映画と渓流釣り

物忘れしないための処方箋

森田芳光を悼む

2011-12-26 12:51:39 | 旧作映画、TVドラマ
 やっぱり早すぎますよね。
この先、往年の傑作を越える作品が撮れるとは思いませんが、「間宮兄弟」「武士の家計簿」程度の佳作はまだまだいけたはずです。
 我々世代にとって、森田は沈滞した日本映画に新風を吹き込んでくれた革命児でした。ぴあフィルムフェスティバルから商業映画に入っていった黎明期を切り開いた人でもあります。当時、学生映画(8mm)をつくり、ぴあへ出品していたわたくしには輝く光であったのです。「の・ようなもの」「家族ゲーム」「それから」次々に映し出される森田ワールドは魅力的でした。
 晩年は小さくまとまった職業監督になってしまいましたが、北川景子ちゃんにあれだけ号泣されれば本望でしょう。映画青年であったわたくしの一時を潤してくださったことに感謝いたします。
ご冥福をお祈りいたします。合掌。


源氏物語の難しさ

2011-12-26 11:34:12 | 新作映画
 何度目になるのかわかりませんが、またぞろ源氏物語の映画化です。
千年前の宮中文化を愛でる日本人は古来より絶えることはありません。
かく言うわたくしも源氏物語をこよなく愛する一人として、手を替え品を替えながら語り継がれる源氏はどんなものでも取りあえず目を通しておこうかなとなる訳です。

 結論からすれば、こんなもんでしょう。
良くも悪くも期待の範囲内でした。源氏物語が観たいけど、見飽きた絵巻なら食傷気味ですし、思い切って紫式部の生涯なんかにしたら毛色の変わった傑作に成っちゃうかもしれませんけど、源氏が見られないのは寂しい。
なんやら贅沢な気もしますが、源氏物語は日本文学だけではなく世界トップレベルの至高作品である、ということなのです。

 生田源氏は違和感ありませんでした。東道長もさもありなん。田中麗奈は役得の御息所を楽しそうに演じてました。真木よう子が藤壺とは何となく違和感ありましたけれど、終わってみればすこぶる馴染みがよろしい。ただし、葵を多部未華子にした配役は良く分からないのと、夕顔はいったい必要だったの?(御息所の怨念を際立たせるためには必要ですが)。紫の上が出てこないのも、須磨にさえたどり着かない物語にドーコー言うつもりはありませんけど、やっぱり、源氏物語としてはあまりにも中途半端でした。殆どの源氏がこんな描かれ方するから若い人達に本来の素晴らしさが伝わらないのだと改めて思った次第です。

 できるなら、10部構成位のサーガで、30年掛けてもいいから本当の源氏物語が観たいです。
 何処かのお金持ちがポンとお金を出すとか、国家予算を組むとか(そのために税金が高くなってもいいです)、それもダメなら、わたくし10万円までなら制作費を出してもようござんす。