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山里亮太『あのコの夢を見たんです。』を読む。ネタバレあり。(ときめき研究家)

2020-09-05 18:11:30 | ときめき研究家
山里亮太の短編小説集『あのコの夢を見たんです』がテレビ東京でドラマ化されると聞いた。以前から気になっていた本だが、これを機に購入して一気に読んだ。
実在するアイドルや女優をモチーフにした妄想を小説にした内容だ。アイドルファンなら誰もが夢見るようなことを実現していて羨ましい。私も学生時代、小泉今日子や早見優と「架空対談」をして、ミニコミ誌に掲載したりしていた。
妄想なので全編に山里本人と思われる人物が登場する。しかし、妄想とは言っても、人様に読ませる創作物であり、更にご本人にも読ませて感想まで書いてもらうという雑誌の連載企画だったようなので、個人的で猥らな妄想は一切含まれていない。
16人をモチーフにした16編。この中で何編がドラマになるのか、そしてモチーフとされた本人が出演してどんな演技を見せるのか、とても楽しみだ。

16編の出来栄えはまちまちだ。似たような話もいくつかあった。しかし、どの作品もモチーフとなったアイドルや女優への愛情に溢れ、彼女の経歴や特徴を活かした内容となっていて楽しめる。例えば、桜井日奈子をモチーフとした『OKAYAMA』では、彼女を形容する「岡山の奇跡」という言葉だけから奇想天外な妄想を膨らませている。

特に気に入った話は以下の3編だ。

まずは欅坂46キャプテン菅井友香がモチーフの『アナザーブルースカイ作戦』。
読み始めてすぐに気づくのだが、ストーリーは欅坂46の楽曲『青空が違う』そのものだ。ノベライズと言ってもいい。夢を叶えるために上京している恋人を突然訪ねる少女の歌で、私も好きな曲だ。菅井も歌唱メンバーに含まれている。
彼が叶えたかった夢とは何なのか、私はしっくり来る解釈を思いつかなかったが、山里は「芸人になる」という解釈を加えて物語を構築している。そして、歌では歌われなかった「その後」に、あっと驚く展開があり、そこには山里本人も一口絡んでいる。
面白いとは思ったが、「楽曲『青空が違う』をモチーフとしました」くらいの注釈は付けておくべきではないだろうか。その歌を聴いたことがない読者は、全て山里の創作だと勘違いしてしまう。

次に、松岡茉優をモチーフにした『鏡』。
どんな役でもこなす変幻自在の女優である松岡茉優。その秘訣は魔法の鏡だった、というファンタジー。ひときわ短い作品だが、上手くまとまっている。
話の中で、「アンパンマン」の実写化で彼女が主演したという妄想も出て来るが、もしかしたら本当に演じていたのかなと思い、思わずネットで検索して確かめてしまった。事実ではなかったが、松岡茉優ならアンパンマンも演じられそうだ。テレビドラマでは、その場面も実現されるかもしれない。

そして、渡辺麻友がモチーフの『BAKU』。本の最後に収録されている。
夢を見ることを禁止された社会で、反体制地下活動のリーダーが渡辺で、山里はその活動に加わる高校生だ。渡辺が活動を率いる原動力は、透き通る声と歌唱という設定であり、山里も私と同じで渡辺麻友の魅力の本質は歌唱にあるのだと考えているのだろう。楽曲『ヒカルものたち』を想起させるようなシーンも描かれている。
しかし、残念ながら、この話はドラマ化されることはないだろう。なぜなら、渡辺麻友は既に芸能界を引退しているから。山里も非常に残念だろう。

コメント
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