うちのような寒い地域に住んでいると、蕾がふっくらするだけでも、ほうとため息つく。
この枝は、夏場に私が草刈り畑仕事を頼まれているおばあさんから昨年の12月にもらった。
おばあさんは何十年も花を八百屋さんや小さいスーパーに卸す仕事をしていて
80過ぎた今でも現役。
木花にはとてもくわしい。
「山茱萸 (さんしゅゆ)は何度か楽しめるで」と言って枝をくれた。
それから比較的暖かい台所の窓辺に置いておいて、蕾がふくらむのを毎日じーっと見つめて
待っていた。
2ヶ月たった節分のころ。まだまだその兆しが見られず、
「もしかしたら枯れているのかな」と思いもしたけれど
水を替えながら、その日がくるのを待つ。
2月末頃、ん?少し太ってきた?
と思ったら、眠りの森の姫のように、ゆっくりとその芽をひらきはじめた。
冬が長い地域のひとは、雪降る野山を見ながら、
家の中でこんな生花を楽しんでいたのかな。
おばあさんの「何度か楽しめる」といったその言葉がよくわかりました。