AKB48 チームBのファンより

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乃木坂46ベストアルバム『Time files』の新曲を聴く。生田絵梨花『歳月の轍』は端正な卒業ソング。(ときめき研究家)

2022-01-10 15:09:19 | ときめき研究家
乃木坂46の10周年記念ベストアルバム『Time Files』が発売された。配信で新曲5曲だけを購入した。力の入った曲ぞろいだった。

『歳月の轍』。
その中でも、生田絵梨花のソロ曲『歳月の轍』はしみじみと心に残る曲だ。グループを卒業する彼女の卒業ソングと言えるだろう。
生田絵梨花のソロ曲と言えば『あなたのために弾きたい』は至高の名曲だった。彼女の幼い頃からの歩みを総括したような内容で、1編の短編小説を読んでいるような深い味わいがあった。それが7年前。その曲に雰囲気がよく似ている。ピアノの弾き語りのように静かに始まり(おそらくピアノも生田自身が弾いていると思う)、徐々に他の楽器も加わり盛り上がっていく構成も似ている。

7年の歳月を経て発表された今回の『歳月の轍』は、彼女の乃木坂46における10年を総括するような内容だ。と言っても、普遍性のない楽屋落ちソングではない。何かに懸命に打ち込んだ青春時代に別れを告げるという普遍的な歌となっている。「坂を登って」という歌詞はさりげなく織り込まれているが・・・。
彼女の卒業の景色は桜吹雪ではない。一面の雪景色だ。真っ白なその光景は、無垢な彼女自身のイメージにも似合っている。
端正な歌い方は7年前と全く変わっていない。艶とか媚とか甘さがなく、音楽そのものに誠実に向き合っているような凛とした歌唱。そしてそれは彼女の生き方そのものを反映しているのではないかとすら思わせる。

乃木坂46在籍中から多くのミュージカルに出演する等、活躍していた彼女のことなので、今後も一層の活躍を見せるのだろう。AKBグループ、坂道グループの卒業生の進路としては、女優かバラエティーというのが相場だが、彼女の場合はミュージカルという舞台中心の独自の道を歩むこととなるだろう。成功を祈る。

『あなたからの卒業』。
真内眞衣のソロ曲。彼女も卒業するとのことで、卒業ソングなのだろう。恋人との別れを卒業に擬して歌っているような歌詞だが、あながちそうとも言い切れない。自分を守ってくれていた存在からの自立を歌っていて、グループからの卒業のことも意味しているのだろう。「あなた」とは、恋人でもあり、乃木坂の仲間たちでもあり、ファンでもあるのだろう。
ミディアムテンポで、デリケートな音階が続く曲調は、歌うのが難しそうだ。大人びた感じがする。

『Hard to say』。
彼氏に嫌われたくないから、言いたいことも我慢して素直ないい娘を演じているという歌詞。言いたいこととは、彼の浮気疑惑のようだ。問い詰めたいが嫉妬深く思われたくないからスルーする、気弱で慎み深い女性の葛藤を歌っている。櫻坂46ではありえない歌詞だ。
アップテンポな曲調が歌詞とアンバランスなところが効果的。歌詞といい曲調といい、酒井法子『幸福なんてほしくないわ』を思い出す。その歌では、最後にデート中の車から降りてしまうのだが・・・。

『最後のTight Hug』。
半年前に別れた元カノに呼び出されて「結婚する」と聞かされ、惜しくなり、激しく後悔している未練がましい歌だ。後悔するくらいだったら別れなければよかったのにと思うが、失ってみて初めて大切さに気付くのはよくある話だ。
かける言葉がなくて、彼はただきつく抱き締めた。されるがままにされている彼女の気持ちも図りかねる。彼女の方にもまだ好きな気持ちは残っているようで、彼女もまた踏ん切りをつけたいのかもしれない。それとも「結婚するな」と止めてほしいのか。それは聴き手の解釈に委ねられる。いずれにしても、お互い嫌いになって別れた訳ではないのだろう。この2人の関係は『11月のアンクレット』の2人のそれと似ている。
冷めてしまったカフェラテが良い小道具になっている。冷めても捨てられない思い出の象徴だ。冷めてしまったことは事実、それでも最後まで恋の余韻を味わいたい、そんな気持ちなのだと私は解釈した。
ノスタルジックな曲調も心地よく、別れの曲なのに穏やかな気持ちになる。

『ゆっくりと咲く花』。
今回のベストアルバムのテーマソングと言うべき楽曲だろう。
不安で眠れない日々を過ごしながら、10年の歳月を経て、乃木坂らしい花を咲かせることができたという内容。しみじみとした歌唱が心に残る。何回も聴き続けたいような曲だ。
AKBグループの「公式ライバル」として作られ、最初は『会いたかったかもしれない』とかいう安易な歌を与えられていた。秋元康としては、分散投資、リスクヘッジのつもりだったのかもしれず、またその思惑通りに人気がシフトした感がある。しかし、彼女たちは、そうした思惑とは関わりなく、ゆっくりと自分たちの歩みを進めてきた。その歩みを歌にしたような楽曲で、それを作詞している秋元康のしたり顔も目に浮かぶが、ここは見事としか言いようがない。
コメント
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