空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

プントランド・ソマリランド間に戦闘:ソマリア

2007-09-22 01:40:47 | ソマリア関連
 19日午後遅く~夜8時頃まで,ソマリランド・プントランド間に戦闘。
 ソマリア北部は,南部に比べて平穏でしたが,国境問題がくすぶっていた事は確かです。

Garowe Online 'Many wounded' in Somaliland-Puntland clash in north Somalia 20 Sep 20, 2007

 情報元のひとつはスール県都ラス・アノドの住民たち,の模様。
 両国―と言っていいものかな―の兵士らはテクニカル―ピックアップトラックに重機関銃をすえつけた程度の”戦車”―で数時間も戦闘。現場はラス・アノドから北西へ18kmほどの地点。

 プントランドの副情報大臣Abdulkadir Gelleは,プントランドの兵士は攻撃され,これを撃退したと語る。さらにはソマリランドと「アスマラ・グループ」がこの攻撃に責任がある―と主張するという。

 …もう何でもありだなぁ…。
 いえ,最終的にはそう,でしょうけど。
 しかしソマリランドは,エリトリア独立で海を失ったエチオピアの港の役割をになっておりまして(乱暴なまとめ),アスマラ派と組むとは,考えにくいのですが。
 アスマラ派の攻撃のせいで,ソマリア南部で兵力が必要になり,プントランドは増援を出さざるを得なくなった。その代償としてソマリランド方面の配備が手薄になった。そこでラスアノドがプントランドから離反の動きを―という筋書きかと,私は思っているのですが。

 ともあれ,アスマラ派はソマリアの苦痛を引き伸ばす存在扱いされている模様。今後,便利な悪役の代名詞として利用されそうな気がします。

 まぁ仕方ないですが。ソマリアの現状打開の方策として,提示したのは戦争と外交努力。いやいや,現に存在している,暫定政府と交渉するというのはダメですか? 「ソマリアに合法的政府は存在しない。そこにあるのは占領だ」とアスマラ派指導者Sheikh Sharif Sheikh Ahmad師(イスラム法廷指導者)は言います。「ソマリアに和解のための会議などなかった。それは,分裂を齎す会議だった」(意訳)―そんな発言でもって,彼はソマリア国民和解会議の成果を却下します:

BBC news, Africa Somali clan unity deal rejected 17 September 2007

 これに従えば,ソマリア暫定政府など存在しない,そこにあるのはエチオピア軍とその傀儡である。彼らに対しては―もし彼らが自発的に撤退しないなら―戦争しかない。また一方,ソマリアの代表者として,彼ら自身が諸々の外交交渉でもってソマリアの真の独立を勝ち取る必要がある。

 暫定政府要人らはサウジアラビア,ジェッダで和解文書にサイン。彼らは着々と外交的成果や書類の山を築き上げていっています。それらは彼らに,ソマリアの正統政府の外観を備えさせるでしょう。

Shabelle.net Somalia: president Yusuf signs treaty with traditional elders 17, Sept.07

 この政府を単なる傀儡とみなし,或いは存在しない物とみなすのは,些か現実感覚に欠けるものといわざるを得ません。…誰か「蒋介石の国民政府を相手とせず」とかいう,東洋の歴史的発言の意味を教えてあげてはどうかと思う。

 ところで今回のソマリランド・プントランド衝突の件は,Garowe Onlineの中の人たちを大いに慌てさせたと見えて,彼らは同内容の記事を2回もアップしていました:

A:Somalia's transitional govt blames Somaliland for clashes 20 Sep 20, 2007 - 1:38:05 PM
B:Somalia's transitional government blames Somaliland for clashes 20 Sep 20, 2007 - 12:59:51 PM

 ざっと眺めた感じですが,一字一句異ならないような。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« オリオン,オリオン! | トップ | Shabelle Media Networkは政... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ソマリア関連」カテゴリの最新記事