『イヴの総て』(50)(1990.3.4.)

女優志願の田舎娘のイヴ(アン・バクスター)は、恩人の女優マーゴ(ベティ・デイビス)をあざむき、スターの座を得るが…。ヒロインの大胆不敵な世渡り術と果てない野心を通して、人間の醜い欲望を赤裸々に描いたジョセフ・L・マンキーウィッツ監督作。
ビリー・ワイルダーの『サンセット大通り』(50)が映画界の暗部を描いた代表作ならば、同年に作られたこの映画はその演劇版である。登場する人物の心の醜さや、人間味のなさに関する描写は、筆舌に尽くし難いものがあるのだが、脚本がうまいものだから、ドラマの展開は実に面白い。だから、やるせなさを感じながらも、最後まで目が離せないのだ。
加えて、これまた『サンセット大通り』同様、「よくこんな役を引き受けたなあ」と思えるほど、役柄と演じた俳優のイメージが重なって見える。特にデイビス対バクスターの新旧女優の戦い(あるいは端役のマリリン・モンロー)は、当時の彼女たちの立場をそのまま反映したかのようにも見え、一体どんな気持ちで演じていたのだろう、と思わずにはいられなかった。
こんな映画を見せられると、アカデミー賞の授賞式でのいかにも洗練された感謝のスピーチなども、所詮演技をしているだけなのかと思わされる。プロ根性のすさまじさ、と言ってしまえばそれまでだが、スピーチが下手な日本の俳優など、まだ人間的に正直なのかとも思え、何やら恐ろしくなってくる。そういえば澤井信一郎監督、薬師丸ひろ子主演の『Wの悲劇』(84)は日本版の『イヴの総て』だったんだなあ。

アン・バクスターのプロフィール↓

マリリン・モンローのプロフィール↓

ジョージ・サンダースのプロフィール↓

ジョセフ・L・マンキーウィッツ

イディス・ヘッド


女優志願の田舎娘のイヴ(アン・バクスター)は、恩人の女優マーゴ(ベティ・デイビス)をあざむき、スターの座を得るが…。ヒロインの大胆不敵な世渡り術と果てない野心を通して、人間の醜い欲望を赤裸々に描いたジョセフ・L・マンキーウィッツ監督作。
ビリー・ワイルダーの『サンセット大通り』(50)が映画界の暗部を描いた代表作ならば、同年に作られたこの映画はその演劇版である。登場する人物の心の醜さや、人間味のなさに関する描写は、筆舌に尽くし難いものがあるのだが、脚本がうまいものだから、ドラマの展開は実に面白い。だから、やるせなさを感じながらも、最後まで目が離せないのだ。
加えて、これまた『サンセット大通り』同様、「よくこんな役を引き受けたなあ」と思えるほど、役柄と演じた俳優のイメージが重なって見える。特にデイビス対バクスターの新旧女優の戦い(あるいは端役のマリリン・モンロー)は、当時の彼女たちの立場をそのまま反映したかのようにも見え、一体どんな気持ちで演じていたのだろう、と思わずにはいられなかった。
こんな映画を見せられると、アカデミー賞の授賞式でのいかにも洗練された感謝のスピーチなども、所詮演技をしているだけなのかと思わされる。プロ根性のすさまじさ、と言ってしまえばそれまでだが、スピーチが下手な日本の俳優など、まだ人間的に正直なのかとも思え、何やら恐ろしくなってくる。そういえば澤井信一郎監督、薬師丸ひろ子主演の『Wの悲劇』(84)は日本版の『イヴの総て』だったんだなあ。

アン・バクスターのプロフィール↓

マリリン・モンローのプロフィール↓


ジョージ・サンダースのプロフィール↓

ジョセフ・L・マンキーウィッツ

イディス・ヘッド
