いろいろな公害問題で悩んだとき、迅速性、手続の簡便さ、費用の低廉さが特徴の制度として、公害調停があります。あまり知られていません。
私から見て欠点は、『調停』なので、どちらも多少は譲る部分が求められることが多いこと。ま、「決裂しあるいは負けても、結果良しをもたらすのがオフィシャル(公的)な制度」、というのは私流の市民運動の発想。
私は過去に2度、県の制度を利用しました。一つは、2つのゴルフ場の開発会社の計画の中止を申請、こちらの要求は『開発中止』だから調停は最終的に打ち切り。とはいえ、その後、どちらの計画も、業者は知事の開発許可を得たものの、結局、着工することなく撤退しました。もう一つは、住民の人から相談を受けたカラオケ騒音問題で、最終的に、店の営業はなくなり、調停は収束しました。
他にも、国の公害等調整委員会に鉱業権問題で県民の人の代理人として申請。当時は、本人訴訟の裁判はまだやっていなかったので、あの法廷のような厳粛なところで、意見を述べたりのやり取りは初めて。度胸がつきました。
(その後、別件の国事業の関係で、連名したこともあります)
10年以上経って、今回、岐阜県の可児市の人たちが申請することになり、「一緒にやってよ」、と頼まれて連名しています。
● 制度のこと
根拠は 公害紛争処理法
(公害等調整委員会)第三条 公害等調整委員会は、この法律の定めるところにより公害に係る紛争についてあつせん、調停、仲裁及び裁定を行うとともに、地方公共団体が行う公害に関する苦情の処理について指導等を行う。
(審査会の設置)第十三条 都道府県は、条例で定めるところにより、都道府県公害審査会を置くことができる。
つまり、複数の県にまたがることは国の委員会、単独の都道府県のことは県の審査会で行います。
対象は、環境基本法第2条 でいう「公害」で、「環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭によって、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずること」
とされています。
公害紛争処理制度とは?
「 (基本的な質問)あなたが公害問題や環境問題で困っている場合に、公正・中立な第三者機関である公害等調整委員会や都道府県の公害審査会が被害者と加害者との間に入り、あっせん、調停、仲裁、裁定という手続で、こうした紛争を解決する制度です。 」
公害等調整委員会とは
公害事件はこうやって解決されました!
環境白書中の説明
● 環状道建設残土で水質異常/住民ら公害調停申請/可児市 《岐阜新聞2006年3月28日》
可児市久々利の新滝ケ洞ため池の水質異常問題で、地元住民ら四百十五人が二十七日、県公害審査会に公害調停を申請した。上流の東海環状自動車道トンネル掘削残土で水質が汚染され、対策は不十分として、国と可児市、残土のある富士カントリークラブに汚染残土の全量撤去を求めている。申請したのは、地元住民グループ「水源汚染問題ネットワーク・可児」(梅田裕孝代表)のメンバーらで、残土の直近を水源にする住民や農業を営んでいる人たち。 水質異常は、二〇〇三(平成十五)年に発覚。ため池の水が酸性を示し、カドミウムなど重金属を検出した。残土は、同クラブのゴルフ場内残土処分場に埋め立てられており、水質異常は残土中の黄鉄鉱が雨水と反応して酸化したことが原因とされている。
国土交通省は処分場の上部に覆土をして遮水工事をするなどの対応策を講じているが、住民らは「遮水が完全であるという保証はない。地震や集中豪雨で洪水が起きない保証がない」などとして調停を申請した。稲作を三年続けて中断している農家の梅田代表(60)は「元の環境に戻してほしい」などと訴えている。
県によると、県公害審査会に申請された紛争は過去に十二件ある。最近では、二〇〇一年に市民団体が国に対し、核融合科学研究所で重水素実験をしないよう求める申請をした。
(参考)各県に条例や審査会があります。
● 岐阜県の制度
岐阜県公害紛争処理条例
岐阜県公害紛争処理規則
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