映画「妻の貌」を観た、佐藤忠夫氏が来館しトークを展開した
先月から、シネマクレールがとても素晴らしいドキュメンタリー映画を、連続して上映している。私は欠かさず観ている。「雪の下の炎」、「精神」、「小三治」と続いて、昨日は「妻の貌」を観た。そして来週からは「嗚呼満蒙開拓団」が公開される。さらにもう一本、再来週から「花と兵隊」が上映される。
さて、「妻の貌」は現在82歳の川本昭人という方の作品である。素人ではあるが、「50年間妻のキヨ子さんを始め家族を撮り続けている」玄人でもある。ご本人も被爆者であるとともに、妻キヨ子さんも被爆し、甲状腺癌を患っている。「妻の貌」と言う作品は、その妻キヨ子さんを中心に編集した作品で、初期の頃は8㎜カメラでの撮影の部分もある。
「原爆」で苦しむ姿を描いた、いわゆる「暗い作品」かと思わせるがそうではなく、そうした場面もないではないが、たんたんとありふれた日常生活が描かれる。ただ残念なことに、音楽では「素人の作品」と判明する。これは、いただけない。それでも尚、素敵な映画であることに変わりはない。
この映画は、「一人でも多くの人に観て欲しい」との思いから、映画評論家の佐藤忠男さんが代表となり「『妻の貌』上映委員会」を立ち上げて、全国上映の運びとなっている。だから、昨日の初日には佐藤忠男氏がかけつけ、約1時間のトークがあった。お話しは魅力的であったが、そのトークの冒頭に、「素人の映画であり、一人も観客がいなかったらどうしょうと心配しながら、今日来た」と語られたのは印象的だった。
それにしても、いつも思うのだが、こうした映画を上映する映画館は日本には決定的に不足している。いわゆる「シネコン」は、テレビなどとの提携作品は二つのスクリーンを使ってでも上映するが、こうした記録映画などが上映されることはまずない。その意味でも、この岡山の地に「シネマクレール」の存在する意義は極めて大きい。是非とも、一人でも多くの方が、シネマクレールで映画を観て欲しい。それが最大の感謝と支援の表現だから。