21世紀中年

昭和オヤジのときめき、ひらめき、感激、嘆きを思いのままに書き連ねます

加害者マスコミのジャニーズ報道の異常と危険

2023-09-20 21:45:05 | ヨレヨレ競馬ライフ

 最近のジャニーズ報道には、違和感しか覚えない。その正体とは何か、あれこれ考えてみたが、たどり着いた答えは、メディアが報じる問題意識に見え隠れするのは、事務所のトップが起こしたスキャンダラスな行為を許してきたのは、事務所の経営スタッフはじめ所属タレントが、その事実を黙認してきたからで、解体して出直すしか生き残る術はないという、連帯責任をほのめかし、ジャニーズ事務所を一派ひとからげで悪と決めつけた視点で、報道されていることに他ならない。

 つまり、マスコミ主導のいびつな世論を大衆に押し付けることで、スキャンダルの本質を見失うくらい論点のすり替えが起きているということだ。

 根幹にある問題は、芸能プロダクションのトップが複数の未成年の所属タレントに対し、長年にわたり性的暴力ともとれる行為を働いてきた疑いについて、加害者の死後、事務所が事実と認めたことであり、加害者が死んでしまった以上、残された事務所が、被害者にたいする責任と補償の義務を負ってしまったことだ。

 しかし、今、メディアがこぞって取り上げるのは、今後の事務所運営に関する話題であり、最優先されるべき被害者への事務所の謝罪と補償とは別次元の報道が大半である。

 加害者から社長を引き継いだ娘が役員に残ったままでいいのか、さらに100%株主のままでいいのか、新社長は適任なのか、挙句の果てには社名は変えなくていいのか、企業の所属タレントのCM起用や、タレントの発言や行動には問題がないのか、本来の補償問題そっちのけで、メディアは煽り続けている。

 社名をどうする、社長をどうする、そんな話題を面白おかしく報じる前に、マスコミの大半は故ジャニー喜多川氏による所属タレントへの性加害問題の当事者であることを自覚すべきではないのか。

 ジャニー氏が生きていた頃から、この問題は知られていたわけで、所属タレントの勇気ある告発もあった。しかし、メディアはいわば内部告発のもみ消しに加担してきた。そのことがジャニー氏の性癖を野放しにしてきたのだ。そう考えれば、そんなマスコミは被害者からみれば加害者であり、事件の当事者なのだ。

 しかし、そんな加害者マスコミは、ジャニー氏とそれを止められなかった事務所、ジャニー氏の死後に事実を認めた事務所、そんな事務所の葛藤と行く末を野次馬根性丸出しで報じるだけだ。

 たとえば社名問題だが、報じるのは勝手だが、世間はジャニーズの名前を残すことは悪と印象付ける報道姿勢は無責任極まりない。マスコミが世間をダシに問題をあれこれすり替えるのではなく、もしジャニーズブランドについて真剣に問うならば、冷静にブランドイメージについて分析するくらいのことはした上で報じるべきではないのか。

 あくまでも私見だが、たとえば創始者の名前がついた企業はあまたある。たとえば今はパナソニックに社名変更しているが、旧社名の松下電器産業時代に、松下幸之助氏が未成年の従業員にジャニー氏のように性的ハラスメントを働いていたことが死後に発覚したら、社名変更論議は起きただろうか。単純に比較できないが、会社や製品へのバッシング以上に、偉大なる創始者のスキャンダルとしてあくまでも個人がこき下ろされるだけのような気がしないでもない。マツモトキヨシならどうか。現社長ではなく、創業者の松本清氏のスキャンダル発覚だったら、たぶん社名問題は起きるのかもしれない。小売業である以上、取り扱い商品に対するイメージ低下はないが、店舗イメージは相当にダメージを受ける。しかし、メジャーとなった店舗名を変えることによるデメリットのほうが大きいはずで、結局は変更に至らないのではないか。

 ジャーニーズ事務所はどうなのか。質的には松下電器よりマツキヨに近いが、冷静な目で見るとマツキヨのブランドイメージに与えるダメージよりも、ジャニーズのブランドイメージそのものへダメージは低いだろう。

 なぜなら、ジャニーズ事務所のイメージはユーザーにしてみれば、=ジャニー氏ではない。ジャニーズ事務所というブランドイメージ、ジャニーズ事務所の○○であり、ジャニー喜多川の○○ではないのだ。つまり、ジャニーズ事務所のブランドイメージは創業者が誰彼とは別に確立されており、経営視点からするれば社名変更は圧倒的にダメージが大きい。所属タレントにしても、ジャニーズ事務所の〇〇〇という看板の威力は大きく、嵐やスマップクラスならまだしも、多くのアイドルユニットはジャニーズの冠の威力は計り知れない。タレントに罪はないわけだし、ジャニーズ事務所という看板にも罪はない。罪は当事者である創業者一人が負うべきである。マスコミに踊らされる大衆の中には「ジャニーズ事務所の名前は変えるべき」とのたまう向きはいるが、ファン心理からすればジャニーズ事務所がジャニーズカンパニーになるなら、問題はないが、ジャニーズの名称が完全に消滅するのは大問題だ。ジャニーズJR、関ジャニ、ジャニーズウェストという名前も当然変えなければならい。ファンから悲鳴がおこりそうだ。つまり、社名変更は、商工会議所のお偉いさんが考えるほど単純ではないのだ。

 もしマスコミがジャニーズ事務所のタレントの将来を危惧するなら、ジャニー氏のスキャンダルを封印してきた責任を反省し、ジャニーズというブランド名とは切り離して、創業者の破廉恥なスキャンダルとその餌食になった多くのタレントの名誉回復と損失補填に焦点を当てるのが筋というものだ。

 マスコミがいけしゃあしゃあと身勝手で無責任なお門違いのジャニーズバッシングを続けることがまかり通れば、いずれこの国における言論と思想の自由が抹殺されても不思議じゃない。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする