乃木坂46『インフルエンサー』のカップリング曲『当たり障りのない話』は、アイドルソングとして魅力溢れる楽曲だ。歌詞は、「学生時代の片思いの相手に偶然会う」「偶然会った時にお洒落をしていなくて残念」という2つのテーマを盛り込んでいて、かなり力が入っている。
「学生時代の片思いの相手に偶然会う」シリーズには、『あの頃好きだった人』『僕がもう少し大胆なら』『右にしてるリング』などがある。せっかく偶然会えても、今さら何か進展があるわけではなく、そのまま別れてしまうというのがパターンで、この曲も正にそういう展開を辿るのが切ない。
「偶然会った時にお洒落をしていなくて残念」シリーズの代表曲は、『オーマイガー!』だ。そしてその源流は南野陽子『話しかけたかった』である。『話しかけたかった』の彼女が、髪がはねた状態で好きな男子に偶然会ったのは本屋の角だったが、『当たり障りのない話』の彼女は普段着で本屋で立ち読みしているときに好きな男子に会う。これは完全に本歌取りだ。南野陽子の1987年と比べ2017年の「町の本屋」は、アマゾンや電子書籍に押されて経営が苦しくなっていて、廃業したところも多い。それでも敢えて本屋を舞台としたところに、アイドルポップの伝統を守ろうという秋元康の意図を感じる。しかし以前にも書いたが、男子の本音は、普段着、すっぴんの女子が好きなのだ。その意識の違いがあるから歌になるのだが。
『当たり障りのない話』の彼女は、彼に今恋人がいるのか聞きたいが聞けず、LINEしようと誘いたいが誘えず、結局当たり障りのない話だけをして別れてしまう。歌を聴いている私たちは、もどかしく感じるが、そのもどかしさこそがアイドルポップの伝統芸なのだ。ラブコメの漫画がもどかしいのと同様だ。
曲調は意外にアップテンポで、軽快だ。それがまた切なさを助長している。非常に良くできた楽曲だ。
「学生時代の片思いの相手に偶然会う」シリーズには、『あの頃好きだった人』『僕がもう少し大胆なら』『右にしてるリング』などがある。せっかく偶然会えても、今さら何か進展があるわけではなく、そのまま別れてしまうというのがパターンで、この曲も正にそういう展開を辿るのが切ない。
「偶然会った時にお洒落をしていなくて残念」シリーズの代表曲は、『オーマイガー!』だ。そしてその源流は南野陽子『話しかけたかった』である。『話しかけたかった』の彼女が、髪がはねた状態で好きな男子に偶然会ったのは本屋の角だったが、『当たり障りのない話』の彼女は普段着で本屋で立ち読みしているときに好きな男子に会う。これは完全に本歌取りだ。南野陽子の1987年と比べ2017年の「町の本屋」は、アマゾンや電子書籍に押されて経営が苦しくなっていて、廃業したところも多い。それでも敢えて本屋を舞台としたところに、アイドルポップの伝統を守ろうという秋元康の意図を感じる。しかし以前にも書いたが、男子の本音は、普段着、すっぴんの女子が好きなのだ。その意識の違いがあるから歌になるのだが。
『当たり障りのない話』の彼女は、彼に今恋人がいるのか聞きたいが聞けず、LINEしようと誘いたいが誘えず、結局当たり障りのない話だけをして別れてしまう。歌を聴いている私たちは、もどかしく感じるが、そのもどかしさこそがアイドルポップの伝統芸なのだ。ラブコメの漫画がもどかしいのと同様だ。
曲調は意外にアップテンポで、軽快だ。それがまた切なさを助長している。非常に良くできた楽曲だ。