岐阜県の裏金問題。ミサイルで皆、驚き、怒っている。対して、ミサイルに救われたのは岐阜県。
各社の記事は、かろうじてスキマに突っ込むような程度。
スクープした岐阜新聞だけは、今朝も一面トップ。見出しは「県の裏金、当初は2億円」「現在高は1億円強」「差額の一部 県職組の会計原資」。
岐阜新聞の社会面トップは「県、批判恐れ移し替え」「96年当時公表できず」「出納局主導ではない 元幹部強調」。
昨日の昼、「こういう時って、どうやって突っ込んだらいいのかコツを教えて」「どういうふうに情報公開請求したらいいの?」と記者から電話。
夜、テレビの記者から、「この電話、録画していいですか?」。「コメントの録音?」とOKした。
ある電話。OB。「1億とか2億とか言うけど、自分たちの感覚では、実際より一桁は少ない・・・一つの事業所なら1千万はあった・・・『個人に預ける』という片付け方もあった。それじゃ、『ネコババだ!』と思った・・・」
岐阜県で全庁レベルの組織的な裏金づくりが表に出たのは、私の知る限り、イベントなどでの実行委員会。1997年のフライデーのスクープの件。
このとき、県の調査後の発表は、「それ以外にはなかった」。
私たちも調べようと情報公開請求。業者からの請求書や支払った領収書が県庁の担当職員の机の上にあるのに、「情報公開条例の対象ではない」として、これら証拠文書は「不存在=全面非公開」。8年かかって、昨年9月にやっと、最高裁で公開命令が確定して文書がでてきた。しかし、一部は「紛失」していて「不存在」だという。
それで、知事と副知事に直談判 ◆最高裁で公開命令が確定した実行委員会の文書の破棄・紛失。知事に質問書 12月3日
古田知事には、あなたが改革の意欲を持ち続ける限りは応援したい、と話した。
その後、質問に対する公式回答は1月に来た。
それとは、別に、12月中に投書が来ていた。「裏金にしたから隠した。金は、『ここ』と『ここ』にある」と。もちろん、『ここ』は具体的。
その内容を信じるか信じないかはともかく、公式回答との乖離。
それで、1月の公式回答の内容はマスコミにも言わなかった。
では、なぜ、『ここ』を、あるいは投書の「内容」を、知事や副知事に伝えなかったか。それは、トップ自らの手での自浄を願ったから。回答で終わりとするなら、岐阜県庁もそこまで。
『ここ』は、今でも、誰にも話していない。
にわかに信じがたいこともあるし(笑)
ともかく、私の基本的な考え方は、ある時期に裏金の公式な廃止があったとして、その裏金を懐に入れるほど度胸のある公務員はそういないだろう、だから、棄てることもできず、費消することもできず、どこか何箇所に分けて保管してあると見ていた。以前から、マスコミに聞かれてもそう答えてきた。
そういう意味では、今回の職員組合口座は「一つ」。意外や意外、だったとはいえ。
OBの電話は、ある程度は符合する。
岐阜県がどうやってバレルことから逃げたか、そして公になっている岐阜県の過去の裏金や粉飾の構図・手法も整理したい。
それは、ある課や事業所だけが特別なテクニックで裏金を作ったのでなく、岐阜県職員の庶務係りに受け継がれた方法だと見るのが合理的だからだ。平たく言えば、どこでもやっている方法。
私たちの取り組みも絡めながら、触れたい。(昨日から、データや資料を拾っています)
ただ、各種の投稿は、 7月8日土曜日 の前宮城県知事浅野史郎の講演会や選挙講座の準備があって、ゆとりがないので、来週になりそう。
浅野さんは、当時の宮城県知事が汚職で逮捕された時、厚生労働省の役人を辞めて突然立候補し、3期知事を務めた人。情報公開を進め、各種改革の全国のトップを走った人。
対して、同じ時期に、不正を隠し続けることを選んだ岐阜県の幹部ら。
浅野さんとは、8日の午後の講演会、夜の選挙講座でみっちり。そして打ち上げも、同じホテルでご一緒。岐阜県のこんな時に妙なめぐり合わせ。
そういえば、今の古田岐阜県知事も国の役人から、一昨年、転身して来た人。
●6日 岐阜新聞 一面
県の裏金、当初2億円/現残高は1億円強
(写真をクリックすると拡大。写真右下あたりのクリックでさらに拡大)
県の本庁や現地機関の一部の課が不正経理でプールした公金が、一九九八(平成十)年度に県職員組合管理の口座に移し替えられていた問題で、組合で管理を始めた当初、二億円近くあった裏金が現在では一億円強しかなく、少なくとも数千万円減っており、一部は同組合の特別会計の原資として繰り入れられていたことが五日、分かった。県は同日、県庁内部に調査チームを立ち上げ、県職員OBや職員らから聞き取り調査を進め、二億円に上る裏金の全容解明に乗り出した。
県関係者によると、県職員組合管理口座に移し替えられた裏金は九八年当時、約二億円だったという。古田肇知事は同日、関係者から聴取した結果として口座残高が「一億円を少し超える程度」であることを明らかにした。
一方、県職員組合の会計に詳しい関係者は、九九年秋ごろ、組合管理口座にあった裏金のうち約一千万円を、新設した特別会計の原資として「雑入」名目で振り替えたことを明らかにした。振り替えは、当時の組合役員五人の決定で行われたという。
二億円といわれる裏金と、口座残高の一億円強との差額について、同組合関係者は「私的流用はない」「手を付けられる性格の金ではない」としているが、同組合は八年前のプール金移し替えの経緯や現在の口座残高については詳細は明らかにしていない。
古田知事は「OBはじめ多方面にわたる調査、聞き取りが必要。一カ月以内を目途に調査チームの報告を行いたい」と述べ、調査結果を第三者による委員会で検証していく考えを明らかにした。また「県政への信頼にとって、大変重大かつ深刻な問題だ」として、事実関係を解明し、場合によっては関係者を処分する考えを示した。
(写真)県の裏金問題で「県政への信頼にとって、大変重大かつ深刻な問題」と県議会で答弁する古田肇知事=5日午後、県議会棟
《岐阜新聞7月6日付朝刊一面》
●6日 岐阜新聞 社会面トップ
裏金問題、重大かつ深刻/岐阜国体、県民総参加の場/古田知事答弁
二〇〇六(平成十八)年第三回県議会定例会は五日、本会議を再開し、質疑・一般質問を行った。
この日は県政自民クラブ代表の早川捷也議員(恵那郡北)、県政民主党代表の渡辺嘉山議員(岐阜市)、無所属の松村多美夫議員(本巣郡)の三議員が登壇。早川議員が、二〇一二(平成二十四)年に開催される「岐阜国体」の成功に向けた方針を質問。古田肇知事は、五月に開催した全国植樹祭の成果を踏まえ、「スポーツを競う場としてのみとらえるのではなく、県民全体の健康づくりにつなげ、さらには県政推進における県民総参加の場としてとらえている」と国体を位置づけ、そうした観点で準備を進める姿勢を示した。
この日の一般質問では、県の裏金問題が緊急に取り上げられ、古田知事は「県政の信頼にとって重大かつ深刻な問題」と、事実関係の解明を急ぐ方針を明らかにした。六日も質疑・一般質問が行われる。
《岐阜新聞7月6日付朝刊県内総合版》
● 岐阜県庁内に裏金2億円か 職員組合関係口座に 6日中日朝刊
岐阜県は5日、庁内の一部の課などによる不適正なプール資金が、県職員組合が関係する口座に存在することを明らかにした。関係者によると2億円に上るとみられる。古田肇知事はこの日の県議会で「県政にとって大変深刻な問題だ。しっかりと対応し、県民に事態を明らかにしていく」との考えを示した。事実解明に当たる調査チームを設置し、県OBらにも聞き取りを行い、事実が確認できれば職員らの処分も検討する方針。
関係者などによると、旅費や食料費などを財源に、一部の課や室が公金をプールした裏金が慣習的に存在し、不正の発覚を恐れて1998年ごろ、県職員組合が関係する口座に一括して集められていたとみられる。
古田知事は「県職員組合が管理する口座に(プール資金が)存在する。金額は1億円強」と認め、徹底した事実解明を行う考えを示した。
調査チームは、原正之副知事をトップとし、事実の解明を進める一方、その後の資金管理の状況や、他にも裏金づくりが継続していないか、使途は何だったのかなどを調査する。
1カ月をめどに中間報告を行い、事実が確認できた場合は職員らの処分を行う一方、第三者組織を設置して調査の検証作業を進める考えも示した。
● 県の裏金問題 関係職員ら口固く 知事「全力で事実解明を」
6日読売
「詳しいことは分からない」「今、話せば誤解を招く」――。古田肇知事が、5日の県議会の一般質問に答える形で明らかにした県庁の裏金問題について、関与がうわさされている県幹部や当時の職員らは、報道関係者の取材に対して、固く口を閉ざした。「事態を深刻に受け止めている」と答弁した古田知事は、県議会の終了後、幹部職員を緊急招集し、事実解明に向けて全力を尽くすように指示したが、公金が不正に処理されていた事実に、県庁内には大きな衝撃が走った。
この日は、県議会一般質問の初日。冒頭、質問に立った早川捷也県議(自民ク)が、裏金問題について、事実関係をただした。古田知事は「取り急ぎ聴取したところ、口座の存在が事実であることがわかった」と述べ、「調査チームの報告は第三者の委員の検証も踏まえ、県民に明らかにしたい」と語り、関係者の処分も辞さない強い姿勢を示した。
議場から出てきた県議の一人は、「以前にうわさがあって、県の担当者に聞いたことがあるが、否定を続けていた。今になって急に認めるとは驚きだ」と話した。裏金づくりの関与が指摘されている職員やOBは、一様に硬い表情で、「県の調査には答えていく」と、言葉少なに語った。
県議会終了後の臨時会議には、知事部局、県教委、県警の幹部職員が集まった。会議では、原正之副知事をトップに据えた調査チームについて、メンバーとして参加する県職員には、日常業務を外して、専任で調査にあたらせることを確認。きょう6日から早速、県職員や退職した県職員などから聞き取り調査に乗り出すことにした。
臨時会議に出席した古田知事は、「県政の信頼に関係する問題だ。情報を速やかに調査チームに提供してほしい」と呼びかけた。
(2006年7月6日 読売新聞)
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