忘年会場へ着く。暖簾なりを開けて入る。
めんどくさそうに「どちらさん」、威勢よく「ヘィいらっしゃい」、義務的に「ご予約の方ですか」、頭を下げて「お待ちしておりました」迎え方はいろいろある。
庶民の集うところ、三つ指突いて玄関で挨拶など受けることはない。でも、場所はどこであれ客を迎えて初めに交わす挨拶、そのひと言は店の印象を左右するものだ。
サラリーマン時代、馴染みの客でも迎えたときの言葉が丁寧なお店は味がよかった。小さなことにも馴れ合いしない店主の気持ちが料理にも伝わっていた。従業員の躾もよく料理への問いにも答えていた。
社用族には良い愛想だがそうでなかったら半分の愛想しかしない、そんな評判のお店があった。そのお店を利用するときは社用での利用だったから後者の評は分からなかった。退職して機会があったので試してみた。先入観はあったかもしれないが、うわさは大きく違っていなかった。人の口に戸は建てられない。
迎えるときも送るときも、そうでないときも気持ちよい応対が出来るような丸い人間にならなければと思っているが、何せ親からもたったこの四角い顔はどうしても丸くならないので悩んでいる。
(写真:玄関で出迎えてくれたサンタクロース)