田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『男はつらいよ 寅次郎わが道をゆく』

2019-09-17 19:38:57 | 男はつらいよ

『男はつらいよ 寅次郎わが道をゆく』(78)(1980.6.22.蒲田ロキシー)

 毎度おなじみのストーリーだが、相変わらず面白い。今回はマドンナの木の実ナナをはじめ、SKDが総出演し、普段のこのシリーズにはない派手さがあった。それにしても渥美清と倍賞千恵子は本当にすごい! もちろん、おいちゃん(下條正巳)、おばちゃん(三崎千恵子)、博(前田吟)、社長(太宰久雄)、御前様(笠智衆)のレギュラー陣も良し。武田鉄矢演じる振られ男の留吉が何とも共感を誘う。

 名セリフ「備後屋、お前相変わらずバカか」(寅)

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『男はつらいよ 葛飾立志篇』

2019-09-17 08:36:27 | 男はつらいよ

『男はつらいよ 葛飾立志篇』(75)(2010.7.17.浅草名画座)

 久しぶりに映画館で寅さんと再会。今回は寅が樫山文枝演じる大学の助手に惚れて学問に目覚める話なのだが、東大法学部卒のインテリである山田洋次が、無学な寅が持つ滑稽さや悲しみ、そしてそれゆえのたくましさを描く二律背反が、このシリーズに深みを与えていると改めて感じた。

 個人的には、シリーズの舞台である葛飾・柴又の隣町に引っ越してきてから1年がたち、シリーズへの親しみがさらに増した。それとともに、年を取るにつれて、山田洋次の人間描写の確かさや、細かいシーンの積み重ねのうまさに気がつくようにもなった。

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『男はつらいよ 私の寅さん』

2019-09-17 06:50:59 | 男はつらいよ

『男はつらいよ 私の寅さん』(73)(1980.10.15.水曜ロードショー)

 またまた大いに笑わされた。そしてほのぼのとした気分になった。実に貴重なシリーズである。

 今回は、面白いというよりも、ちょっと変わった場面があった。それは、寅屋の一行が旅行に出掛け、寅さんが留守番をするくだりだ。

 いつもは旅先から帰ってきて、迎えられる立場の寅さんが、皆の身を心配し、不在を寂しがり、あげくは、皆疲れて帰って来るだろうからと、飯の支度をしたり、風呂を沸かしたり…。おかしさの中にふと哀れさがにじみ出る名シーンとなった。

 そして、寅さんは、しばらくはまた地道な暮らしを試みるのだが、岸惠子演じる画家の登場でそれはもろくも崩れる。

 柄にもなく芸術について考える寅さん。その転換の早さ、マドンナが現れるとコロッと態度が変わるおかしさ。毎度のことながら、そのタイミングの良さや間の取り方には感心させられる。

 結末は、またも悲しい失恋に終わるのだが、このシリーズがくどくならないのは、寅さんの引き際の良さにある。振られた時はこうありたいものだ。

 名セリフ「『別れの曲』…やっぱり旅人さんの歌でござんしょうね」(寅)

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『男はつらいよ 寅次郎忘れな草』

2019-09-16 18:23:09 | 男はつらいよ

『男はつらいよ 寅次郎忘れな草』(73)(1980.5.9.ゴールデン洋画劇場)

 こんなにも人の心を平和にし、楽しくさせ、ほのぼのとさせるこのシリーズは、日本映画の中でも特別なものに値する。話の中心は、毎回寅さんが恋して失恋するだけなのだが、その中に、周囲の人々やマドンナのドラマといったさまざまなエピソードを加えて、一作一作を全く飽きることなく見せる。

 今回のリリー(浅丘ルリ子)との恋の間にも、旅芸人や行商人の哀感や、北海道の酪農一家の様子(織本順吉好演)、地方から出てきた若い労働者の恋などを巧みに描き込んでいる。たとえマンネリと言われようが、まだまだ作り続けてほしい。このシリーズを見て気持ちが明るくなる人がたくさんいるのだろうから。

 松村達雄のおいちゃんもなかなか良かったが、例の「ばかだねえ」のセリフは、やっぱり森川信が最高だった。

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【ほぼ週刊映画コラム】『記憶にございません!』

2019-09-16 10:10:19 | ほぼ週刊映画コラム

エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は
悪徳総理が普通のおじさんになったら
『記憶にございません!』

詳細はこちら↓
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1200042

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『男はつらいよ 寅次郎夢枕』

2019-09-16 10:07:03 | 男はつらいよ

『男はつらいよ 寅次郎夢枕』(72)(2005.9.11.) 髪結いの亭主になれたかもしれない寅

 『男はつらいよ 寅次郎夢枕』を再見。渥美清が結構はしゃいで見える一作。幼なじみがマドンナというのは第1作をはじめ、結構あるのだが、寅さんが惚れられるというのは初めてのパターンだったのではないか。八千草薫がかわいい。

 それから「てめえ、さしずめインテリだな」という名セリフは、ひょっとして東大卒の山田洋次が自身に向けた皮肉なのかなと思った。

『男はつらいよ 寅次郎夢枕』の亀戸天神
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/eb01476fc3dbfb89dec0a3e035eefacf

 

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『男はつらいよ 奮闘篇』

2019-09-16 07:01:51 | 男はつらいよ

『男はつらいよ 奮闘篇』(71)(2005.8.21.) 寅は保護者になれるのか?

 BSの寅さん全作放送。シリーズ第7作。津軽訛りでやや頭が弱い少女花子(榊原るみ)に捧げる寅の純情を描いた『男はつらいよ 奮闘篇』を再見。

 今は亡き森川信、ミヤコ蝶々の名演、まだまだやんちゃな寅、かわいらしいさくらの姿が懐かしく甦る。マドンナはとにかくかわいい榊原るみ、脇役に犬塚弘、田中邦衛、そして柳家小さん。山田洋次の「学校」シリーズの萌芽がここにある。それにしても、もう34年も前なのか…。

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『男はつらいよ 寅次郎恋歌』

2019-09-15 14:07:34 | 男はつらいよ
『男はつらいよ 寅次郎恋歌』(71)(1979.4.15.東京12チャンネル)


 シリーズ第8作。マドンナは柴又で喫茶店を開いた未亡人・貴子(池内淳子)。
 
 この映画は寅の恋というメインストーリーはもとより、妻を亡くした博(前田吟)の父・飈一郎(志村喬)が寅にしみじみと聞かせる「りんどうの咲く家の話」と、この後たびたび登場することになる旅芸人・坂東鶴八郎(吉田義夫)一座との交流というサイドストーリーが秀逸。2人の名優が実にいい芝居を見せるのだ。
 
 そしてラストで、現実逃避として旅人=寅に憧れる貴子の心を知って、「そんなにいいもんじゃねぇんですけどねえ」と失望する寅の姿が切なく映る。
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『男はつらいよ純情篇』

2019-09-15 07:55:03 | 男はつらいよ
『男はつらいよ純情篇』(71)(1978.11.1.水曜ロードショー)


 シリーズ第6作。マドンナは亭主とうまくいかず、寅屋に下宿した若尾文子。前半は渥美清と森繁久彌の掛け合い芝居が楽しめる。とは言え、この映画の白眉はラストの寅とさくらの柴又駅での別れのシーンだ。
 
 ホームに電車が入線し、乗り込む寅。発車間際にさくらに向って「故郷ってやつは…故郷ってやつはよ…」と言ったところでドアが閉まる。さくらは「お兄ちゃん、今何て言ったの」と聞くが、すでに電車は動き出してしまった。観客も寅が何を言いたかったのか分からないままなのだが、それが余韻となってかえって切なく心に残る。このシリーズの大きなテーマの一つである「故郷とは?」が色濃く出た作品だ。
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『男はつらいよ 柴又慕情』 『男はつらいよ 寅次郎恋やつれ』

2019-09-15 07:07:28 | 男はつらいよ
『男はつらいよ 柴又慕情』(72)(1972.8.荏原武蔵野館)『男はつらいよ 寅次郎恋やつれ』(1974.8.27.荏原武蔵野館)

 

 子供の頃、近所の武蔵小山に荏原武蔵野館という邦画専門の映画館があった。ここで東宝の『ゴジラ』シリーズや大映の『ガメラ』シリーズや『大魔神』シリーズ、そして学校行事で『日本万国博』(71)などを見たのだが、実は『男はつらいよ』シリーズを初めて見たのもここだった。
 
 それは、吉永小百合演じる歌子がマドンナとなったシリーズ第9作『男はつらいよ 柴又慕情』(72)で、併映はドリフターズの『祭りだお化けだ全員集合!!』だった。森川信の死去によって、この映画から松村達雄が2代目のおいちゃんとして登場し、歌子の父親の小説家を宮口精二が演じた。
 
 また、くしくも荏原武蔵野館でのラストショーとなったのが、吉永が再登場した、シリーズ13作目の『男はつらいよ 寅次郎恋やつれ』(74)。同時上映は同じくドリフの『超能力だよ全員集合!!』だった。
 
 そして『柴又慕情』では大学生だった歌子が、わずか2年後の『寅次郎恋やつれ』では結婚後、夫と死別している。自分自身も小学生から中学生になり、全く環境が変わっていた。
 
 という訳で、初めて寅さん映画を見た映画館のラストショーが寅さん映画になり、マドンナはどちらも吉永小百合と、偶然が重なった。だから、この2本は映画以外の部分でとても印象に残っているのだ。
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