空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

東洋経済誌記事メモ・ホームレス、貧困、「暴力」行使

2018-03-17 13:58:38 | ノート
週刊東洋経済 河川敷在住ホームレスを襲う「一般人」の暴力 だから彼らは隠れるように寝ている 村田 らむ : ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター 2018年03月17日

 3ページ目

「こないだの台風で隣に住んでるヤツが流されちゃってさ。今頃はサメのエサだろうなあ」
川崎競馬場の隣に小屋を建てていたおじさんは笑いながら語っていた。知り合いが流されたことは近所の野宿生活者しか知らない。彼らは「警察にも言わないから事件にもならない」と言っていた

 なかなか壮絶。

 4ページ目

「夏になるとしょっちゅう石とか花火をぶつけられる。それもまあ我慢してたんだけど、ある夏に寝ていたら、中学生くらいの悪ガキに火をつけられたんだよ」
ライターオイルをかけられ、背中に火をつけられたそうだ。幸い燃え広がる前に火は消えたが、熱さに暴れている姿を見て、子どもたちは笑っていたという


 わりとよくある。

週刊東洋経済 猫とホームレスが織りなす何とも柔和な共生 捨て猫でも野良猫でも彼らには生きがいだ 村田 らむ : ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター 2018年02月03日

 猫と共生しながらというのはある意味優雅だが4ページ目

「隣の小屋、すげえ立派だろ。でも住人は建ててすぐにガスで死んじゃった。立派に建てすぎて密閉しちゃって通気ができなかったのかもしれないけど……まあ多分自殺だろうな。病気だって言ってたからな。最初から死ぬつもりだったから、あえて死に場所として立派な建物建てたのかもしれない。人間、病気になるとダメなんだよ。死んだほうがずっと楽だ」

 …彼らの人生は、不幸と言うべき状態だ。けれどその分、とでもいおうか、猫の世話でなんらかの納得をしていたりするらしい。

 しかし5ページ目

「猫を殺しにくる人はよくいるよ。よく見かけるのはあるお爺さんなんだけど、ゴルフクラブを持ってしょっちゅう猫を追いかけ回して、叩き殺してる。やめてって言いたいけど、武器持ってるし怖くて言えないよね。
あとは、エサ箱に毒をまいていく人がいる。農薬なのか殺鼠剤なのかはわからないけど、エサを食べた猫はパタパタ死んじゃう。ウワサではおばちゃんらしいんだけど、ホントにやめてほしいよね」


猫が亡くなった後、お墓を建てて線香を上げお供え物をしている野宿生活者もいた。
「自分たちは多分ちゃんとお墓には入れてもらえないけど、せめて猫には天国に行ってほしいからね」


 分類すれば代償行為というのだろうが、しかし人間的である。少なくとも、猫を殴り殺して憂さ晴らしをするより。

週刊東洋経済 警察官からホームレスになった酒乱男の末路 それでも彼は大阪・西成を愛し続けた 村田 らむ : ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター 2018年01月08日

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「ん、これか? 昨日シノギにあったんや。飯場(はんば)で稼いできた6万円を全部持っていかれた。今はスッカラカンや」
としょげた顔で語る。飯場とは、宿と飯がついた労働現場、シノギとは、ホームレスから物を盗む泥棒の俗称だ。場所によってはマグロとも呼ばれる。
西成のシノギは荒っぽいと以前からよく聞く。彼らは被害者が追いかけて来られなくするため暴力を振るうのだが、中にはナタでアキレス腱をバンッと切って行くシノギもいると聞いた


 …『混沌の渦』とか、そーいうリアル系ロールプレイングゲームで見たような話である。

 以上、社会的に排除された人々に対する「良識ある一般人」の暴力行使のテーマのメモ。
 以下貧困問題について:

週刊東洋経済 妻からも見放された34歳男性派遣社員の辛酸 家賃は3カ月滞納、主食はモヤシ 藤田 和恵 : ジャーナリスト 2017年07月13日

 …貧困に陥るきっかけとして離職は大きな要素をしめようが、そのきっかけとして、2ページ目

最初のつまずきは、高校卒業後に進んだ介護専門学校の実習先でイジメを受けて退学、それが原因でうつ病を発症したことだ

「男子学生がターゲットにされがちで、結局、クラスメートの4人に1人が退学しました」
介護保険制度が始まった当初は、今と比べて女性職員が多かったのは事実。それまで自身の経験や技術で現場を切り盛りしてきた彼女たちの中には、新制度に戸惑いを抱く人もおり、時にこうした感情の矛先が若い専門学校生に向かうことは、あったのかもしれない


 旧社会の辛みと、そこに入り込む新世代の辛みと、両方のマージナル性がどっちにも不幸を齎した例である。

派遣労働の規制緩和については、不安定雇用を増やすだけだとの批判もあったが、彼は、このときが人生でいちばん楽しかったという。
「収入は(手取りで)15万円ほどでしたが、安定していましたから、仕事仲間と飲みに行く余裕もありました。3年後には正社員になれるという話もあったので、“そのときまでみんなで頑張ろう”と励まし合ったりして。フィリピン人や日系ブラジル人の同僚が“帰国したら商売を始めるんだ”“家族のために家を建てる”と夢を語るのを聞くのも好きでした」


 ひとは希望があればそれなりに生きていけるのである。

 ちと辛く思ったのは3ページ目

こうした極限状態の中で迎えた今年4月。衝動的に飛び込み自殺を思い立った。気分転換になればと、JR駅に隣接する商業施設に出かけたのに、楽しそうなカップルや家族連れや、何ひとつ手の届かないショーウインドーの商品を見ているうちに、ふいに死にたくなったのだという。結局、すぐそばにいた女性に先を越され、自殺はかなわなかったが、もはや、喜んでいいのか、悲しんでいいのかわからない

 どうも今日は首筋の感覚が宜しくなく…。

 中年・老年の別の例:

週刊東洋経済 高学歴56歳男性が「孤独な貧困」に陥った顛末 「本当は東大医学部に行きたかった」と後悔 藤田 和恵 : ジャーナリスト 2017年05月31日

 若者の貧困について:

週刊東洋経済 「若者の貧困」に大人はあまりに無理解すぎる 仕事や家族に頼れる時代は、終わりを迎えた 藤田 孝典 : NPO法人ほっとプラス代表理事 2016年10月17日

 実家に頼ることはなかなかできない―という点、ポイント。「家庭」の規模が小さくなっているということ。そして家庭を維持するような職の口がわりと偏在しているようで、「田舎に帰る」という選択肢がかなり非現実的らしいという点。

 統計データを、しかも適切な処理をしてから見るべきだろうが、これは次のように作文できそう:個人の収入水準が低く抑えられているのと同時に、働き口の偏在の結果、単身・核家族が発生しがちで、一家庭あたりの収入水準は過去に比して低く出やすい。また、分散して居住することはアパート等の必要を増大させ、地主階級のひとびとは労少なくして安定的収入を確保でき、一方でプロレタリア階層は家賃の分、生活が逼迫する。

「実家から通える範囲で」進学先や就職先を探すのは、まあ高学歴・高収入の可能性を減じさせるものの、一個人の生活の安全保障としては十分、機能しえるものではないかなあと中学の同級生たちを思い起こしてみたり。この辺はたぶん、先行研究はありそうだ。

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