空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

事務とか営業とかはちゃんと仕事してる。

2018-03-10 10:53:11 | Weblog


 ここでは「個々の研究者として」。とある特定の(文系)研究者に向かって言う言葉なので、これは個人の発言として正当なものではあろう。しかし



 理系に属する一研究者としてとある一文系研究者に対してはじまった論が、間に1tweetもはさまず、突如「文系研究者の皆様」に対する一大文化的大発言に変化する。さらに



 ただのいち理系研究者に過ぎないはずのこの人物は、突如、全理系研究者を代表して全文系研究者に対して命じるのである。

 これは大屋先生が控えめに、正確に指摘した点についてしかと理解しておくべきことであって―



 ―当然、こうした書類をきちんと管理してないと、監査を通らない、はずだ。
 で、その一円単位までのあれこれを管理しているのはどなたですっけか? という問題。

 我々研究者は、しばしば、その時間のひとかけらまで研究に使わせろ、とかいう無茶をいいたくなってしまう種類の社会不適合者だ。消費税がどうこうだとか、相見積でどうだとか、某社は何パーセントの値引きをするだとか、納期との兼ね合いがどうだとか、監査をとおるチェックポイントがどうだとか、そういうことの管理に向いてない。発注ミスも時々あるが、その責任をいちいち取るのもめんどくさい。

 そういう面倒を一切引き受けて処理しているのは事務さんたちだな。

 だから、実は、我々は、文字通りの支出管理をしていない。というか、システム的に排除されている。研究者の恣意性をできるだけ排除するため、不正の可能性を減らすためでもある。「最後の一円まで、ちゃんと支出管理しろよ。理系はやってるよ」とあるが、文字通り支出管理をしていたら、その時点でそもそも監査を通らない、はずだ。

 つまりここに見られるのは、この理系研究者を名乗る人物の、事務方の努力の軽視ないし無視である。彼らの日々の労働を、まるっとないものとして取り扱い、しかもその労働の成果を「いやあ、僕が管理しているんだよ」と主張して搾取しているのだ。
 
 事務は仕事しているぞ。
 同等品なら、安く買えそうなところを(勝手に)探すし。
 うっかり二重発注して同等品が並んじゃったときに、「先生、こっちの品のほうが程度がいいッスよ。こっち、持ってってください」とか気を利かすし。いやこれは業者さんには申し訳ないが。「先生、値引きが出たんで、ちょっと余裕でました。先生は先日○○を取り下げてましたけど、これでイケますけど、どうします」とか。これは悪名あった「端数処理」の類にみえるかもしれんが、システム・規則に縛られた中で、なんとか目的に適うように、現場の連中は頑張っているんである。

 …こうやって、小手先の言葉を弄して、他人の労働の成果を掠め取ろうとか剥奪しようとかいうのを、しかも無意識的にやっちゃうのはどうかなあ、と思う。

 尤も、事務方の仕事の様態は、比較的非個性的ではある。
 研究者になるようなひとは我がつよくそうした労働を嫌い、はては軽侮するかもしれない。
 だが、そうした(我々にとっては)バックヤードの仕事も含めてようやく我々の仕事は成り立つのだと時々おもって土産物でも買ってあげるといい。

 …営業職をバカにする意識とも通じるかな。「なんだあれは、モノを右に左に流すだけで給料貰って! あれで価値を生み出しているつもりか!」という侮辱をしばしば受けるらしいが、しかし顧客のところに出向いて話をして、細かな提案をしたりするのは、工場で設計しているだけのひとには出来ない仕事であったりするだろう。こっちだって、渡された数百ページのカタログを隅から隅までチェックして自分の仕事に役立ちそうなtipsを探す…なんてことはしたくない。そういうところに営業さんが必要だったりするのだ。



 システム的には同じように支配されてますからね。そこは文系も理系も変わらない。

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