tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

世界経済は将来どちらを選ぶか:金融機能のあり方 2

2012年04月05日 11時23分48秒 | 経済
世界経済は将来どちらを選ぶか:金融機能のあり方 2
 前回書きました最近の風潮、付加価値創造に関係あってもなくても入ったカネは同じカネ、これは一体どういう事でしょうか。
 蓄積資本のある先進国は、通常、成熟経済ですから成長率は高くありません。一方途上国は育ち盛りですが、資本が不足というのはよくあることです。

 こういう場合に、先進国が途上国に投資し、途上国の経済発展を支援しながら、金利や配当の形で適切なリターンを得る、というのは、誠に理に叶ったことで、双方にとってwin=win の良い関係という事になります。

 こうした形で国際金融が活動するのが理に叶っているというのは、所得が全てインカムゲインの範囲にとどまっているからという事でしょう。

 ところでこれを少し発展させてみます。先進国の投資銀行が、途上国の優良企業の株を取得します。経営や技術についての指導も行います。安定した資金と指導者を得た途上国の企業は、技術の高度化を達成し、毎年、着実に安定した配当を支払います。15年後この企業は投資銀行の支援を卒業出来るまでに成長し、その頃には株価も3~5倍になっていました これも投資銀行、途上国企業の双方にとって、美しきサクセスストーリーです。

 さらに発展させてみましょう。投資銀行は途上国の将来性ある企業を見つけ株を取得します。その企業は、世界で有名な投資銀行に選ばれたという事で評判になり、株価が急騰します。投資銀行は、すかさず高値でその企業の株を売り抜け、そのニュースでその企業の株は暴落、その企業は倒産します。

 2番目は、投資銀行にとって、インカムゲインもキャピタルゲインも入るという、win=win の関係です。3番目は、いま流行の、短期金融取引の原型でしょう。これは投資銀行が、「投資銀行の役割は、投資して企業を育てること」という本来の目的を忘れて(社是社訓に書いてなったのかな)、キャピタルゲイン極大化のみを考えるギャンブラーに堕した結果に外なりません。

 今の金融システムでは、3番目の活動を、デリバティブの開発、レバレッジの拡大で、より専門的に、より隠密裏に、より徹底的にやることが、「本来の金融」という座にのし上がろうとしているのではないでしょうか。

 株式の時価発行、時価会計、変動金利、キャッシュフロー重視、時価総額で評価・・・、などなどの会計諸制度はそれに見合った制度面からの支援のように見えます。
 さて、我々は、将来のためにいかなる金融システムを選ぶべきでしょうか。