは、「鬼滅の刃 無限列車編」の驚異的な大ヒット。
そして、女優竹内結子の衝撃的な訃報。


奥様のベストテンも紹介しましょうね


相変わらず凄いです
わたくし観たのは「私をくいとめて」と「TENET」の二本だけです
どの作品も高評価なものばかり並んでいます。体力あれば観ていたような気もする作品もあります
然し乍ら、知り合って40年長い間夫婦ではありますけど、此れほどまでに好みとは違うものなんですよ。と言う見本のようなベストテンでした



年越しラーメン

2020-12-30 05:03:00 | お料理
毎年の事だけど、今年の年越しもラーメンです


鶏ガラ、ネギ、生姜、昆布、鯖出汁をじっくり炊いて

水煮メンマを胡麻油で炒め醤油、ラー油、酒、砂糖で煮込み

豚バラ肉の煮豚から旨味とラードを搾り出します


🍥は懐かしい中華そばの彩りに欠かせません

麺はつけ麺用の太麺を使うのが我が家流
(前は麺も手打しましたが時間掛かるのでやめました)


スープもタレも程よく完成

麺を4分程茹で上げます


器にネギを散らして盛り付け準備完了です



今年も自家製ラーメンで年越しです

美味い美味いと煉獄さんにも食べて欲しいな






2020 テレビ 連続ドラマ考

2020-12-26 01:23:00 | 旧作映画、TVドラマ

かつてない過酷な状況下で制作された今年のテレビドラマ。結局いつもと同じくらい17本の連ドラを最初から最後まで観た。そのうち8本を2020年テレビドラマの記憶として残しておこう。

「コタキ兄弟と四苦+八苦」テレ東
「ゆるキャン△」テレ東
「姉ちゃんの恋人」フジ
「親バカ青春白書」日テレ
「MIU404」TBS
「私の家政夫ナギサさん」TBS
「あのコの夢を見たんです」テレ東
「妖怪シェアアウス」テレ朝

上からそのまま面白かった順番。池井戸潤原作のドラマは少々暑苦しくて苦手なので、あの半沢直樹も観ていないし、NHK朝ドラのエールも途中でリタイアしたのでランクには入っていない。全部の連ドラ観られるほど時間も体力も無いので自分の好みの中から選好みした8本だ。

相変わらずテレビ東京深夜枠のドラマに面白いものが多かった。毎年上位にランクインするNHK制作のドラマが見当たらないのはちょっと寂しいけど。

やっぱり連ドラは脚本家次第かな。「コタキ兄弟と四苦+八苦」「MIU404」の野木亜紀子は今年も絶好調。映画「罪の声」も素晴らしい仕事だったので、新春の「逃げ恥新春スペシャル」が今から楽しみで仕方ない。岡田惠和脚本の「姉ちゃんの恋人」も今年一番の心温まるラブストーリーだったし、「親バカ青春白書」は福田雄一の色合いが程よくブレンドされていた。やっぱり作家色が濃くて尚且つ説得力のあるお話が好きだな。

「ゆるキャン△」の様にアニメ先行の実写ドラマって多いかもしれないけど、漫画(アニメ)の雰囲気にキャラは似せられても容姿の部分でギャプがあることが多々あり、結果的に満足できないものになるケースが散見される。しかし、本作はロケーションの優位性もあったし、ピタリと嵌ったキャスティングで申し分なかった。来春にはアニメⅡ期に引き続き実写版も放送されるとのことだから楽しみだ。

「私の家政夫ナギサさん」「妖怪シェアアウス」は面白い題材だったのに脚本の詰めが甘く勿体なかった。「あのコの夢を見たんです」も良く出来ていた挿話とつまらない挿話に大きな乖離があったのが残念。

多部未華子、有村架純は別格として、芳根京子、小芝風花、福原遥、今田美桜、永野芽郁、小野花梨、奈緒らの若手女優に楽しませてもらった。それでも一番キュンとさせられたのは「親バカ青春白書」新垣結衣の天衣無縫な可愛らしさだ。
来年もお気楽に楽しめるドラマが多いといいな。


2020秋のドラマ 終わってみれば

2020-12-25 20:50:00 | 旧作映画、TVドラマ

今年はコロナのせいでエンタメ界は壊滅的な打撃だ。
特にハリウッド製の大作映画は殆ど公開延期で、ややもすると配信のみでのお披露目になってしまうかもしれない。これも時代のなせる業ではあるけど、映画館を愛する者としては寂しいかぎり。
日本のテレビドラマも春から夏にかけて制作現場が閉鎖されたことで、かなり変則的な放送になってしまったけど漸く今までの流れに近づきつつあるかな。
さて、2020年秋ドラマの感想をしたためましょう。

「あのコの夢を見たんです。」
夢想、妄想それが次につながるポテンシャルとなる。芸人である山里亮太ならではの世界観は映像化されても分かりやすかったし、もちろん妄想から生まれたお話だから荒唐無稽なドラマではあったけど、いつも何処かにはにかみと侘しさが漂った。出来の良かったエピソードとそうでもない挿話が混在したけど、連続したつながりがあるわけじゃないから気にはならなかったこともプラスだったように思う。観る前に期待した女優さんの話よりも飯豊まりえ、大原櫻子、鞘師里保のようなあまり注目していなかったヒロインのほうが前述した寂寥感があって響くものがあった。
とても面白い企画だし、テレ東らしい斬新さと自由さに溢れていた。来年も攻めのドラマ制作を続けてほしい。

「35歳の少女」
結局柴咲コウなんだ。
序盤の面白い設定が柴咲コウの成長(35歳に近づく)につれ凡庸になり、何だか奇抜な家族ドラマになってしまった。また遊川和彦特有の空回りドラマになって終わった。もう脚本家としては信用できないから、次のドラマは多分観ないだろうな。
結局役者の無駄遣いのドラマになってしまい、誰の得にもならない凡作だった。

「ルパンの娘2」
これまた深田恭子を楽しめたか否かだ。
何だか狭い箱庭で行ったり来たりするお話は些か飽き飽きしてしまい、強烈なキャラクターも慣れてしまうとバカバカしい学芸会のようだ。深田恭子の偉大さには恐れ入るけど、もっと彼女を楽しむための仕掛けがなくては続編としての意味は無い。
映画化されるらしいけど、誰のための見世物になるんだろう?皆目分からない。

「姉ちゃんの恋人」
有村架純のお姉ちゃんはとても良い。お姉ちゃんの一途な恋を応援したい。そう思わせることができただけでこの物語は半分以上成功だ。恋人になる林遣都の内省的な性格付けも相対的で上手い設定だ。彼の過去が明らかになっても、一層二人の恋心を応援したくなるのも気持ちがいいもんだ。観覧車内で近づいてゆく二人の心が誇張なく素直に描かれていたのも、最近のラブストーリーの中は出色で感涙。
良いドラマの必然だけど、脇に散らばった人々との関係性が魅力的だ。
先ず、三人の弟たちと姉ちゃんの家族愛に毎回ウルウルさせられる。同じく彼氏とその母親(和久井映見太ったな)の繋がりにもジンとさせられる。この二家族に絡む保護司であり伯父である光石研が良い。姉ちゃんの職場の同僚小池栄子と紺野まひるも良いキャラクターだ。そしてこのドラマで一番感銘を受けたのが、姉ちゃんの親友を演じている奈緒だ。コンビニの脇で二人して何気ないお喋りをする空気や姉ちゃんの弟から告白されて狼狽える姿は可愛かった。親友だからこそお姉ちゃんの恋に反対表明をするくだりが素晴らしい。両親のいないお姉ちゃんに「こういう時親は必ず反対するんだよ。だから親のいないあんたには代わりに私が反対する」いい台詞だ。朝ドラ「半分、青い。」で印象的な役で目立っていたからある程度注目していたけど、これからがより楽しみな女優となってきた。
岡田惠和脚本作品の中でも頗る質の高い作品になった。

「監察医朝顔2」
本筋が詰まらないとドラマのリズムは狂う。同じ法医解剖の傑作ドラマ「アンナチュラル」が下手な人情噺でお茶を濁さず、本筋の法医解剖をしっかり描いてドラマにしたことを製作スタッフは肝に銘じるべきだ。
このドラマ唯一楽しみなのは主人公朝顔の幼い娘つぐみを演じている加藤柚凪ちゃんの素に近いだろう可愛らしさだ。それだけで三月まで観続けられるかは今のところ疑問だけど。