映画と渓流釣り

物忘れしないための処方箋

周防監督の真剣さ

2012-10-30 18:30:23 | 新作映画
 前作がわたくしにとって全く受け付けられない作品であったのは、この日記でも触れていますから、くどくど述べるのはやめましょう。合わなかったと言うことです。それ故に新作「終の信託」は期待より不安が勝っておりました。 
 周防監督作品は、アルタミラの方向性を決定付けるような作風が多くて、「がんばっていきまっしょい」「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」のような傑作が生まれています。ある日突然巻き込まれた出来事を機に、徐々に一生懸命頑張ってしまう人々を活写するスタイルは日本人好みであり、多くの類似作品が作られています。「しこふんじゃった」の学生相撲、「Shall We ダンス?」では社交ダンスの魅力を存分に味合わせながら、一生懸命取り組むことの素晴らしさや達成感を衒いなく魅せてくれました。

今回は、前作以上にシビアな問題を提起しております。大人のお話になってしまった寂しさはありますが、いつまでも青春のピカピカしたお話しばかりも深みがありませんから仕方が無いのかもしれませんね。それにしても「終」についてとは、重いです。そして、その重さを背負うのが残された人々であることは、当たり前ではありますが理不尽な気がいたします。死んでしまえば何も抱える必要が無いんですね。日本人のメンタルからすると、死んで楽になりたいという感情は良く分かります。手軽く辛さから逃避するには死んでしまうことが一番ですから、弱い人ほどその誘惑に抗えないことでしょう。わたくしは強くありませんが、そこまで思い詰めるほどの辛いおもいをしたことがないために死という選択を考えたことがありませんけど、何時どうなることやら。



希望の国

2012-10-25 11:01:28 | 新作映画
 題名は大いなる皮肉なんだろうか?それともラストシーン、抱きあう若妻の未来を信じる涙に秘められた希望なのか?分かりやすい反戦映画のような作風であるのに、そのあたりが非常にあやふやな表現になっており消化不良でもある。
 園子温監督らしくない静かな語り口なのだが、常に心をざわめかせる背景音が画面を波立たせるため、ヒリヒリした緊迫感が全体を覆う。あまりにもワザとらしい反原発映画なので、問いかけている主題の重さは充分わかっていても素直に我が事のように感じることができなかった。その意味では失敗ではなかろうか。前作「ヒミズ」で映された災害後の瓦礫のほうが、よほど哀しみとか怒りとか喪失感とかを雄弁に語っていた。

 映画としては成功したとは思えないが、今この映画を作ったことの意義は大きい。
ドキュメンタリーの心の奥底を見せるには、作り物のドラマにすることしかないし、それをできるのは映画監督しかいないのだということを園子温は知っているのだろう。
 このところ、毎年、年に二本の製作は体力も精神力もキツイことだろうけど、今しか出来ない事を限られた時間の中でやり続けて欲しい。


いつの間にか

2012-10-19 11:05:09 | 釣り
 ぐんと朝の気温が下がり、気が付けばいつの間にやらドップリ秋です。

9月の最終週にも桂川で糸垂れましたが、二日で一尾という貧果。いかにも幕切れです。

今年はいつにも増して川からはなれ、うどん食べ歩きなんぞに現を抜かしておりました。

来季はもっともっと川からはなれていくのだろうと、そんな気がいたします。

 思い出深いことは特段ございませんでしたが、隊長共元気で終われてよかったよかった。