車泊で「ご当地マンホール」

北は山形から南は大分まで、10年間の車泊旅はマンホールに名所・旧跡・寺社・狛犬・・思い出の旅、ご一緒しませんか。

阿多田交流館:回天記念館 in 山口県平生町佐賀

2024年06月19日 08時00分00秒 | 神社仏閣・名所・観光・山口県

2015年の山口県の旅、重要な目的地の一つに組み込まれた「阿多田交流館」。訪問の前日、平生町佐賀の田名埠頭に建立された「平生回天碑」を訪れました。青い空と青い海を背景に・・読み下す碑文は胸を刺す文言でした。

碑文「神啾鬼哭 回天の壮挙 若き生命 南海に挺し 莞爾として皇国に殉ず  悵恨 戦い時に利非ず 山河むなしく桑滄の変  さわれ至誠盡忠の赤心 日本民族の血脈に漲り 昭々無極の後世に輝く 碑を発祥の地に建立し 粛然 久遠の霊を祀る」
(しゅうしゅうきこく かいてんのそうきょ わかきいのち なんかいにていし かんじとしてこうこくにじゅんず ちょうこん たたかいときにりあらず さんがむなしくそうそうのへん さわれしせいじんちゅうのせきしん にほんみんぞくのけつみゃくにみなぎり しょうしょうむきょくのこうせいにかがやく ひをはっしょうのちにこんりゅうし しゅくぜん くおんのれいをまつる)

平生町大字佐賀、かって阿多田半島の周辺は、半農・半漁を中心とした、のどかで平穏な町でした。しかし昭和16年(1941)に勃発した太平洋戦争により、海辺の町は一変。翌年、この地に旧海軍の潜水学校が建設され、佐賀は旧海軍の軍事基地となりました。(回天記念館展示写真)

昭和19年に、大竹潜水学校・柳井分校が開校し訓練が始まりますが、戦局は厳しく、その翌年には、水中特別攻撃隊の特殊潜航艇(蛟(こう)竜・海竜)、さらに人間魚雷(回天)の訓練基地へと大きく変容していったのです。

大国を相手に戦うには何もかもが足りなかった・・・武器も、武器を作る材料も・・あったものは命を賭してでも守りたい祖国への想い、皇国日本を守りたいという一念だけ。

旧海軍:潜水学校跡地の一角に建てられた「阿多田交流館」。敷地内には、「映画:出口のない海」で使用された、実物大の人間魚雷のレプリカが展示されています。

HPの紹介に「館内には、当時の状況を把握すると同時に、平和の大切さを再認識し、この事象を次世代への伝承していくことを願望し、これらの歴史的変遷を物語るものや、水中特攻隊の資料、若き隊員達の遺品や遺墨など、約400点を展示しています。」

海軍さんの制服と一緒に展示されていた「非理法権天」の旗・・ああ、そう言えば表の回天には菊水の紋があった

展示のごく一部、説明も添えて「九二式電池魚雷 一 潜水艦用のスクリュー部分。昭和63年4月4日、上関町祝島の南約20k沖で引き揚げられた魚雷の一部。」

「若櫻橋 一 柳井駅から8キロの道を行進し、「シャバ」との境目である「若桜橋」を渡って入隊した。」

「寄せ書き 一 平生回天特攻隊回天搭乗員」

回天特別攻撃隊の出撃隊員に渡されていた自決用の「短刀(護国)」

昭和20年8月18日午前3時 最後の出撃者となる筈であった『特攻隊長:橋口大尉』。出撃予定の回天内にて、第二種軍装に身を正し拳銃にて自決。橋口大尉が海軍学校入学から、平生基地で自決するまでを克明に記した「自啓録」も展示されています。そこには「後れても後れても 亦卿達に誓ひしことば われ忘れめや」 高杉晋作の句を引用した遺詠と共に多くの友の名が書き残され、「さきがけし期友に申し訳なし。神州遂に護持し得ず」と結ばれています。

冷たい雨の中・・・レプリカとは言え、現実にこの機に乗り組み、自らの命と引き換えに敵艦を道連れにと散っていった日本の年若き武士(もののふ)たちがいた。私たちは言葉もなく、その尊い御霊に手を合わせ、首を垂れる・・

涙が止まらなかった・・悲しいとか可哀想とかそんなものではない。ただ、ただ涙が止まらなかった・・つないだ手の先に佇むご亭主殿の赤い目、引き結んだ口元・・・そうして言葉もなく、冷たい雨に黒く濡れる回天を見続けた。

「回天運搬用トロッコ」

沖合にかすむ「佐合島」

「天を回(めぐ)らす」の意を込めて命名された「回天(かいてん)」。爆薬を搭載した魚雷に人間が乗り込み、敵艦に体当たりをする・・こうした展示を見て「人権無視だ!非人間的な行為だ」と、時の軍部や政府を口汚く非難する人が居る。御霊が鎮まる靖国への閣僚参拝を、戦争賛美だと罵りデモ行進する人たちがいる。けれども好き勝手を言える自分たちの今が、先の大戦で命を賭して戦われた方々の、その命の贖いによって得られた平和な時代に生きていられるからだという事を。その事実を、私たちは決して忘れてはならないと思います。(合掌)

訪問日:2015年11月17日

 


コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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Unknown (だんちょう)
2024-06-20 07:30:11
おはようございます。
行ってみたいですね!!
今日も雨の札幌です。
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だんちょうさん (tibineko)
2024-06-20 11:42:27
コメントありがとうございます。

機会があればぜひ!

こちらは薄曇りの一日になりそうです。
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