
物置の棚を整理しながら探し物をしていたら、その奥でダルマが大きな目で見つめている。そうだろう、何年もこれほどに棚の物を動かしたことはない。そこの主のようなダルマが驚くのも無理はない。
このダルマ、息子の入園のときと卒園のときに片目ずつ入れたダルマだから、かれこれ30数年前から我が家の一員に加わったことになる。その子、私の孫はこの春に小学校を卒業する。ダルマに目をいれることはなかろうが、日の目を見たのは何かの縁だろう。
ダルマは倒しても倒れてもすぐに起き立つ、運のいい縁起物として古くから日本の生活になじんでいる。達磨大師の座禅を模した張り子という。大師は色白の顔に濃い眉と全体を覆うようなヒゲをはやしていたのだろうか。顔と赤い身体のコントラストがユーモアを誘う。
孫は女の子、春休みにはちょっと帰省するという。ダルマに興味はないだろうが、縁起物のダルマだ。帰省のとき使っている机にのせて卒業を祝ってやろう。汚れもなくつや艶のダルマ、若そうに見える。この元気さを孫も見習ってほしい。
(写真:久しぶりの外の世界に大きな目をしているダルマ)