朝7時半ころ、低学年の児童数人が登校している。いつもの元気な会話が聞こえないし歩幅はちょこちょこ歩き、寒さ冷たさをこらえながら学校へ向かう姿、大昔の自分と重なる。それでも半ズボンに短い靴下はこれまで通り、寒くないかと声を掛けたいが、頑張っている姿に「お早う」だけで見送る。
児童らを見送って外気温は何度だろうと車庫に吊り下げている寒暖計を確認するとマイナス2.3度。その時、古い古い棒状寒暖計だがマイナス10度から50度まで測れることに初めて気づいた。子どものころ、夏休みの日記帳に記す気温を測っていたもので、2回の引っ越しにも処分されずこうして現役で活躍していることに驚く。
入手した経緯は分からないが企業名「NIKKEI]の文字がくっきり残っていて、そこは現在も寒暖計を販売している。寒暖計は「気温の高低をはかるための温度計」で単に温度計といえば「物体の温度を測る装置」ということで寒暖計は温度計の一種になる。赤い液体はエチルアルコール、水銀寒暖計に比べれば目盛りも管も大きく見やすい。
風雪に耐えて何十年、赤いアルコールが上下する管に異常はないが、温度目盛りを刻んだ板は塗装が剥げ落ち「傷だらけ」の感じもするが、自然を見つめてきた風格を滲ませる。メンテも電池も要らず、寒暑を問わず測定を続けるアナログの測定器は故障を知らない優れ物といえる。デジタルはアナログを基に生まれ成長進化したもの、古い寒暖計を見ながらいろいろ思う。