田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『裸の島』おのみち映画資料館

2019-09-23 16:35:01 | 雄二旅日記

 妻の実家がある広島へ行くついでに尾道を再訪した。

 

 今回は高速艇で生口島に渡り、レンタル自転車でしまなみ海道を行き、多々羅大橋を渡って愛媛県に突入。帰路、平山郁夫美術館を訪れた。

 生口島は大林宣彦監督の『転校生』(82)のロケ地としても知られる。乗船中は、新藤兼人監督の『裸の島』(60)の舞台となった宿禰島も見えた。また、山田洋次監督の『東京家族』(13)は、近くの大崎上島でロケされている。

 翌日は、林芙美子記念館とおのみち映画資料館を再訪した。

 『めし』(51)『稲妻』(52)『晩菊』(54)『浮雲』(55)『放浪記』(62)など、林の原作を最も多く映画化したのはかの成瀬巳喜男。林は「貧乏を売り物にしている」と揶揄されたらしいが、貧乏を描くことが好きな成瀬にとっては格好の題材だったのだろう。

 映画資料館は、尾道でロケをした小津安二郎の『東京物語』(53)と、広島出身の新藤兼人に関する展示が主。いろいろと確執があるようだが、最も尾道と縁が深い大林宣彦の映画に関する展示が全くないのは寂しい限りだ。

尾道『さびしんぼう』『時をかける少女』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/0256bd4c40ab2868e945d9a09a0bdc37

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上野鈴本演芸場 9月中席昼の部

2019-09-23 15:20:15 | 落語

上野鈴本演芸場 9月中席昼の部(2019.9.17.)

落語はうろ覚えなので、演者と演目にずれているところがあるかもしれない。

落語:三遊亭歌太郎「真田小僧」
奇術:ダーク広和
落語:橘家圓十郎「子ほめ」
落語:三遊亭歌奴「強情灸」
漫才:ニックス
落語:柳家はん治「妻の旅行」
落語:春風亭一之輔「代脈」
浮世節:立花家橘之助
落語:橘家圓太郎「あくび指南」
漫才:笑組
落語:隅田川馬石「浮世床」
落語:三遊亭圓歌「師匠噺」
ものまね:江戸家子猫
落語:三遊亭歌武蔵「宗講」

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【ほぼ週刊映画コラム】『アド・アストラ』

2019-09-23 14:42:13 | ほぼ週刊映画コラム

エンタメOVOに連載中の

『ほぼ週刊映画コラム』

今週は
宇宙飛行士の内面に重点を置いた
『アド・アストラ』

詳細はこちら↓
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1200971

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『男はつらいよ 寅次郎紅の花』

2019-09-22 07:20:12 | 男はつらいよ

『男はつらいよ 寅次郎紅の花』(95)(1995.12.21.松竹試写室)

 いよいよ最後との噂がしきりにささやかれ、しかもリリー(浅丘ルリ子)の登場である。となると、辛抱たまらず試写室に駆けつけてしまった。そして、ラストシーンは当初の予定からは変えていたようだが、このまま終わってもいいなあ、と思わせる出来だった。
 
 何より、長らくシリーズを支えてきた撮影の高羽哲夫の死や、音楽の山本直純の息子へのバトンタッチによって、いよいよ山田洋次も腹をくくったのだろう。それがリリー四度目の登板と、満男(吉岡秀隆)と泉(後藤久美子)の恋の成就につながったはずだ。
 
 寅さん=渥美清をはじめ、レギュラー陣の老けぶりは、もはや見ていてつらく耐え難いものがあるのだが、つい最近も、心が疲れた時に、このシリーズが与えてくれる効用に気づかされてしまった。だから、正直なところ、これ以上老体をさらしてほしくないと思う半面、その存在が消えたらやはり寂しいだろうなあ、という二律背反する思いが行きつ戻りつしている。
 
 ただ、くしの歯をひくように、レギュラー陣が一人ずつ消えていくのを見るのも寂しい。ここはもう自然消滅するしかないのだろうか。果たして山田洋次や渥美清は次回作も考えているのだろうか。
 
渥美清死す(1996.8.4.)

 その知らせは実に唐突に舞い込んできた。否、その予兆は感じながらも、いつの間にかわれわれは彼の術中にはまって大事なことを忘れさせられていたのかもしれない。渥美清が亡くなった。
 
 確かに、このところの寅さんは急激に老いてやつれて見えたから、シリーズの決着の付け方にこちらも思いを巡らせてきた。だが、それはあくまで寅=渥美清の存在ありきの話であって、まさか彼自身が自らの死をもって幕を引くなどとは考えもしなかったのだ。
 
 思えば、そんなことは有り得ないのだが、先に逝った御前様=笠智衆同様、われわれは渥美清のことを不滅の存在のように感じていたのだろう。だが、彼の体は数年前からがんに侵され、寅さんを演じるだけでも精いっぱいだったという。そんなこととは露知らぬわれわれは、あれほどの役者が寅さんと心中してしまうのは残念と勝手に決めつけていたのである。
 
 井上ひさしが「彼は渥美清を消して車寅次郎を生かした」と語ったそうだが、そう考えると、この突然の静かなる別れも、彼の美学だったのか、とも思える。かっこ良過ぎるぜ。渥美さん。

最後の寅さん(2007.1.29.)

 NHK BS土曜日の「男はつらいよ」一挙放送が第48作『寅次郎 紅の花』をもってついに終了。やはりレギュラー陣の衰えぶりを見るのは悲しかったが、いざ終了となるとさすがに淋しいものがある。それにしてもシリーズ後半を支えたのは紛れもなく吉岡秀隆の満男だったんだなあ、と改めて思わされた。

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『男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋』

2019-09-21 07:04:39 | 男はつらいよ

『男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋』(82)(1982.9.25.川崎国際 併映は『道頓堀川』『えきすとら』)

 最近は、シリーズの終わりを感じながら見るようになっている。その間、最後まで見続けることが、このシリーズへのささやかな恩返しだと思って見続けているのだが、製作側の無理やあがきを感じることは否めない。
 
 『~かもめ歌』では寅さんを保護者のように描き、『浪花の恋~』ではマドンナに恨み言を言う始末。そして今回は、あろうことか、いしだあゆみ演じるマドンナに惚れられてしまうのである。
 
 シリーズのパターンは、寅さんが美女に惚れることによって生じるおかしさや悲しさ、切なさを描くことだったのに、寅さんが惚れられてしまっては、ただただどきまぎしてしまう彼を見るつらさを感じさせられて困ってしまう。かつて『~夢枕』で、八千草薫のマドンナに惚れられたことはあったが、あの時は寅さんも若かった。今は年を取って、何か切羽詰まったものを感じさせられてしまうのである。
 
 確かに、盆と正月という1年に2本のペースでこれだけのシリーズ映画を作ってしまうのは驚くべきことなのだけれど、そろそろだな、という思いは抑え切れない。何たって、始まった時は赤ん坊だった満男が、今は寅さんを見て悲しさを感じる年頃になってしまったのだから…。

(2006.9.4.)
 NHK BSで『男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋』を再見。珍しく生々しさのある一編で、全体のトーンも暗い。この時期のシリーズはちょっと落ち込んでいた気がするし、寅さんの恋に満男(吉岡秀隆)を絡めるあたりにシリーズ継続への試行錯誤が見えるところもある。

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『男はつらいよ 寅次郎真実一路』

2019-09-20 10:05:31 | 男はつらいよ

『男はつらいよ 寅次郎真実一路』(84)(2006.10.19.)

 『男はつらいよ 寅次郎真実一路』を再見。やはりこの時期は低迷期なのだが、今の日本映画が失った軽妙な語り口や情緒には見るべきところがある。

 もともとこのシリーズの根底にはチャップリンの放浪紳士や、無法松の影響があるのだが、本作は米倉斉加年の蒸発するエリートサラリーマンの姿や、大原麗子扮するその妻への寅の態度、ラストシーンの『モダン・タイムス』(36)(というよりルネ・クレールの『自由を我等に』(31)か)風の、今は亡き寅(渥美清)とポン州(関敬六)の姿に、いつにも増して“チャップリンや無法松”の色が強く感じられた。

 冒頭の夢に松竹唯一の怪獣映画『宇宙怪獣ギララ』(67)が登場するのが楽しい。

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【独占ニュース】ブラッド・ピットが語る『アド・アストラ』製作の裏側

2019-09-19 12:10:32 | 仕事いろいろ
 
「これまで僕が関わった中で一番大変な映画」
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『男はつらいよ 寅次郎春の夢』

2019-09-19 06:23:10 | 男はつらいよ

『男はつらいよ 寅次郎春の夢』(79)(1980.10.8.早稲田松竹)

 寅さんも随分とインターナショナルになったものだ。というよりも、ネタ不足ということなのか。脚本にレナード・シュレイダー、ゲストにハーブ・エデルマンという、『ザ・ヤクザ』(74)を思い起こさせる2人を迎え、これまでとは一風変わった映画にしようと試みたのだろうが、結果は必ずしも成功しているとは言えなかった。

 それはこのシリーズの根底に流れる人情の世界は、やはり日本人特有のものだからだろう。劇中でも、アメリカ人はものをはっきりと言うが、日本人は互いの気持ちを察し合って、あまりはっきりとものを言わない、というシーンがあった。

 寅さんの恋の場合は後者の典型だろう。ところが、エデルマン演じるマイク・ジョーダンなるアメリカ人があまりにも日本的過ぎて、人が良過ぎて、かなわぬ恋と知りながらさくらに恋してしまったりと、まるで寅さんと同じなのである。彼をもっとアメリカ人の典型として描いたならば、もっと面白くなったのでは、という気がした。

 名セリフ「もう1時間もたったのに、時計は5分しかたってねえや」(寅)

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『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花』

2019-09-18 09:46:53 | 男はつらいよ

『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花』(80)(1980.9.7.蒲田ロキシー)

 リリー(浅丘ルリ子)が三度登場。今回の舞台は沖縄。今まででは、寅さんがマドンナと一番うまくいった回ではないか。何たって寅さんに「所帯を持つか」とまで言わせたのだから…。

 話は変わるが、今回は寅さんがやけに優しい。少々優し過ぎるのではないかと思えるほどで、それがまた切なくもあり、悲しくもあるのだが…。そして最後はやはり別れていく2人。今回もしばしば使われた言葉だが、2人とも結局「堅気」にはなれないのだから。

 とはいえ、いつもながらラストシーンで救われる。旅先で偶然出会った寅さんとリリー。もはや2人には何のわだかまりもない。冗談を言い合いながら、リリーの乗ってきたマイクロバスに乗り込む寅さん。そして二人を乗せたバスはテーマ曲に乗って山道を遠ざかっていくのだ。

 名セリフ「私たち、あんまり暑いんできっと夢を見たのね」(リリー)「そう、夢、夢だ」(寅)

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『男はつらいよ 翔んでる寅次郎』

2019-09-18 07:06:51 | 男はつらいよ

『男はつらいよ 翔んでる寅次郎』(79)(1980.6.22.蒲田ロキシー)

 今回はちょっと趣向を変えて、寅さんが若い2人の仲人を務める。寅さんも年を取ったということか。桃井かおりが独特の個性を発揮して良し。相手役の布施明はいまいち。脇役では湯原昌幸の間抜けな若旦那が笑いを誘う。

 名セリフ「姉ちゃん、家はどこだ」(寅)「田園調布」(ひとみ)「田園地帯か。お父ちゃん百姓か?」(寅)

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