空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

移民問題。

2012-11-24 14:30:53 | Weblog
The Voice of Russia 日本と欧州にとっての教訓:なぜ韓国には移民労働者の問題がないか? 特集: 私見アンドレイ・ラニコフ 23.11.2012, 18:32

2012年11月22日、韓国の国立統計庁は報告書を発表した。それによれば、韓国には111万4000人の移民が暮らしている。これは国民のほぼ2%に相当する。うちのおよそ82万人の移民が外国人移民・出稼ぎ労働者だ。53%の労働者が一週間で平均50時間以上働いており、75%が月200万ウォン(1800ドル)を稼いでいる。彼らは韓国人には魅力的でない、いわゆる「汚い仕事」「きつい仕事」に就いている

欧州諸国における移民への反感の原因のひとつが、移民たちが様々な特別手当て、資金援助を積極的に利用しているという説が信じられていることなのであるが、韓国では社会的な方面での発展が脆弱であり、そのため、かかる制度の悪用などはありえないのである
 
多くの外国人労働者は、重労働で荒稼ぎし、その後祖国に帰る目的で韓国にやってくる

 端的に纏めれば,1. (若い)韓国人の多くは高学歴であって(大学進学率80%),所謂3Kの仕事を嫌う。従って,そこを埋める人材が必要になるが,この点,2. 外国人移民・出稼ぎ労働者が3K仕事を担うために必要とされる。しかし3. 韓国の社会的・政治的制度は移民に優しくなく,外国(出身)人は韓国社会に定着しない=移民問題は発生しない。

 上掲記事末尾には

外国人労働者の数は増大している。増加率は年ほぼ10%。そのため、現代のヨーロッパに見られるような問題と遭遇する機会がこれから増えていかないという保証はない。しかしそれにはまだ長い月日がかかるだろう。現在のところ、韓国に労働移民はいるが、移民問題は存在しない

 と総括されるが,もちろん,既にその萌芽は見られるわけだろう:

朝鮮日報 国際結婚家庭の子ども、4年で11万人増 言語教育や差別が問題に 2012/11/22 13:21

仁川市に暮らす小学4年生の少年(10)は、韓国人の母親とパキスタン出身の父親の間に生まれた。父親が韓国国籍を取得し、名字が「キム」に変わった。少年は先月、肌が黒いせいでクラスメートから「君の父さんは肌が黒いのにどうして韓国に来たの」などとからかわれ、涙を流した
フィリピン出身の母親と韓国人の父親を持つ大邱市の小学4年生の少女(12)は、肌の色が違うことから、学校ではいつも一人だ。「お前の母さんは貧しい国から来た」「体から変なにおいがする」などと言われることもある。少女は学校生活を楽しめず、成績はいつも真ん中から下の方だという

 ここでは「外国人労働者=非熟練労働者=低賃金」という等式が成り立ってしまうため,「ハーフの子供=低所得階層の子供」という類推が成り立ち,さらには”衛生的な生活も成り立たないに違いない”とまでいくものだろうか。

 尤も,フィリピンとのハーフの子に「「体から変なにおいがする」」というのは,普段の食生活の差に基づくものかもしれない。典型的日本人は醤油味噌臭くなるだろうし,典型的韓国人なら大蒜唐辛子の空気をまとうだろうし(キムチだ),バングラやインドならターメリックとかの香辛料がふわりと香るだろう。

 この点については,多文化を認知できればいいだけの話で,たとえば我々の仲間うちなら,かなり本気のチャイがティーブレイクの定番メニューの一つになったりしたわけだ(相容れない部分は出てくるが―例えばムスリムに豚骨ラーメンは,まあ,避けるべきである)。

 上掲朝鮮日報の記事の2頁目,国際結婚家庭の子ども、4年で11万人増には「多文化家庭に対する韓国社会の意識をまず変えるべきとの意見もある。モンゴル出身の母親を持つ少年(6)は、同国の伝統に倣い髪を肩までのばして幼稚園に通ったところ、友人たちにからかわれた。韓国の伝統を大切にする在外韓国人を誇りに思う一方で、反対の場合は受け入れないという社会の雰囲気が問題と指摘される

 とある。幼児レベルでは仕方ない面があろうが,社会全体で「そぅ」だというわけだ。

 上掲記事1頁目には「少子化で韓国の新生児数があまり増えない中、多文化家庭(国際結婚家庭)の出産件数は急速に増えている。統計庁が21日に発表した資料によると、多文化家庭の新生児が全体に占める割合は4.7%と、1年前に比べ0.4ポイント上昇した。新生児20人に1人の割合だ。韓国に暮らす多文化家庭の18歳以下の青少年数は、2008年から今年にかけ約11万人増加した」とある。地味に,しかし着実に増加していっているのだろう。この点―外国人・他民族蔑視傾向の改善―は,割と急務っぽいのだが,どうだろうか。


 というのは―上掲ラニコフ氏の所論に従えば,日本でそれなりに(朝鮮半島出身者を主たる対象とする)排外主義があるのは,それなりの「特別手当て、資金援助」があるからだ,ということになろう。ではその結果何事が起こったかといえば,その手の人たちの”在日(韓国人・朝鮮人)認定リスト”(※最後にちら見したのは,確か10年くらい前の気がする,そんなおぼろげな記憶だが)に従えば,日本社会の指導的な人々,著名人たちの相当部分がそうであるほど,”在日”の人々の社会進出が進んだ―わけだ。

 ―あの手のリストを本気で信じると,寧ろ『日本人には頭脳優秀な者も美男美女も,およそプラス評価される属性を備えた者は極めて発生し辛い』ことになって逆の意味でアレだが―

 ―ともあれ。移民たち,長期滞在者たちの活動は,その便宜を与えている国=日本の社会にしかるべき位置を占めていることは,さほど疑わずともよい。
 こう書けば,たとえば『パチンコ産業が』とか唸る人がいそうだが,よし低質なものであるとしても”我々”に娯楽というプラスポイントを与えてはいるわけだ,それは。医者でもよい,学者でもよい,企業家でもよいが,およそ彼らが誠実に仕事を行う限り,それらすべては,総体的には,我々―最も広い意味での,この国に住む我々―に利益を齎すだろう。なぜなら,一般的に言ってそうでなければ,彼らは個人的には儲からないからだ(『日本人にはランク下げた治療しますねてへぺろ』なんて医者に通う者はいないものと想定する)。

 では韓国社会における移民たち・長期滞在者たちは,いったいいかなる価値を韓国社会に与えるのか,与え得るのか,彼らの能力・潜在能力を十全に活かす政策や社会的基盤,国民的合意はあるのか,ありえるのか―?

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