Shabelle Media NetworkとかGarowe Onlineとか

　たぶん今日は仕事の谷間。

　Shabelle Media Network…昔は政府側に包囲攻撃とか食らってましたね。政府側の失態等々を『積極的に報じている』と見なされたためといってよいかと。
　といって，明確に反政府の立ち位置をとっている（いた）とまでは言えまい。
　流言寸前の話を報じることが，よしあったとしても，積極的に嘘をでっちあげてまで反政府するほどではなかったはず。

　具体的に言ってpress tvとの報道の仕方の差を実地で見てみましょうか：

「エチオピア兵に大損害?　ソマリア」2008-05-24

　さらにGarowe Online，Press TV，Shabelle Media Networkが同じ事件をそれぞれどのような報道しているか：

「Hiranでエチオピア軍に待ち伏せ攻撃―ソマリア」2008-04-15

　Press TVの言うところでは，ソマリア反政府側は一万人を糾合し34台の輸送車に乗ったエチオピア兵に路肩爆弾で先制攻撃し，20名の死者を出す戦闘をする絶望的無能だそうです。あれか，一丁のAK持った射撃者に弾込め・弾丸持ち（1）・弾丸持ち（2）・弾丸持ち（3）…飯盒持ち・フォーク持ち・スプーン持ちが引き続いてるのか。ずいぶん潤沢だな。

　Shabelle Media Networkは現地にいるだけあって，タイミングが合えば細かな数字まで上げてくる。けれど現地感情が入るからか，たとえばエチオピア軍の越境などに過敏なほど反応したりする。

　一言でいえば「普通の地元紙ジャーナリスト」な感じ？

　地元密着だから，リアルタイム報道のときは特に，情報の「交通整理」に難が出かねない。目が近すぎますよ。

　けれどジャーナリズムに意識があることはまず確実で，だから政府側に批判的であり，同時に反政府派にも批判的であり得る。反政府派の言いなりになりたくない！という意識が，ついにはバカラ・マーケットの本社を閉じて政府側支配地域へ移転までさせたわけでしょうから。

　Garowe Onlineはプントランドにいるだけあって，岡目八目的にソマリア情勢を見ることができるみたい。一応，全国紙を自負するような，そんな感じ。ハルゲイサにも特派員を置いてましたっけか。国際的な情報を入手できる点では，圧倒的にShabelle Media Networkより上でしょうねえ。

「ソマリア問題におけるエチオピア軍配置転換記事について：14000人規模の侵攻？」2008-04-09

　エチオピア側からの視点も確保できる。
　尤も，プントランドの報道機関だから，ちょっとソマリランドに厳しめな感じ。でもSomaliland Timesよりは，言葉を控えている感（あっちはプントランド当局自体を海賊の黒幕扱いしたりする勢いで非難する…）。

　…よくもわるくも，「プントランドの報道機関」。そのフィルターは常に通ってはいることに注意すれば，割に安心して読めるかと。


　あと。アルシャバブは，モガディシュでこそ一進一退のいい勝負をしてますが，他の地域では（特に南部では）ここ暫く，安定して統治してますよね。その内容はどうあれ。いきあたりばったり感も否定できないとはいえ。

　他方，Hobyoあたりですか，を攻撃してたりしましたが，それ，海賊連中が上納金値上げに応じないので懲罰食らわしただけで，特に支配するということもなく（海賊も，別に滅ぼされはせず逃亡し），撤退してましたねー。

　あれ，タリバンがケシ農家を"支配"するのと，同じパターンなんじゃないですか？

　ケシ栽培自体を自ら行うことはなく，栽培の手間暇・農業上のリスク（干ばつとか）を負うことを回避。そのアガリは流通を押さえるなどして確保し，在庫整理等々の必要ができたら『それ，非イスラムだから禁止♪』とかいって出荷量を調整する。

　それと同様，『海賊行為って非イスラム的だよね！』とかいいつつ，そのアガリ…あるいは投資に対する利得かなあ…は確保。収入が心もとない場合に『反イスラム的行為を根絶する！！』とかいって海賊根拠地に攻撃しかけて略奪してゆく。

　時々海賊へ言及したり，攻撃したりするのは，生産調整みたいなもんなんじゃないですかね。