空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

スールでプントランド要員を逮捕:ソマリランド

2008-07-14 22:11:46 | ソマリア関連
 スール県都ラス・アノドで警察活動。ソマリランドは4名を逮捕。理由について公的報道は,この報道の時点ではないものの,反ソマリランド的活動がそれであると言われる。
 なお4名の内一名はプントランドの裁判官Ahmed Sakin氏である由。

Garowe Online Somalia: Somaliland detains Puntland officials in Sool region Jul 13, 2008

 発信地は「LAS ANOD, Somalia」とあり,この領土問題に関するプントランドの姿勢を暗に示しております―スールはプントランドの領土であり,従ってソマリアの領土である。
 しかしながら昨年10月以来,ラス・アノドはソマリランドの支配下にあります。プントランドは当初,一か月以内に奪回作戦に着手するということでしたが,内政上のごたごたに遭った後,急速なインフレ,違法印刷紙幣問題による財政悪化で身動きの取れない状態に立ち至りました。

 結果,対ラス・アノド最前線のTukaraqの兵員の意気は軒昂ながら(寧ろそれ故でしょうが),上層指導部への不信不支持は憂えるべき状態にあります。そのTukaraqに―13日,ソマリランド兵が進行しているという情報があるようです。

 先日,ソマリランド軍はサナーグの海岸都市Las Qoreyを一時占拠したばかり。こうした一連の動きの真意は―ソマリランド上層部の胸の内にあるそれは,未だ明らかではありません。


 ですが,見かけは明らかでしょう。ソマリランドはスール・サナーグの支配に自信を持ったのです。この圧倒的優位は,疑いなく,プントランド大統領Muse氏がリヤレ・ソマリランド大統領に与えた密約だけに発するものではありません。

 ―条約なんて一片の紙切れ,とまで言い切れる人は滅多にありませんけど。密約だって,『そんなものはない』と言い切ってしまえれば,それだけのものだ―介入を実力で阻止しえるなら。

 ここ1年ほどを見ている限り,ソマリランドがとりわけ目覚しい発展をしたとはいえないでしょう。寧ろプントランドの決定的凋落が目に付くはずです。それは内政上の失敗,不透明な開発計画の推進,モガディシュ政権と運命を共有することからくる様々な負債―などに発するはずです。

 プントランドの巻き返しは極めて難しいというべきでしょう。彼らの持つ戦力の内,強力なものは,例えば―石油開発会社の私設護衛隊。ですけどそれは,プントランドの防衛に直接使用できるものではないでしょう。

 プントランド内の諸氏族は救国会議の設立を意図しました。彼らの思いが無駄にならぬよう,祈りたくはありますが―事態は非常に,プントランドに厳しいものといわざるを得ません。

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