<解説>
福田内閣の支持率が26・6%に急落、国民の「福田離れ」が進んだ背景には、日銀総裁人事や税制改正法案をめぐる首相の対応が「後手」を重ね、事態打開に向けてリーダーシップを発揮できないことへの不満がある。
昨秋の大連立協議の頓挫で小沢一郎民主党代表とのパイプが途絶えた首相は、日銀総裁人事で民主党が忌避する財務、旧大蔵次官経験者を提示、二度にわたり拒絶される失態を演じた。税制改正法案についても、道路特定財源の全額一般財源化を柱とする新提案を打ち出したのは3月末と遅れ、民主党を修正協議に引き込むことに失敗。暫定税率の期限切れに追い込まれた。
参院を民主党が制する現状では、首相の打つ手が限られているのは確かだ。しかし国民の目には、直面する課題に機敏に対応できず、受け身のまま民主党に振り回される姿ばかりが映る
。
政府、与党は4月末にも税制改正法案の衆院再可決に踏み切る方針だが、今回の調査では再可決反対が64・4%を占めた。野党に加え、自民党内の一部若手も再可決に反発。道路特定財源の新提案をめぐる与党との協議も難航が予想される。
首相は民主党の衆院解散・総選挙圧力をかわし、7月の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)の成果をアピール、政権浮揚を図る構えだ。しかし、今後「ポスト福田」待望論が強まる可能性があり、求心力の回復は容易ではない。 (共同・松浦基明) |