空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

(若手・後期若手)研究者問題・雑感:「反日特権」「愛国特権」などという向きがあるが

2018-05-06 21:12:01 | ノート


 どうも「科研費もそうした特典のうちの一つだと判明した」と信じた人々がいたようである。

 あーその、もしかしたら私の知らないところで「反日特権」みたいなのがあるのかもしれませんが、基本的にはそーゆーの関係ないですよ。そう見える例を数例、みたのかもしれませんが、だからといって他の全ての例もそうだろうと推定するのは論理性・観察の不足を示唆するでしょう。

 例えば、貧困女子を調査しようと風俗に行く文科次官がいましたが、だからといって次官たるもの、かならず高校生属性ではないでしょう。少なくとも先日の財務次官はオフィスレディ属性でした。おそらく人妻趣味の人もいるでしょう。これらをざっくり、「次官たるもの、性的嗜好が変態的である」とくくるとしたら、観測例が少なすぎ、一般化するには躊躇すべきであるぞと指導教官から怒られるでしょう。というより、ノーマルの次官さんが多いからこそ、異例が目立つのであり、おなじ「己より若い女性を好む」という属性から「18未満がとてもすき。」と「30ちょいのOL好き」を同じ枠に入れるのも難でしょう。

 そういう在日特権、反日特権というのは、そういう市場が存在していたり、そういうお仲間たちが要路に存在している場合に発生する・発生しえるものであり、一定程度以上、流動的なものです。

 そしてそうしたものは、割と「それ以外」の属性に依存して成立する部分が相当にある。

 具体例としては、「反アベ」芸人・浜矩子教授を想起すればいい。彼女の「今年こそ日本経済は破滅する!」芸は、そうした悲観的情報で楽しむ層を予定している。髪が紫なのもヴィジュアル的に面白い。TV慣れしてもおり、本人が反アベであるようで、そうした層に見てもらうために番組で反アベ言説を語らせるには非常に便利。すると「反日サイドに肩入れすると教授になれたり、本が出せたり、賞がもらえたり、テレビに出演できたり、コメンテーターになれたり等」の特権が手に入ったように見えるが―

 ―ところで浜矩子さんって、科研費、とれてますっけ? それも御説によれば「特権」なんですよね? と言う話に。



 …わたしはおおや先生と同じ使い方をしている…。

 なので、同じように「反アベ」を唱えていても、水準というものもあり、方向性というものもあり、得られる「特権」と得られぬ「特権」とがある、ということがわかる。

 端的に言うと、浜矩子氏は、「学者」の数に入れてもらってないらしいのだ。少なくとも、「実績がなければ科研費は取れない」という観点からは、彼女の業績は学者のそれとは見做されていない、というわけなのだろう。でなければ、単行本がやまのようにあるにも拘らず科研費代表者にならず、研究分担者にも呼ばれず、という現象はなかなか発生しにくい。

 同様に「愛国特権」みたいなものもあり、それもそれなりにあるものの、制度的に保障される種類とまではいかない。これは「田母神論文問題」を想起するといい。悪く言っても、一部の「篤志家」による仲間のための利権というに留まり、「愛国」であればかならず与れる利権でもなく、すくなくとも空気を読んで作文を按配する能力等々は要求される。いやまあ、某田母神氏については、あまりに作文がアレでないですか、という言い方もあろうが、ならば彼がその「利権」に与った理由の相当部分は某機関における優越的な地位にあり、したがって「愛国」であることによる部分は少ないということになろう。


 あるサイドに肩入れすること だ け ではなかなか与れない。そんなことがほの見えてくることであろう。

 で、そういう「ポスト」「席」に関わらない、ふつうの運用の量のほうが大きいでしょうな。しかしそうしたポストは、希望するひとより少数であり、資源として希少性がある。利権として運用すると、提供するほうにもされたほうにも利得がある。そこで「タレント教授」などの枠が設定され、雇用主側がアピールしたい顧客層に応じて「色」が付き、そこで各方面にさまざまな思いが発生する…。

「反日特権」ポストに圧迫されてオレは就職できないんだ!と思ったアカポス未着任者(「愛国」属性)には、やはり「あいつがいなければあああああああああああああああ!」という思いがでようし、他方「愛国特権」ポストに圧迫されてオレは就職できないんだ!と思ったアカポス未着任者(「反日」属性)には以下略。

 この「反日」⇔「愛国」の二項対立図式は、ネットに流せばなかなか注目を浴びるキーワードではあり、そこでネット界隈で運動を起こして現実世界まで影響を及ぼせれば、その嵐に乗って(もしかしたら自分が)浮かぶ瀬もあるかもしれない…という作戦もあろうというもの。しかしそれは、自分の資源によって浮かび上がろう・戦おうという態度ではなく―

 ―端的にいえば、その間、論文執筆は進まないのであり、その当人のパワー増強、就職市場における優位性確保・増強に役立たない。

 そして、既に他の領域で有名人になり、客寄せパンダとして市場価値がある人々と違い、我々がいちからそうした「学問以外における卓越性」を獲得できる可能性は非常に小さい。


 …個人の戦略としては、粛々と研究する以外にないとは思うのだ:


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