真っ青な空は小春日和を恵んでくれる。いつものように足の向くままに散歩に出かける。よく通る細い道を進んでいるとこれまで気づかなかったさらに細い道に気づいた。その幅は荷車がやっと通れるくらい細い。その道を歩き始める。側溝もなく両側は戸建ての裏側で日差しはない。
昔話の世界に踏み込んだようだが、そんなに長くない細道が終わると軽自動車に出会う。自転車にも出会う。市道ではない私道かと振り返るがそれは分からい。少し広い道を右に折れて進む。長いこと気の向くまま歩いているが、この道は初めて、知らないことはいくらでもあると思いながら歩く。
少し行くと見慣れたアスファルト舗装された道に出た。いま歩いてきた細道はおそらく地図には載っていないだろうと思いながら、久しぶりの道を進む。向こうの角に妙なものが散らばっているのが見える。近づくと熟した柿がいくつも落ちている。見上げると幾つも実のついている数本の柿の木が青空に向かって伸びている。
収穫されない柿は本来の硬さを失って元気なく張りを失っている。これではカラスも寄ってこないのだろうと思う。ぼんやり過ごすとお前もこの柿の様に張りを失うぞ、初めての細道はそれを教えるため誘ったのかもしれない。気を引きしけて日々を送ろう、その証に柿の木を撮っておいた。