60年前の傑作ミュージカルをなんで今更映画にするんだろうと思った
それもあのスピルバーグがだ・・・
当然、ローバート・ワイズの「ウエストサイド物語」は観ているし、観た事ない人でもミュージカル映画の金字塔である事は周知の事実だろう。ロミオとジュリエットの古典的なお話をニューヨークの薄汚れた裏街に置き換えて、計算され尽くしたダイナミックな踊りと心揺さぶられる名曲の数々に、生涯一番の映画と脳裏に刻んでいる人も多いに違いない
懐疑的だったけど、観て良かった
実はローバート・ワイズ版がわたくしあんまり好きではない
悲劇的な結末も不満なのだけど、全編を覆う暗さがミュージカルの楽しさと違う気がして、子供心に拒否していたんだと思う。だから今日、スピルバーグが忠実にリメイクしてくれた「ウエストサイドストーリー」を大人の目で見直して、とっても感動してしまったのだ。技術的にはもっと斬新なカットや映像的な仕掛けも当然できただろうに、ワザとそうしなかったのは元ネタに対する敬意と憧れなんだろう。その意味では新作を観た感慨はないけど、大切な忘れ物を思い出したようなしんみり良い気持ちにさせてもらった
セットも舞台演出的な前作から一層映画的なオープンさを醸し出していたので、あまり暗さを感じなくて済んだのもプラスだった様に思う
いつもいつも羨ましく思うのは、アメリカにはミュージカルという素晴らしい芸能がある事だ
こればかりは他所の国には真似できない宝物
(チラシを見たら公開日が去年の暮れになっていた。何で延期されたんだろう?)