空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

まあ反乱するわな

2012-11-08 21:49:13 | Weblog
毎日新聞 3大学一転認可:文科相「暴走」傷深く 自民、罷免求める 2012年11月07日 22時32分(最終更新 11月08日 00時23分)

 まずは

「(3大学にとっては)逆に良い宣伝。4、5年間はブームになるかもしれない」。田中氏は7日、今回の混乱を正当化する発言を記者団に繰り返し、関係者への謝罪は最後まで口にしなかった

 迷惑掛けた当人が言えるセリフじゃないだろう。同業者等々が苦虫噛みつぶす顔でせめてもの慰めを言う時に言えるくらいのものでさあ…。

田中氏は6日に「年内に再審査する」と軌道修正したが、野党は7日の衆院文科委員会で「横暴だ」と追及。田中氏は「3大学も世間も誤解している。不認可の処分はまだ行っていない」と強弁し、「説明した官僚が私の真意をくみ取れなかった」など責任転嫁とも取れる釈明を続けた。「3大学のどこが悪いとかは具体的に知らなかった」と個別に精査していなかったことを認めながらも「悪いとは思っていない」と開き直り

 懸念点の一つ,官僚の誰かが(やつあたりで)首を切られる恐れはなお残る。
 
 まー,『だって私は正しいんだもん! わかろうとしない・わかりもしない・わかってくれない他の人が悪いのよ!』とゆーノリのプリンセスのご様子で,それは個人の個性としてまあ,ええ,宜しいんじゃないでしょうか(※閣僚・社会人としてどうかという観点はさておく)というところだが,さらなる問題は

政府内では、事前に不認可を聞いた藤村修官房長官が「マラソンで言えば、42キロまで来てゴールがなくなった状態になる」と文科省側に苦言を呈したものの、首相官邸側が田中氏を直接たしなめる場面はなかった

 …誰も止めなかったらしい件。大きく纏めれば,それは「危機管理能力の問題」である。人間は過ちを犯すものなので,事が起こった場合は速やかに火消しをする,延焼を食い止める対策をとるべきだ。
 延焼した・しかけたなら,ある程度の犠牲を覚悟して行動すべきだ。つまり,実際の火災なら,火災が起こった家に水をかけるだけでなく,隣の家にも水がかかっても構わない・かけるべき局面があろうし,まだ無傷の境界地にある小屋を破却することもあろう(丁度,大学制度の根幹にかかわる場面で新設校への認否を保留したり新設不許可としてみたりするように)。

北海道新聞 田中文科相の罷免否定 官房長官「間違っていない」 11/08 13:35

藤村修官房長官は8日午前の記者会見で、来春開学を目指す秋田公立美術大(秋田市)など3大学の「不認可」を一転させ、新設を認めた田中真紀子文部科学相について、罷免や辞任の必要はないとの認識を示した。「閣僚として間違ったことをしたとは、たぶん誰も受け止めていない」と述べた

 まあ火消しのお手並み拝見というところだろうか。
 
毎日新聞 文科省:3大学に認可伝達 来春開学で正式決着 2012年11月08日 13時07分

文部科学省は8日、田中真紀子文科相がいったん「不認可」と判断した秋田公立美術大(秋田市)など3大学に対し、新設を認可することを電話で正式に伝えた。大学設置・学校法人審議会の答申通りの決定に戻り、3大学は来春開学で正式に決着した

 いや,きっちり書面で正式な通達を確保するまで油断してはならない。まだ「電話」だ。所轄大臣が政治決断して記者会見で公言しても”正式に決定したわけではない”。

毎日新聞 田中文科相:美術大認可へ 朗報に「良かった」 学生「安心した」「あきれた」 /秋田 2012年11月08日 地方版

 秋田の「樋田学長も「ほっとした」と息をついたが、「(設置認可の)紙をもらうまでは緊張を緩めない」と気を引き締めた」。

MSN産経 田中文科相「3大学はいい宣伝になった」 2012.11.7 22:02

「今回(の騒動が)逆にいい宣伝になって4、5年間はブームになるかもしれない」田中真紀子文部科学相は7日、不認可としながら一転して新設を認めた秋田公立美術大(秋田市)など3大学について、首相官邸でこう語った。不適切な発言との批判が出そうだ

 これは冒頭の毎日新聞記事の別ソース分。

「(大学の)経営者が代わって、借金ができたりしないように応援しないといけない」とも指摘した」。

 ということは,将来ダメになるかもなと思えたから新設不可って言ってみました,ということだろうか。


WSJ-Japan 【投票】田中真紀子文科相の3大学認可、対応を支持する? 2012/11/8 15:21

田中文科相は7日夕、「議員としては設置審は絶対壊せないと確信していたが、中からだったらブレークスルー(突破)できると思った」と記者団に述べた。その上で「やっぱりきつかった。役所の壁は堅くて高い」と振り返り

 役所の壁というか,むしろ現実の壁といいたくなりますが。
 ともあれ,ここでの注目点は,ここまで傍若無人のプリンセスでさえ,いち議員の立場では何ほどのこともできまいと確信していたところだろうか。

 やはり天下とらんとならん,しかし天下とったところで―総理になったところで,やっぱり利害調整等々で天下取った気分にあんまりならない。大変ですよね。

 一城の主―省庁の長となれても,しかしやっぱり鉢植え大名状態。有力国人がわんさといて,その調整で手一杯。じゃあそーいう有力国人層をまるごと削除すれば,そこを埋める人材が必要になるが,さてそれはどこで調達できるのか? ―日本では官僚組織は,一セットしか持ち合わせがないのである。

 してみると,「政治主導」をするには,そう言うところを埋めるスタッフを政治家の側が用意しておく必要があろうが,じゃあどなたさんがそんな気の利いたことをしてらっしゃるんでしょうか。

3大学については「瑕疵(かし)が特別あるわけでもない。(きょう現在で)認可と思って結構だ」とした

 …まあ…リアルな政治の場では,『みんないかす』てぇのは資源の限界から非常に難しいと思われ,実際やることは『如何に合理的に多数を生かし・死なす少数派に如何に上手く言い聞かすか』かとも思われる。学生にも話をしたが。

 提出された夢が麗しければ,それで有権者を納得させることができる。「法的には賠償責任がないとしても,可哀そうな薬害被害者を救済する」とかなら,国民は多少の増税を許容するだろう。その犠牲を被ることで救われる人間のことを思って,まあそこそこ気分よく負担を受け入れるだろう。嗚呼自分たちは間違いなく正義のために,ひとが生きるために,皆の負担で未来を切り開こうではないか!

 ところが今回の場合,『なんか改革する必要はあるっぽいよね』というくらいしか共有できず,『夢を実現するために取りあえず三校ばかり犠牲にするね。彼らに落ち度はないけど,これで話題性たっぷり! タダで広報してあげるんだから,そこはお得でしょ? ん? 彼らを犠牲にして実現するべき将来の理念? それはこれから考えるから。審査委員の選定から始めちゃおっかな』

 …まあ反乱するわな。


 なお最近の私の英語の教材から,本日掲載分:

ニュースで英会話 「イタリア政治 ついに犬頼み 」 2012年10月28日(日)のニュース 2012年11月08日(木)の放送内容

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