やっぱりと言うか、2話で脱落した「ブルーモーメント」以外は完走できた
詳細は後述するが、テレビ史上に残るほどの名シーンにも出会えたので大方満足
今後もより一層作品毎の格差が生まれるのか
テレビ局と言うより行き着く先は才能ある個人の質量ということだろう
高木さん役の月島琉衣ちゃんのエクボにやられた感がある
映画版につなげるため、原作にはない別れを描いたのは仕方ないか
原作やアニメでは高校生から結婚して子供ができるまでが描かれていないので、その空白を埋めるための実写映画化でもあるし、原作がないからこそオリジナルで膨らませることも可能だったわけだ
永野芽郁ちゃんの大人になった高木さんが想像していた通りの女性だったから、原作・アニメファンにも批判されていないと思う。ドラマも映画のための前振りではあったけど、その役目は充分果たせていた
「季節のない街」
クドカンらしい集団劇。震災後の仮設住宅を舞台にしたところも挑戦的な企画だった
一話30分の連作ドラマを観ているようで、全体を通してみれば理不尽な自然災害と忘れ去られてゆく少数弱者の悲哀と逞しさを実感させる物語だった。エピソード毎の面白さや出来の優劣はあるにせよ、ここまで人物像を際立たせて描き切る才能は大したものだ。役者もクドカン脚本演出だから豪華だった
主題は住民一人ひとりの生き様と復活にあるのだろうから、世間の無関心さや行政の杓子定規な支援などを深掘りすることはなかった。笑いや悲しみの中にその痛みも描かれていれば傑作ドラマになったかも知れない
「花咲舞が黙ってない」
痛快さは前作の方が高かったかも知れない
それでもあの大きな瞳で正論を吐かれていたら、思わずゴメンナサイをしてしまいそうだ
今田美桜の良いところが全面に押し出されていて、嫌味のない勧善懲悪娯楽作品になった
日テレもこの程度のライトなお仕事ドラマをコンスタントに提供していれば十分なのにと思う
「9ボーダー」
終わってみても感じるのは、せっかく10歳づつ違う三人姉妹の話なのに恋愛以外に関心ごとはないのだろうかと
大方その辺りを狙っておけばそこそこの視聴率も取れるだろうし、安全牌を振り込んでおけば怪我だけはしないだろう
今日日さあ、十代の三女は恋に生活の何割かが割かれるのかもしれないが、アラフォーもアラサーもそれほど呑気に生きて行けるほど日本は太平天国ではなかろう
仕事もそうだろうけど、家族や友人などの面倒臭い人間関係、将来に対する定まり切らない不安を抱えて毎日を生きているはずだ。テレビドラマでじっくり描けなんて思わないけど、もう少し生活臭のするドラマが観たい
木南晴夏と川口春奈に挟まれて、序盤は硬さの目立っていた畑芽育がグンと成長したことは忘れないように
「アンメット」
きっかけは主題歌にあいみょんの新曲「会いに行くのに」が使われているから観ただけで、全く期待していなかった
杉咲花と若葉竜也の組み合わせは映画でも観ているので馴染みはあったけど、フジテレビだし(制作は関テレだった)手垢のついた医療ものだしなぁと・・・
よくあるパターンは一話毎にスポットが当たる患者さんがいて、主人公中心とした医療スタッフが悪戦苦闘して乗り切りお涙感動ドラマに仕立てる作りになるのだけど、このドラマはどちらかと言えば事故で記憶する脳の機能を失った主人公の女性医師(ミヤビ)を再生できるまでを追っている
何故記憶する事ができなくなったのか、相方の男性医師(三瓶)との過去から続く関係とはどのようなものなのか。そんなミステリ要素も含みながら物語は続く
終盤になる程ミヤビと三瓶に焦点が絞られて行って、さながらドキュメンタリーを観ているような錯覚を起こす演出やカメラアングルがとられる。顕著な例は第9話のラスト、2人の10分に及ぶ長回しの会話シーン。手持ちカメラが細かく揺れ、普通のテレビドラマでは考えられないアングルでの描写が続く
40年前の傑作映画「遠雷」での長回しシーンを思い出させる。よくぞプライムタイムに放送するドラマでこの勇気あるシーンを作り上げたと、演者の2人演出撮影照明録音のスタッフを褒めたい
杉咲花と若葉竜也に関してはパーフェクトな演技。最終話、眠る三瓶先生を涙でグズグズの顔をしながらスケッチするミヤビを演じた杉咲花は圧巻だったし、施設に入所する重度障害の兄について語る三瓶を演じた若葉竜也は映画では観たことない役柄を演じていた。今年この2人を超える演者は現れないだろう
演出のYuki Saitoのことはこれから注目しておこう
「虎に翼」
やっぱり戦争が絡むとお話が辛気臭くなる
避けて通れないのはわかるけど、兄も夫も戦死してしまったのは辛い。戦争とは直接的な因果関係はないけど、お父さんまで亡くなってしまった。この家族はこの三人の軽妙なキャラクターが魅力だったので、一層どんよりした雰囲気が続く
弁護士を目指していた女性たちも散り散りになり、陽気な序盤と掛け離れてきた
家庭裁判所発足からようやく本題に戻るのかと思うが、伊藤沙莉のキャラを十分活かして明るく元気な後半を期待する
「光る君へ」
なかなか内裏での活躍にならなくて最近少しウンザリしている
登場人物が多いのと、朝廷での権力争いや帝の寵愛を受けるべく画策する争いごとまで絡んでくるので、そこにも目配りしておかないとこの話は面白くならない
結婚して福井に住むのじゃなくて、結婚することで都に戻るのだった
これから後半戦、いよいよ内裏に上がることになりそうだ