田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『九月の恋と出会うまで』

2019-02-20 08:39:08 | 新作映画を見てみた


 あるマンションに引っ越してきた会社員の志織(川口春奈)は、部屋のエアコンの通風孔から聞こえた「1年後の隣人・平野」を名乗る“謎の声”のおかげで命を救われるが、そのことでタイムパラドックス(矛盾)が生じ、1年後に自身の存在が消える事態に直面する。志織は本物の平野(高橋一生)と共に、「シラノ」と名付けた声の主を見付けて、運命を変えようとするが…。

 タイムトラベルものは、後から考えると疑問や矛盾を感じるのが常。だから、見ている間はそれらを感じさせないだけの“うまい嘘”がつけるか否かが勝負の分かれ目になる。その点、この映画は「シラノ・ド・ベルジュラック」を下敷きに、声だけのタイムトラベルという変化球を駆使しながら、2人の不器用な恋を見せるという、なかなかうまい嘘をついてくれるのだが、謎解きとそれにつながるラストがちょっと弱いので、もやもや感が残るのが残念。

 劇中、新橋の柳通りが映った。おかげで、映画を見に行くために歩いた場所が、その映画に映るという、不思議な感覚を味わうことができた。その尾行の場面では『フォロー・ミー』(72)を思い出した。

タイムトラベル映画
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/8cf907d7850b2ea2dc7fb411f86473d5
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする