
何が彼らの目に見えるのか、起きているのか分からないが、数十羽のスズメが編隊飛行をしている。編隊飛行を短い時間で終え素裸の小枝へ分散して止まる。どこに指揮する鳥がいるのか一斉に飛び立って編隊飛行、これを繰り返す。
冷たい風が止むことなく吹いている。襟をたて首をすぼめるように散策する人たちが見えぬかのようにスズメたちは編隊飛行を繰り返している。
夜明けとともに「チュンチュン」と餌を探して移動する。スズメは稲作の大敵として害鳥のように呼ばれるが、益鳥の面も大きいという人もある。スズメを駆除したことで害虫が大量発生したという記録もあるという。
ちょっと騒がしいスズメ、いらいらしているときはそれを助長させる。しかし、童謡に歌われているスズメは人と親しい交わりがある小鳥なのだろう。スズメのお宿では人と同じように優しい心を見せてくれた。
冬らしい青空を背にした編隊飛行を何度か見せてくれたが、飛び去った。それは大きな羽音を立てるでもなく、チュンとも泣かずにアッという間に。次の餌場へでも向かっただろう。その方を見上げると裸の小枝が冷たい風に揺れている。
(写真:羽を休めている1羽、吉香公園で)