『誇り高き反逆者』(58)(2013.4.4.渋谷シネマヴェーラ「西部劇特集」)
南北戦争下で妻を失い、そのショックから言葉を失った息子と共に放浪の旅を続ける男(アラン・ラッド)と、独り身の女性牧場主(オリビア・デ・ハビランド)との交流を描く。監督はマイケル・カーティス。
同じくラッドが主演した『シェーン』(53)とパターンは異なるが、美しい風景の下で繰り広げられる、ホームドラマ風の西部劇という点が似ている。『シェーン』のジョーイ(ブランドン・デ・ワイルド)と犬に代わって、ここではラッドの実の息子デビッドと犬が好演を見せる。
『カンサス大平原』(53)
南北戦争直前のカンザスを舞台に、鉄道の敷設工事を妨害する南軍を阻止するために派遣された北軍の兵士(スターリング・ヘイドン)の活躍を描く。製作は『駅馬車』(39)のウォルター・ウェンジャー。監督はレイ・ナザロ。ふんだんに登場するSLが見どころの一つ。ヒロイン役のイブ・ミラーも色っぽくて良し、という意外な拾い物。
『荒野の決闘』(46)
当然のことながら、上記2本の映画とは明らかに格が違う。ヘンリーフォンダ演じるワイアット・アープは、善人というよりも、むしろ高慢なところがある男なのだが、そこにクレメンタイン(キャシー・ダウンズ)という憧れの女性を絡めることで、純情な面を見せ、見事にバランスを取ってしまう。実話を基にしながら、まるで清水次郎長伝のような講談調の作りになっているが、劇映画とは、面白く“伝説を事実にする”ものなのだから、これでいいのだ。