田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『熱砂の秘密』

2019-02-09 17:58:45 | 1950年代小型パンフレット

『熱砂の秘密』(43)(1987.10.18.)



 砂漠をさまよった英軍兵士のブランデル(フランチョット・トーン)が北アフリカのホテルにたどり着く。彼は空襲で死んだウエイター(実は独軍のスパイ)になりすまし、独軍と接触する。一方、ホテルのフランス人メイドのムーシュ(アン・バクスター)は、ダンケルクで仏軍を見殺しにした英軍に反感を持っているが、思わずブランデルを助けてしまい…。

 ビリー・ワイルダーの2作目の監督作。この初期の作品でも、ワイルダーとチャールズ・ブラケットの脚本のうまさが、十分に発揮されており、当時の戦局を巧みに入れ込んだサスペンスの盛り上げが見事だった。エリッヒ・フォン・シュトロハイムがロンメル将軍を演じている。

 また、後年は、艶笑コメディの監督としての印象が強いワイルダーが、実はさまざまなジャンルの映画が撮れる超一流の監督であることも、この映画は証明している。ただ、この映画や『第十七捕虜収容所』(53)を見ると、ナチスによって故国を追われたワイルダーの屈折した感情が反映されているような気もする。

ビリー・ワイルダーのプロフィール↓


アン・バクスター、エリッヒ・フォン・シュトロハイムのプロフィール↓
 

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【ほぼ週刊映画コラム】『ファースト・マン』『アクアマン』

2019-02-09 14:46:51 | ほぼ週刊映画コラム
エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は

くしくも実現した“マン対決”
『ファースト・マン』と『アクアマン』




詳細はこちら↓
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1179239
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『緑園の天使』

2019-02-09 09:10:09 | 1950年代小型パンフレット
『緑園の天使』(44)(1987.6.20.)



 イギリスの片田舎に住むベルベットは、障害競馬“グランド・ナショナル”に出場する夢を持っていた。ある日、理想の馬と出会った彼女は、馬に詳しいマイの力を借りて、出場を決心する。

 古き良きハリウッド映画お得意の、家族ものにアメリカンドリームを絡ませる典型だが、『子鹿物語』(46)同様、クラレンス・ブラウン監督の子役と動物の生かし方が見事だし、この映画でアカデミー賞を受賞した母親役のアン・リベアもまた見事だった。

 さて、この映画の2人の子役は、ミッキー・ルーニーとエリザベス・テイラーである。この時、今の2人の姿を誰が予測し得たか…。これだけ見事な演技を見せながら、子役は大成せずのジンクス通り、第一線から退いていったルーニー、片や、そのジンクスをもろともせず、数々のスキャンダルも含めて大女優として君臨したテイラー。

 40年の歳月、と言ってしまえばそれまでだが、人生先のことは分からない。こうした古い映画は、そんなことを知らせる少々残酷な側面も持っている。ちなみにテータム・オニール主演の『インターナショナル・ベルベット』(78)は、この映画の続編にあたる。

 【今の一言】アン・リベアは、この後『紳士協定』(47)『陽のあたる場所』(51)でも名演を見せたが、赤狩りの被害者となり、事実上映画への出演を絶たれてしまったらしい。そしてルーニーもテイラーもすでにこの世を去った。

エリザベス・テイラーのプロフィール↓


ミッキー・ルーニーのプロフィール↓


アン・リベア
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