5月3日に放送されたBS-TBS『X年後の関係者たち 不作の83年組アイドル編』を見た。
1983年デビューのアイドル、松本明子、森尾由美、小林千絵が出演した。1年先輩の「花の82年組」代表として松本伊代も出演。解説は中森明夫。MCはカズレーザー。
「花の82年組」の陰に隠れて不作と呼ばれた83年組も、バラドルなどの道を見つけてしぶとく生き延びてきたといったストーリーに沿ってトークが展開された。カズレーザーの軽妙な司会もあって、面白おかしく展開されるトークは、概ね楽しめた。トークの中でも言及されていたが、2018年11月に銀座博品館劇場で開催され、私も観戦した「35周年イベント」の流れを汲むような内容で、それほど新しい発見は無かった。
強いて言えば、以下のような話は初耳もしくは忘れていた。
・松本明子は堀越学園高校で、芸能コースなのに仕事がないので皆勤賞。成績もよかったので大学進学を勧められた。
・松本明子がラジオで放送禁止用語を叫んだのは、言わなければ好きな人をバラすと脅されたからだった。今なら完全にパワハラだ。
・小林千絵はヤマハポプコン出身で初のアイドルだった。
・1984年の日本テレビ音楽祭で2年目歌手に与えられる「金の鳩賞」は「該当者無し」だった。
ところで、1点だけ、歴史認識として間違っている箇所があった。
番組では83年組が不作だった原因を2つ挙げていた。1つは「タイミング」、2つ目は「おニャン子クラブ」。
1つ目の「タイミング」は、82年組がブレイクしている中、新たなアイドルが食い込む余地がなかった、ファンの財布に余裕がなかったという説で、これは概ね定説になっていると言える。加えて、「スター誕生」が末期となり、審査員や選考方法が変わってしまったことも挙げられていたが、説得力があった。
2つ目の「おニャン子クラブ」は、明らかな歴史誤認である。おニャン子クラブの活動期間は1985年4月~1987年9月であって、83年組不作の原因とするには無理がある。おニャン子クラブがアイドルのあり方を変えたというロングタームの歴史認識は私も正しいと思うし、そもそも研究者によって認識が異なっても構わない。ソロアイドルからグループアイドルへ、高嶺の花から身近な可愛い子へ、という変質は確かにあった。しかし、それは83年組不作とは全く関係がない。おニャン子クラブが席巻する前に、84年組の菊池桃子、岡田有希子、荻野目洋子、85年組の斉藤由貴、南野陽子、中山美穂、浅香唯などの人気アイドルが輩出したことを見逃している説である。
歴史認識は正しい事実認識の上に立脚しなければならない。中森明夫氏を解説に据え、真面目に歴史に向き合う硬派の番組だっただけに、この1点だけは残念だった。
ちなみに、私の「83年組楽曲ベスト5」は以下の5曲である。
森尾由美『お・ね・が・い』
岩井小百合『ドリーム・ドリーム・ドリーム』
伊藤麻衣子『微熱かナ』
小林千絵『いつも片想い』
徳丸純子『PICA PICA』
1983年デビューのアイドル、松本明子、森尾由美、小林千絵が出演した。1年先輩の「花の82年組」代表として松本伊代も出演。解説は中森明夫。MCはカズレーザー。
「花の82年組」の陰に隠れて不作と呼ばれた83年組も、バラドルなどの道を見つけてしぶとく生き延びてきたといったストーリーに沿ってトークが展開された。カズレーザーの軽妙な司会もあって、面白おかしく展開されるトークは、概ね楽しめた。トークの中でも言及されていたが、2018年11月に銀座博品館劇場で開催され、私も観戦した「35周年イベント」の流れを汲むような内容で、それほど新しい発見は無かった。
強いて言えば、以下のような話は初耳もしくは忘れていた。
・松本明子は堀越学園高校で、芸能コースなのに仕事がないので皆勤賞。成績もよかったので大学進学を勧められた。
・松本明子がラジオで放送禁止用語を叫んだのは、言わなければ好きな人をバラすと脅されたからだった。今なら完全にパワハラだ。
・小林千絵はヤマハポプコン出身で初のアイドルだった。
・1984年の日本テレビ音楽祭で2年目歌手に与えられる「金の鳩賞」は「該当者無し」だった。
ところで、1点だけ、歴史認識として間違っている箇所があった。
番組では83年組が不作だった原因を2つ挙げていた。1つは「タイミング」、2つ目は「おニャン子クラブ」。
1つ目の「タイミング」は、82年組がブレイクしている中、新たなアイドルが食い込む余地がなかった、ファンの財布に余裕がなかったという説で、これは概ね定説になっていると言える。加えて、「スター誕生」が末期となり、審査員や選考方法が変わってしまったことも挙げられていたが、説得力があった。
2つ目の「おニャン子クラブ」は、明らかな歴史誤認である。おニャン子クラブの活動期間は1985年4月~1987年9月であって、83年組不作の原因とするには無理がある。おニャン子クラブがアイドルのあり方を変えたというロングタームの歴史認識は私も正しいと思うし、そもそも研究者によって認識が異なっても構わない。ソロアイドルからグループアイドルへ、高嶺の花から身近な可愛い子へ、という変質は確かにあった。しかし、それは83年組不作とは全く関係がない。おニャン子クラブが席巻する前に、84年組の菊池桃子、岡田有希子、荻野目洋子、85年組の斉藤由貴、南野陽子、中山美穂、浅香唯などの人気アイドルが輩出したことを見逃している説である。
歴史認識は正しい事実認識の上に立脚しなければならない。中森明夫氏を解説に据え、真面目に歴史に向き合う硬派の番組だっただけに、この1点だけは残念だった。
ちなみに、私の「83年組楽曲ベスト5」は以下の5曲である。
森尾由美『お・ね・が・い』
岩井小百合『ドリーム・ドリーム・ドリーム』
伊藤麻衣子『微熱かナ』
小林千絵『いつも片想い』
徳丸純子『PICA PICA』